(昨日の続きです)
ピアノの椅子に座ると、ミノ君は、辞める理由を静かに語りました。
3年生になり、やる気が出てきたので、来年の受験に向けて頑張りたい。
学力が遅れていることを痛感しているので、
寸暇を惜しんで勉強しなければ!と思っている。
なので、ピアノのレッスンは、今日でお終いにしたい。
~とのことでした。
私は、
「受験生のとって1番大事なのは勉強なのだし、
ミノ君の気持ちを尊重するので、ピアノを辞めるのは構わないよ。」と伝えました。
ミノ君は「ありがとうございます。」と、頭を下げました。
その後は、「せっかくだから、最後のレッスンをしようね。」と言って
今練習している、モーツァルトのソナタ・イ短調のレッスンをしました。
レッスンは、淡々と進みました。
なるべく普段通りにしたかったのです。
私は、思い出話もせず、特別な感想も言わず、あっさりとレッスンを終えました。
高校生男子にとって、そのような類いの話は、あまり好みではないでしょうから。
ただ、私は別れ際に「ミノ君、握手しようぜ。」と言って、握手を求めました。
わざと乱暴な喋り方が、勝手に口から出ました。
ミノ君は、嫌がらずに握手をした後で、
「ありがとうございました。」と深くお辞儀をして帰って行きました。
4歳から13年間、親密に指導したミノ君。
不登校の時も、欠かさずレッスンに来てくれたミノ君。
一緒にテニスの話をして、楽しかったね。
来週から、ミノ君が来ないなんて、寂しいなぁ。。。
でも、不登校をようやく克服して、今、しっかり前を向いているミノ君を、
私は、これからもずっと応援していきたいと思います。