神足勝記を追って

「御料地の地籍を確定した神足勝記」を起点として「戦前の天皇・皇室・宮内省の財政について」のあれこれをとりあげる

神足勝記の山梨巡回 3 鶯宿・鳥坂峠

2023-12-25 21:23:42 | 勝記の巡回
  芦川・鳥坂峠:(富士山富士5湖Mapより)

 つづきです。
 神足は、明治14年10月3日、鶯宿(おうしゅく)から芦川をさらに遡り、東の黒岳にある水源を目指したようです。ところが、中芦川(学校の記号があるあたり)で休んだあと、距離を測る量程車が具合悪くなってしまいます。そこで、代わりに帯尺〔巻き尺のようなものでしょうか〕を使用して上芦川まで測り、その日は村役の家に泊めてもらいます。
 翌4日、水源まで到達することを目指して出発しましたが、とうとう量程車が壊れてしまい、修理のため甲府に向かうことにしました。そして、その後のことを神足は次のように書いています。
 「上芦川村を下り、字新村より北折、天神峠を超へ、奈良原村を経て・・・
 石和駅に出・・・」た。 
   
 私は、ここを読んで、「天神峠」はどこだろうか、「鳥坂峠」(地図中央上部)と違うのかなと思いました。そこで、昨日書いた古関(ふるせき)の帰りの余った時間に村の人何人かに確かめてみましたが、誰も知らないといいます。それなら、そもそもどんなところか見ることも必要と考え、日を改めて出かけてみました。

 
    鳥坂峠(天神峠):向こう側が芦川方面 左が釈迦ヶ岳方面

 石和温泉駅から前回と同じ時間のバスに乗り、奈良原を通り、鳥坂トンネルを通過したところのバス停で降りました。持参したミニサイクルを置いて脇に入ると、すぐに見つかりました。
 地図の「鳥坂トンネル」が現在の道路(新道)です。「鳥坂峠」とある方は旧道で、この地図だと今でも通れるかの印象を受けますが、すでに完全に封鎖されていて通行不能です。
 問題の「天神峠」は「鳥坂峠」旧道のほぼ真上にあり、新道のトンネル付近からいくらかのつづら折れの道を登るとここに到達します。道幅もあり、旧道の隧道(トンネル)が作られる前は、石和・奈良原方面との重要な峠だったことがうかがわれました。
 ここが、神足が通過した「天神峠」だろうとは思われましたが、証明するものにまだ出会えてはいません。

 さて、この日は秋でした。そこで、この鳥坂トンネルから西の市川大門まで、神足が日記で書いていることをあれこれ照合しながら、紅葉を楽しむことにしました。神足が上ってきたところを、ミニサイクルで下るのですから、少々後ろめたかったですが、それでも結構歩きました。
 それを書くのは別の機会にして、楽しんだことを2つ書きましょう。

 一つは、タヌキと話したことです。
 古関を出て少し下って高萩というあたりへ来た頃でしょうか。崖下に落ちた栗を2・3個拾っていると、前の方を急に黒っぽい物が横切って、反対側の田んぼへ入って行きました。タヌキでした。野生のタヌキを見るのは珍しいので、急いでそっちへ行って見ましたが、姿が見えませんでした。それで「やっぱりすばしっこいな」と思いながらキョロキョロ見回すと、すぐ脇の管の中に潜んでいるのがわかりました。
 

 見ると、居心地悪そうな中で、気まずそうにしてこっちを見たり、下を見たりしていました。そこで少し説教をしてやることにしました。
 「おい、こんなところで何をやってたんだ。びっくりしたじゃないか。いいか、お前の肉のことを牡丹ていうんだ。〔注:ボタンはイノシシ肉。誤りです。でも、確かにこう言ったのに、タヌキは反論もせず黙ってました〕。ヘタしたら鉄砲で撃たれて喰われちゃうんだぞ。わかってるか」などとあれこれ言うと、ますます困った風にして、下を向いたり、こっちを伺ったりしています。それがちょうどこっくりしたように見えて面白い。そこで、「今の国際社会はなんだ、ひどいな・・・」、「日本もな・・・」、「温暖化、心配だな・・・」、・・・「ワシの本はいつ出版できるんだ・・・」とワケの分からないことを次々にしゃべり続けて、最後に「おいどうだ」と聞くと、下向いて考えこんでしまった。そこで「お前は考えようとするだけエライ。今日は、ワシでよかったな」というと、上を向いてニコッと・・・そしてコックリと頷きました。
 いや、本当の話ですよ。以心伝心です。

 おまけに、この日はアケビのたわわに生ったツルを見つけて、5個も食べました。これが二つ目です。では。
 我が家のアケビ:
 10個も実をつけたのに、全部落ちてしまいました。

 

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