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先日、「白いリボン」の公開に合わせて開催された
「映画祭 ミヒャエル・ハネケの軌跡」で日本初上映となった
ハネケを追った約1時間のドキュメンタリー
ハネケ好きとしては、こりゃ行かなくては。と、
映画祭で上映の作品はDVD化しているし全部観てるので、本作だけ観て来た。
「24 WIRKLICHKEITEN IN DER SEKUNDE」の原題で2004年に海外では公開済み。
若い2人の女性監督、ニナ・クストリッツァ 、エヴァ・テストール が
「タイム・オブ・ザ・ウルフ」ができるまでの2年半に密着、鬼才ハネケの素顔に迫った。
日本でも評価を受け話題になった「ピアニスト」の直後作られた「タイム・オブ・ザ・ウルフ」。
同じイザベル・ユペールを主演に起用。
以前ハネケの映画のレビューに書いたように、ミヒャエル・ハネケという人は
観客に観た後の答えを求めていない。
とにかく、解釈は観たひとそれぞれに委ねると言い放つ。
「映画とは、毎秒[24]の嘘だ。
そこに真実が、あるいは真実のヒントが潜んでいる。」 ミヒャエル・ハネケ
映画への姿勢や思いに迫った貴重なドキュメンタリー。
緊張感みなぎる撮影現場、誠実さ溢れるティーチイン、笑いの絶えない取材風景に加え、旅の途中で何気なく始まるやりとりの中にハネケの"真実"を拾ってゆく。
浮かび上がるのは、映画に没頭する一人の"職人"の姿だった・・・。
という解説なんだけど、動くハネケを初めて印象としては
1 渋くて素敵。
2 決して妥協を許さない、職人気質で真面目。
3 イメージ通り。
「俳優じゃないんだよ」なんて言いながら、少し照れながらカメラマンに写真を撮ってもらうような
素のハネケが見られたのは嬉しかったけど
しかしドキュメンタリー映画としての内容としては、少々内容薄過ぎ。
DVD特典についてくる15分くらいのオマケ映像という感じでお金とって見せるまではいかないんじゃ。
汽車の中での奥さんとの会話で「想像してしまって、怖いから本は読まない」と言った妻に対し、
「自分の脚本から、映像を想像することはない」という言葉が印象的。
「隠された記憶」でのあの残虐シーンでは、奥さんは思わず上映で観てる時に声を上げちゃったらしい。
自分の作品で満足していて好きなのは
「セブンス・コンチネント」「コードアンノウン」「71フラグメンツ」のどれも興行的にはあたらなかった作品が好きだと言ってた。
ハネケが「隠された記憶」の時のインタビューで語っていた
「人間の『罪』を表現したい」
「私は,解釈は提示しない」
この2点はいつもハネケ作品を観る時において、重要。
答えなんてどうでもいい。
肝心なのは、何を感じたかっていうこと。なんだよね。
2004年 オーストラリア 58min
で、前に観たけど印象の薄かった
「コードアンノウン」CODE UNKNOWN / DODE INCONNU
をDVDでまた最近観直したので、この時間のない時だけど 簡単にレビュー残しておこう。
2000年 オーストリア・フランス 111min
出演 ジュリエット・ビノシュ 他
カンヌ国際映画祭エキュメック賞受賞作品
冒頭、視覚障害の子供達のカット。手話で思い思いの仕草をして、それが何を意味しているのか当てっこしている。
一人の男が道でホームレスの女性に向かってゴミを投げる。
通りすがりにそれを見た男が「女性に失礼だから謝れ」と文句をつけてきて、警察がくるトラブルになる。
誰かのお葬式のシーン。
女優が映画の吹替えで男優と共に大笑いしてNGを出す。
電車の中、アラブ系の男が女優に絡んでくる。避けようとすると顔にツバをかけられる。
横にいたそれをみて、一言。
女優夫婦が家でいちゃついていると、息子がベランダの外に落ちそうになる。
太鼓を叩く学生たち。
多様な人々のさまざまな日常の断片が、ひとつのシーンごとにいちいち暗転して映し出される。
普通の群像劇だと、それぞれバラバラなシーンが映されたあとで、一つの繋がりに帰結する。
それが、ハネケとなると たくさんの伏線や、このあとどうなる?!となっても
とくに何も起こらず、オチもなく、解決もないまま終わる。
何故それを見せてるのか、不明のまま観客は見入る。
もしくは、ひとつひとつが何も起こらないから ダラダラとしたもののように見え、退屈してしまうか寝てしまいそうになる。
本作、ハネケ自身が気に入ってる作品のひとつ。
わたしにはいまいち理解不能だけど
決して面白い映画ではないことは確か。
それでも何かを訴える作品であることは確か。
それはやっぱり、日常に潜む 悪。
不快なものについて。
作品の初めには、「それぞれの未完の旅物語」の記述。
「コードアンノウン」=未知なる暗号
答えが出たり、分かり易い、もしくは難解な衝撃を受ける作品が好みのわたしには物足りない。
大いにハネケらしいんだけど、映画としての面白さはなくー。
嫌いじゃないけど好きでもない
5/10(57点)
最新作「白いリボン」は、
銀座シネパトス他
拡大公開で新宿武蔵野館でも上映中~。
年明けもう一度観たいな。
ふ~、こんな中途半端な点数の映画で今年のレビューは全て終了!
DVD鑑賞のレビューは書いてないのも多い。どうしても書いておきたいのもあるので、それはまた来年☆
明日はいよいよmig的 2010年ベスト&ワースト映画の発表です
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