オフシーズン

be loyal to me

母の死後　突然現れた祖父に引き取られて成長した健作は
実は母が祖父との過失の結果によって生まれた子供であることを知り苦悩します
健作にはどこに行っても心の平安が訪れません

そののち
健作は直子という娘と結婚します
ところが直子は健作の留守中にいとこと過ちを犯します

健作は直子がいとこと不貞を働いたことを知って以降関係がギクシャクし別居を決意
ひとりで伯耆の大山に赴き、寺に身を寄せます・・
健作は大自然にふれていくうち心が少しずつ自己浄化されていきました
　ところが健作は大腸カタルにかかり高熱をだします・うあごとで妻の名を呼び

それを知りやがて病床にかけつけた直子と再会しました

　　健作は、黙って直子の顔を
　　眼で撫でまはすように只視ている
　　それは直子には未だかって何人にも
　　見たことのない　柔らかな
　　愛情に満ちた眼差しに思はれた


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　暗夜行路：志賀直哉

やさしいキスをして

僕はなにかの飲み会の次の店に行く際に
先輩のさそいでそのラウンジに行くことになった

カノジョと初めて出会ったのは、そのラウンジだった
すでにカノジョはその店のママについており
てきぱきと客をさばいていた印象がある

その時はすこしケバイ女という印象しかなかったし、
僕のタイプとはかけ離れていたので先輩がカノジョを紹介してもあまり反応しなかった
先輩はこの店にはかなり前から通っているようでサブのママさんとも親しく話していた
僕はその初めて行ったその時に酒に酔って暴言を吐いてカノジョと口喧嘩したみたいだ
次の日　先輩に昨日のようなことをしたら殺すといわれた

初めはその先輩と2人でその店に通うようになり、そのあとは僕一人でその店に行くようになった・・


僕はその店に目当ての女の子がいるわけではなく
女の子達も僕が目当てではなかったと思う

そんな　独りの僕に一番沢山接客スル立場にあるのは
ママのカノジョだった

カノジョとは何故か映画の趣味が合い
何度か一緒に映画に観に行った
映画の内容はアニメやSFだったが
僕らの本当の趣味は悪趣味映画だった
カノジョは冷たい熱帯魚という作品をとても気にっていたのでDVDをプレゼントした
今思えば変態村も貸してあげたらなと思う・・

後からわかった話なのだけれども
カノジョと僕は年齢が同じで通っていた高校も同じだった
ただ僕はその高校を1年の時に中退したので、わからなかったのだった
カノジョは高校時代は活発な少女で軽音楽部にはいってバンドを組んでいたらしい
僕は初めに通った高校はすごく嫌な思い出しかないが
もし我慢して通い続けていればカノジョと巡り合えてたかもしれないと感じた

　夜の街は居心地が良い

カノジョは僕に夜の街の楽しさを教えてくれた

　彼女の死を知ったのは、店を訪れなくなって2年を過ぎたあたりだった
　肝臓がんできづいた時にはもう手遅れだったそうだ

僕のスマホにはまだあつこという名前の番号が残してある
カノジョの思い出として・・