早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十八年四月 第三十五巻四号 近詠 俳句

2023-10-18 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十八年四月 第三十五巻四号 近詠 俳句

    近詠
朝ざくら参差の奥に澄みにけり

飛機の見えず蝶の生まれ降る街の空

春水に筏解くあり夜も木挽く

春の月銃後のかくてありがたき

白晝の石甃はづさず蜂泳ぐ

野を見たし末黒の中を歩きたく

花の下句に怠りの友と逢う

暁けくるに間あり蔵並み河岸柳

春雨に芭蕉は草か葉の匂ひ

街は燈を漏らさず春夜むらさきに

   雪女
すそ捲いて吹雪のうつる雪女

雪女しかと早みてすでになし

くるぶしをあざやか運び雪女