米国の女性作家ジョイス・キャロル・オーツの双子をテーマとした短編小説「Lives of the Twins」を
フランソワ・オゾンが監督&脚本で映画化。
クロエを演じるのは、2013年の「17歳」でもオゾン監督とタッグを組んだ、マリーヌ・ヴァクト。
双子の精神科医を演じるのはジェレミー・レニエ。
恋人である優しいポールとは対照的に、傲慢で挑発的なルイにもどこかで惹きつけられていく。
オトナの男の渋い色気
クロエの母親に、ヘップバーンと共演「いつも二人で」のジャクリーン・ビセット(ちなみに1974年の「らせん階段」で主演。)
クロエは原因不明の腹痛に悩まされていたのだが、精神科医ポールの真摯なカウンセリングによって克服し、やがて愛し合うようになる。しかし、同居のための引越しで開いたダンボールの中から、名字が違うポールの古いパスポートを偶然見つけてしまう。ポールに対しての疑念が晴れない中、彼がいるはずの無い場所でポールとそっくりな男性を見かけたクロエ。
ポールに話すと「人違いだ」と言うが信じられず、その男性ルイを探し当てるクロエ。
ルイからは、自分はポールの双子の兄で、同じ精神分析医をしていると説明される。クロエは偽名を使って、ルイの診察室に通い始めるが、、、。
ポールを愛しているのに、セックスにはどこか満たされないクロエ。
ルイの過激なセックスで溺れてしまうも
ポールといるときはルイを、ルイといるときはポールを想ってしまう。
8/10(83点)
双子って面白いなぁと思ってしまうんだけど、オゾン監督も以前から双子に関して興味があったようで
この小説の映画化と脚本、脚色を希望して実現したとのこと。
実際に双子(一卵性双生児)の場合、考えが似てるとか以心伝心とか好きな人のタイプが似るとかよく聞くけれど
実態はまぁ人それぞれだとは思うけど。
この映画では、一人の女性が二人の男の中で妄想かリアルかわからなくなるような混沌とした雰囲気もあり、
セックスシーン(短い)もあれどエロスを感じるような映画ではない。笑
オゾン監督の作品にしては、珍しくクローネンバーグ監督作風テイストを感じたんだけど
やはり本人も意識してたみたいで、内容もまさに一卵性双生児の男と一人の女性を描いたホラーサスペンス
ジェレミー・アイアンズが双子を二役で演じた「戦慄の絆」を挙げている。
(もっとも、主演を演じたマリーヌ・ヴァクトは、意識してしまうから戦慄の絆は観ないで挑んだとか)
それは置いておいて、この物語、顔は同じでも性格は全く真逆の双子(うち片方は恋人)の過去の真相と秘密を
知ろうとしていきながら、実は自分の中の謎を解明していく仕組み。
クロエが働くアートギャラリーの美術や作品、鏡や光の反射までもを取り込んで観る者にミステリアスに仕掛けてくる。
カルティエの猫のブローチ
螺旋階段
謎の隣のおばさん。
猫のブローチに関しては、ラスト近くで母親がつけていて ほほう?となる。
愛した男は優しいポールか、それとも兄のルイなのか。
残されたのは果たして。
うーん、これは何度も観たくなる面白さ。見れば見るほど、見えてくる全貌。
何度でも楽しめるタイプの作品。そして観た人と語り合いたくなる系。
双子って、やっぱり魅惑的で不思議な存在だ。
正解はないと監督が言うように、どうにでも捉えることができる作品でもあるため
あえてネタバレはしないので
気になる方は是非、劇場で。
うーん、DVD出たらまたじっくりと見直したい。
公式サイトが鏡っぽくて面白い。
L’amant Double 2017年 フランス 107min
8月4日より、公開中〜。
マリーヌ・ヴァクトとガエルの共演作、「Si tu voyais son coeur」(英題「If You Saw His Heart」)
日本ではいつ見られるのか、、、、観たい。
カンヌ映画祭にて