宋斤の俳句「早春」昭和十八年四月 第三十五巻四号 近詠 俳句
近詠
朝ざくら参差の奥に澄みにけり
飛機の見えず蝶の生まれ降る街の空
春水に筏解くあり夜も木挽く
春の月銃後のかくてありがたき
白晝の石甃はづさず蜂泳ぐ
野を見たし末黒の中を歩きたく
花の下句に怠りの友と逢う
暁けくるに間あり蔵並み河岸柳
春雨に芭蕉は草か葉の匂ひ
街は燈を漏らさず春夜むらさきに
雪女
すそ捲いて吹雪のうつる雪女
雪女しかと早みてすでになし
くるぶしをあざやか運び雪女
近詠
朝ざくら参差の奥に澄みにけり
飛機の見えず蝶の生まれ降る街の空
春水に筏解くあり夜も木挽く
春の月銃後のかくてありがたき
白晝の石甃はづさず蜂泳ぐ
野を見たし末黒の中を歩きたく
花の下句に怠りの友と逢う
暁けくるに間あり蔵並み河岸柳
春雨に芭蕉は草か葉の匂ひ
街は燈を漏らさず春夜むらさきに
雪女
すそ捲いて吹雪のうつる雪女
雪女しかと早みてすでになし
くるぶしをあざやか運び雪女