早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

定本宋斤句集  夏 10

2018-08-23 | 永尾宋斤の句集:宋斤 思い出の記・定本宋斤句集



定本宋斤句集  夏 10

青 葉 汁襲を解きつつ青葉の緑ひろし
葉 櫻 葉櫻の大和下市鮎の酢    
茂   一燈を楓しげる葉つつみかね
  修学院離宮拝観 中の御茶屋   遁ぐること迅き蟷螂生れけり
    林丘寺比叡をうしろに湧く茂り
緑 陰 緑陰を一戸けむらしつゞけけり
    緑陰や門のほかなる壁切戸
木下闇 鮎舟と見るが繁がれ木下闇 
草いきれ草いきれ鉗子の花のちりながら
   散 宵
百合の花 更け更けて百合の匂ふが頼りかな
走り藷 初島や夜明けのひと荷走り藷
西 瓜 夜の海に西瓜食らわんと漕ぎ出でぬ
胡 瓜 雨足りて胡瓜あだ花なほ黄なり 
篠の子 篠の子や大野開けたる片畔 
筍   筍を噛みつつ今年花を見ず
睡 蓮 睡蓮を去り行く山の日なりけり
夏 蕨 蝉涼し泉湧く邊は夏わらび
    修学院離宮拝観
苔の花 苔の花すゞろ袖形御燈籠
濱木綿 濱木綿の日南たしかや陶の蟹