アカデミー賞作品賞、主演女優賞ノミネート。
メリル・ストリープ❌トム・ハンクス❌スティーヴン・スピルバーグの、実在の人物で描く社会派ドラマ。
都合の悪い真実をひた隠しする政府に対し、真実を伝えることの信念を貫くことに挑んだジャーナリストたち。
日本の今の政治にもかぶるところが大ありで、タイムリーで興味深い。
メリル・ストリープはワシントン・ポストの発行人キャサリン・グラハム。
本作でアカデミー賞主演女優賞ノミネート(18回目)
トム・ハンクスは同紙の編集主幹、ベン・ブラッドリー。
実際のお二人。
脚本家はリズ・ハンナ。
元々、夫の自殺で主婦から一躍新聞社の社主となったグラハムに興味を抱いて、彼女を主人公にした物語を考えていたという。
そして、彼女の伝記や関係書籍を読むうちに「ワシントン・ポスト」の社主として
ペンタゴン・ペーパズの公表を決断した、その時期にフォーカスを絞って脚本として執筆した。
原題「The Post」は、そのキャサリン・グラハムの人生の再起点となったライフストーリーという意味合いも含む。
時はニクソン政権下。
機密文書“ペンタゴン・ペーパーズ”を公開し、ベトナム戦争の欺瞞を暴き出したワシントン・ポスト紙に焦点を当て、
就任したばかりの女性発行人キャサリン・グラハムが政府を敵に回し、
経営危機を招く危険を冒してでも記事にすべきかという重い決断を下すまでの葛藤、
そして、政府に屈せず言論の自由を守るために戦ったジャーナリストたちにスポットがあたる。
6/10(66点)
スピルバーグ作品と忘れてたほど、エンタメ性に溢れたふうでもなく過去の実話を追った作品。
一見、難しくも思えるアメリカの政治とメディアとの関係性を
社会派映画として堅すぎず映画らしく描くのはさすがスピルバーグといった感じで
キャストも名優揃い、退屈しないで観ることができる。
時代背景と人物(実在)を踏まえた上で観るとより理解が深まって面白いと思う。
ラストでのちのウォーターゲート事件に繋がるので、
'76年のレッドフォードとダスティン・ホフマン共演「大統領の陰謀」をあわせて観るのもおすすめ
2003年の「ペンタゴン文書/合衆国の陰謀」ジェームズ・スペイダー、ポール・ジアマッティ、アラン・アーキンの作品もあり。
そうそう、エンドクレジットには、「ノーラ・エフロンに捧げる」の一文。
ジャーナリストでもあったノーラ・エフロンは「恋人たちの予感」(89)の脚本や「めぐり逢えたら」(93)の監督・脚本を手掛けていて
2012年に他界。生前から懇意だったスピルバーグ監督。
メリル・ストリープは「シルクウッド」(83)や「ジュリー&ジュリア」(09)で、
トム・ハンクスは「めぐり逢えたら」や「ユー・ガット・メール」(98)で組んでいるという縁がある。
ちなみに、それだけではなくて
ノーラ・エフロンの元夫はカール・バーンスタイン。
「大統領の陰謀」でダスティン・ホフマンが演じたワシントン・ポストの記者であり、
ニクソンを辞任に追いやったジャーナリストの一人がノーラ・エフロンのパートナーだったという点でも繋がりが。
いろいろな側面から観てみるともっと深く、面白く感じられそう。
ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。ニューヨーク・タイムズはベトナム戦争に関する政府に不都合な事実が記載された最高機密文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”についてのスクープ記事を発表する。アメリカ中が騒然となる中、ニクソン政権は裁判所に記事の差し止め命令を要求する。タイムズが出版差し止めに陥る一方、出遅れたライバル紙のワシントン・ポストでは、編集主幹のベン・ブラッドリーが文書の入手に奔走する。やがて全文のコピーを手に入れたポストだったが、それを公表すれば裁判となって会社の将来を危うくしかねず、経営と報道のはざまで社内の意見は大きく二分する。そしてそんな重大な決断が、亡き夫の後を継ぐ形でいきなりアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人となったキャサリン・グラハムに託されたのだったが…。
THE POST 2017年 アメリカ 116min
3月30日より、公開中〜
プレミアにて
エンタメ性たっぷりのスピさん新作、「レディプレイヤーワン」も4月20日、日本公開
そちらも楽しみ