思惟石

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【読書メモ】2014年7月 ② 西澤保彦

2020-12-25 13:38:39 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年7月 ②>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。
西澤保彦だけで6冊/月を読んだの、
我ながらすごいですね。


『麦酒の家の冒険』西澤保彦
<タック・タカチ>シリーズ二作目。
名作『九マイルは遠すぎる』的な、
ああでもないこうでもないと推理をこねくりまわすのが面白い。
ロジカルゲームと言うのかしらん。

(『九マイルは遠すぎる』は安楽椅子探偵モノと
 言われることも多いですが、ちょっと違う気がしています。
 安楽椅子探偵と言えばネロ・ウルフだと思うし、
 『九マイルは遠すぎる』や『黒後家蜘蛛の会』や『麦酒の家の冒険』の
 論理をこねくり回して遊んでる感じは、ウルフとは違う。
 まさにロジカルゲームと呼ぶのが合うと思っている次第。
 こういうの大好きなんだけど、意外とないんですよね…)


『スコッチ・ゲーム』西澤保彦
<タック・タカチ>シリーズ時系列4作目。
タカチのトラウマ解決話し。
ここらへんから4人組のトラウマ解消シリーズになってしまう。
気になって読んじゃうけど、初期作の方を評価したい。


『依存』西澤保彦
<タック・タカチ>シリーズ時系列5作目。
タックのトラウマ解決篇。ウサコがかわいいよ。


『解体諸因』西澤保彦
作者のデビュー作。
おもしろかった。
4人のキャラクターがちょっと違ってるのも、
処女作ぽくて良い。

(<タック・タカチ>シリーズの出版1作目です。
 短編の舞台はほとんど、4人が大学卒業済みの設定。
 大人になっているのもありますが、
 その後に出版される大学生時代の長編に比べると
 ちょっとキャラが違いますね)


『身代わり』西澤保彦
シリーズ長編最新作。
(<タック・タカチ>シリーズ時系列7作目)
ほぼ、タック出て来ない。
もう4人は自分が持つトラウマを
それなりに解決して向き合うことができたのでしょう。
というわけで、もう物語の前面には出て来ないのでしょう。
それはそれで寂しい。


『謎亭論処』西澤保彦
4人シリーズの短編集。
どうでもいいけどイラストを載せないでほしい。
少女マンガっぽいやつ。
全然イメージ違うんだけど。
ボアン先輩イケメン風にしてどうしたいんだ。
ファンを増やしたいのか。

(怒ってる笑
 長編にシリーズ初期のロジカルゲーム感がなくなってきて、
 寂しい気持ちだったところに、トドメを刺されたのでしょうね笑)
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【読書メモ】2014年7月 ①ラインナップ

2020-12-23 11:04:16 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年7月 ①>
ミステリ、特に、西澤保彦を濫読した月です。
『新世界より』が1.5キョーゴクの超重量なので
1キョーゴク=1000ページという、私的単位です。
 個人的な腕力でワガママ言うと、0.3キョーゴクが私的適量)
13冊という数字以上に「読んだなあ」という感想。
まずは読んだ順でラインナップ。

『麦酒の家の冒険』西澤保彦

『スコッチ・ゲーム』西澤保彦

『シャイロックのこどもたち』池井戸潤

『新世界より』貴志祐介

『さよなら妖精』米澤穂信

『依存』西澤保彦

『銀行仕置き人』池井戸潤

『解体諸因』西澤保彦

『身代わり』西澤保彦

『謎亭論処』西澤保彦

『検死官』パトリシア・コーンウェル

『長い廊下がある家』有栖川有栖

『これからお祈りにいきます』津村記久子
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柚月裕子『盤上の向日葵』

2020-12-22 13:31:55 | 日記
柚月裕子『盤上の向日葵』。
第15回本屋大賞(2018)で2位にランクイン。

売り文句が「将棋界を舞台にした『砂の器』」です。
社会派ミステリってことか?

小説は、現代と過去を行き来する構成。

現代は、刑事がとある遺体遺棄事件を追う様子。
冒頭から犯人らしき人物が特定されています。

過去は、その人物の幼少期からの人間ドラマ。

全体構成としては、豪快などんでん返しとかはなく、
丁寧に人間ドラマを描いています。
貧困家庭問題と社会からの救済の折り合わなさを
懇々と説く感じは、『砂の器』っぽいのかな。
ちょっと長いと思ったけど。

刑事さんの泥臭い調査は『砂の器』感満載ですね。
ベテラン刑事と若手刑事が組んで
あちこち弾丸出張して(泊まる余裕はない)、
せめて駅弁を!つってもそもそ食べてる感じ、いいですね!

