「サンキュー、スモーキング」「JUNO ジュノ」「マイレージ、マイライフ」の
ジェイソン・ライトマン監督作。毎回書いてる気がするけど父親はコメディ映画の巨匠、アイヴァン・ライトマン。
「ヤング≒アダルト」で主演起用した、シャーリーズ・セロンと再ダッグ。
シャーリーズといえば、キアヌと共演した「ディアボロス」で全裸になったり、
2003年の「モンスター」では、10キロ増量し、「マッドマックス 怒りのデスロード」では坊主になったりと
役作りをして体当たりで挑むのが有名。
本作では18キロ〜22キロも増量してのこの見事な重量感で、
劇中 娘役の子に「ママその体どうしちゃったの」と言われる始末。
ま、こんなにデブってすっぴんで挑んでも綺麗なんだけど。
マーロは二人の子供を抱え、さらにもう一人赤ちゃんが生まれて育児に追われロクに眠ることすらできない。
夫ドリューには、ロン・リヴィングストン。
「セックスアンドザシティ」のシーズン6で、キャリーの最悪の元カレ、ジャック・バーガーとして出演
本当にイラっとくる男をやらせたらピカイチ、右に出るもの無しのお方で
本作でもそのキャラが見事にハマる。 SatCのキャストの中では一番色々出てるんじゃないかな。
ジェームズ・ワンの「死霊館」でもサエないパパ役。
マーロの兄が出産祝いに雇ってくれた、ナイトベビーシッター、タリーに
「恋人まで1%」「ブレードランナー2049」のマッケンジー・デイヴィス。
なんでもこなし、心のケアまでしてくれる完璧なタリーに
誰にも頼ることのできなかったマーロも次第に心が解放され打ち解けるように。
子育てに忙しい主婦にベビーシッターはあちらではもう当たり前。
夜だけ来てくれるナイトシッターなんて知らなかったけどなるほど確かに便利。
赤ちゃんにおっぱいあげるときだけは母親を起こして、あげてからまた寝てもらう、または休んでもらう。
数ある映画の中でも、ここまで育児中の母親の姿にクローズアップしているのもあまりない気がしたけど
前半はもう、二番目のお兄ちゃんは車の中運転席に向けて足をバタバタうるさく落ち着きがないし、
お姉ちゃんはもう手を離れてるけれど、男の子の学校の送り迎えある中
赤ちゃんのオムツ替え、ご飯、おっぱい、の繰り返し。
それがどの赤ちゃんいる家庭でも当たり前とはいえ、ずっと映像で前半数分繰り返されると見ているこちらすら
うんざりしてくるほど。
子育てをしながらも自分の時間の確保はとても難しいもの。子育てをしていないわたしもわかる。
その妻を支えるべき夫は、妻に任せっきりで出張だったり、家にいてもベッドでヘッドホンつけてTVゲーム。
かなりイラつく男だわ 協力しろ
だけど妻はそんな夫でも文句も言わず、レトルトの食事を子供達に出しつつ家事をこなす。
ストレスがたまるのも無理はない。
そしてある時やってきたお助けマン。
完璧にしたいことをしてくれる。
2人の幼い子どもの育児に追われるマーロだったが、お腹の中にはもうすぐ生まれてくる3人目の赤ちゃんが。それでも夫のドリューは優しい言葉をかけるだけで、家事も育児もマーロ任せ。元来が真面目で完璧主義のマーロはたった一人で頑張ってきたが、それも3人目が生まれてついに限界に。抵抗を感じながらも、裕福な兄クレイグに紹介された夜専門のベビーシッターを頼ることを決断する。やって来たのは、意外にも若くて美しい女性タリー。しかし見た目の印象とは裏腹に、その仕事ぶりは完璧。そんなタリーのおかげで肉体的にも精神的にもゆとりを取り戻していくマーロだったが…。
7/10(70点)
ここからネタバレあり
原題の「タリー」も名前タイトルでありがちだけど、邦題イマイチすぎだな〜。
正直、タイトルには全く惹かれなかったし。
コメディドラマと言われてるけど、笑えないしコメディじゃないよ
なかなかにシリアスなドラマ。
え〜、こんなおっぱいあげてる時も横で見てるの〜?
なんて不思議だったり、ずいぶん他人の子なのに初対面ですでにめっちゃ可愛がるなぁと思えたり
シャーリーズももちろん良かったけど、マッケンジー・デイヴィスも魅力的。
多々、不思議なシーンがあり。
観ながら、こんなよくできたナイトシッター、実は子供達を狙っていたり(ホラー見すぎ)
夫に近づくシーンでは、夫に色仕掛けしてありがちなシッターとの不倫に持ってくか?(ジェイソン・ライトマンぽくない)
はたまた、シャーリーズとまさかレズになる展開??(実際ありそうなとこまでいった)
いや、これ妄想か?
なんて色々考えていたんだけど
やっぱり一筋縄ではいかなくて、ただのドラマではなくファンタジー入ってた。
そしていろんな謎が判明するラスト20分。
突然、もうナイトシッターをできない。と言い出すタリー。
まさかやっぱり好きになっちゃった。とか言い出すのではと思いきや(レズ展開期待しすぎ)
なるほどそういうこと。
同居してる女性。二人で家を抜け出して夜のブルックリンに飲みに繰り出す。
昔住んでいたアパートに行く。
そして、車の事故。
マーロの旧姓は、タリーだった。
忙しい自分と向き合う時間をくれた、もう一人の自分との出会い。
実はタリーは、睡眠障害で精神的に参っていたマーロが見ていた過去の自分の幻想だった。
タリーを生み出すことで、彼女の行動や言葉が、実生活の中でうまくヒントとなり、マーロ自身を自分で救っていた。
でも夫が、シッターはどんな人かと聞いてきたり 夫の昔の願望のウェイトレスのコスしてタリーが接触したりするシーンや
夫の言葉もあるのはかなり思わせぶりな作りだなぁ、
あれは本人がやってたと言うことになるのか、それにしても実際に「シッターのおかげで熟睡できた」っていうセリフもあるのにな。
20代の頃の自分はまだ自由奔放で、何にも恐れてなかった。
今は守るべきものがあり、思うように身体もついていかない。
その対比がうまく描かれ、自分が自分をサポートしてたことで意識も変わり
新しく生き生きとした人生を取り戻し、生まれ変わることができる。
なかなか素敵なお話でした〜。
ラストシーン、良かった 息子ちゃんにこんな風に言われたら
TULLY 2018年 アメリカ 95min
8月17日より、公開中〜
NYプレミア
シャーリーズ、ミニスカ。