まあまあおもしろく読みましたが、
『砂の器』と言うのは荷が重い気もします。
店頭映えもあると思うけど。
ラストもあれで良いのか、ちょっと疑問。

なんとなく社会派ミステリというよりは、
刑事ものというか”刑事ドラマ枠の実写化向き小説”っぽい印象でした。

と思ったら、BSでドラマ化されてるんですね。
ジュウケイが竹中直人なのは、私の想像と違ったけど、
いいね!そう来たか!
石破刑事が大友康平なのもいいですね。
トレンチコートと駅弁が似合いそうである。
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【読書メモ】2014年6月 ⑤

2020-12-21 10:05:40 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年6月 ⑤>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。
なんだか、乱読したなあ、という月の、その4。
1ヶ月で17冊。
結構、読みましたね。


『悪の教典』貴志祐介
おもしろかった。
この人の作品、他にも読んでいたと勘違いしてたが、
初だった。
前半の蓮見という人を淡々と描くのはとてもおもしろかったけど、
後半のバトルロワイヤルっぷりはよろしくない。

(これ、単行本で読んだんです。
 重いよ〜、重いけど前半おもしろいかも〜、
 と思って腕をぷるぷるさせながら頑張って読んだわけです。
 で、後半は『バトルロワイヤル』なもんだから
 ぶん投げそうになったけど、がんばって読了しました)


『密室殺人ゲーム王手飛車取り』歌野晶午
「葉桜の季節に〜」の作者。
まあまあ。
(以下、ネタバレなので反転文字です)
主人公はどうせ女なんじゃないかと思ったら、そうだった。
(ここまで)


『仔羊たちの聖夜』西澤保彦
タックシリーズの3作目。
レギュラー陣の心の闇に切り込み始めるんだが、
私はライトタッチのままでいいんだが…。
最後のどんでん返しは良かった。


『出口のない海』横山秀夫
時代の流れに逆らえずに特攻に行く事になった
並木の人生を淡々と綴っている。
じわじわくる。
戦争怖い。

(特攻隊という名称は知っていても、
 その周辺を知っているとは言えない私にとって
 回天に乗らざるを得なくなった若者たちの物語は
 胸にグサグサきました。
 戦争というものを心底恐怖する。
 それでも読んで良かったと思う。
 いろんな角度で、心にくるものがある小説だけれど、
 読んで後悔する人は少ないと思う。
 読んでない人には薦めたいと思う。
 あと、しつこいけど戦争怖い)
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【読書メモ】2014年6月 ④ 天地明察

2020-12-18 16:04:13 | 【読書メモ】2014年
<読書メモ 2014年6月 ④>
カッコ内は、2020年現在の補足コメントです。


『天地明察』冲方丁
おもしろかった!
算学者で碁打ちで暦を作るって、どんだけ芸事の人なんだと。
こういう人が実在したんだなあと思うと
歴史というものも、しみじみ面白い。

(冲方丁は、だいぶ前に『マルドゥック・スクランブル』を
 100ページくらいで壁にぶん投げて読むのをやめた以来で。
 我ながら、よくまた手に取りましたね笑
 いや〜、読んで良かった!!
 超名作!!!
 
 『天地明察』は4代将軍・徳川家綱の時代、
 碁の名家に生まれた安井算哲(渋川春海)の物語。
 囲碁の家で育ち、成長と出会いを通じて
 算術・天文学・測量術へと興味が拡がる様が
 読んでいて胸躍るというか、羨ましいと言うか。

 時代の流れもあって、改暦という大事業に関わる主人公。
 順風満帆と言うこともできるけれど、
 ちゃんと迷って考えて自分で前へ進み続けます。

 絶体絶命!とか、倍返しだ!!とかは一切ないのだけど笑
 それが良いんです。
 淡々と面白いというか、しみじみと興奮するというか。
 ページ数もなかなかのものですが、あっという間に読んでしまいました。
 楽しかったなあ…。
 こういう読書ができると、幸せな気持ちになりますね。
 単行本で読んだから、物理的に、ちょっと、腕が疲れたけど…。

 保科正之とか光圀公とか本因坊家とか、歴史的に有名な人物も登場します。
 光圀公がなかなかワイルドな人物で、私が知ってる水戸黄門さまと違う笑
 
 と思ったものの。
 徳川光圀といえば、日本で初めてチーズやラーメン食べたとか
 生類憐みの令の時代にお肉もりもり食べてたとか
 おもしろい逸話が多い人だったことを思い出しました。
 逆に、お茶の間の黄門さまイメージに引っ張られすぎてたわけですね。

 というわけで、この後に『光圀伝』も読むわけです)
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