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貴重なもの、嬉しかったこと

2015-03-11 02:27:40 | 九州の梅を訪ねて

 

 福岡県の香春町から国道201号を東にはしり、みやこ町豊津の豊津梅林を目指しました。

 

 事前に調べていた住所は「福岡県みやこ町豊津大字二月谷」でした。

 

 しかし、ナビに住所を入力すると、「みやこ町豊津」から先は番地を指定する画面が現れ、二月谷は通称としての地名らしいことが分かりました。

 

 しかたないので、豊津主要部をナビに入力し車をはしらせてきました。

 

 ナビが「目的地へ到着しました」とアナウンスしたのは、みやこ町役場支所の前でした。

 

 平日の昼前なので、周囲に人影はありません。

 

 支所の中に男性が一人、机に座る認めたので窓口まで行って、「すいません、東京から来て、九州の梅園を廻っていますが、豊津梅園の場所を教えて頂けないでしょうか」とお願いしてみました。

 

 支所の方は「豊津梅園は廃園になっているんじゃなかったかな?」と言いつつ、親切にネットで地図を検索し、それをプリントして、行程をマーカーで塗り示してくれました。

 


 

 教えて頂いた通りに車をはしらせ、豊津梅園に着くと、支所の方のお話の通り、梅園の梅の木は朽ち果て、周囲に竹藪が茂り、荒れ果てた姿を見せていました。

 

 このような光景を目の当たりにすると、梅が数多くの人手を介して花を咲かせていたかが分かります。

 

花を楽しめる状況は、平和な時代であればこそ、花を育てる平穏な生活があってこそとの思いを深めました。

 

 わざわざ廃園に足を運ぶのは初めてなので、めったに見れない貴重な光景を目にすることができました。

 

 

 支所の方から、豊津には豊前国分寺があって、そこにも梅の花が咲くはずと教えてもらったので、豊津梅園の次に、国分寺へ向かいました。

 

 豊前国分寺は、三重塔が福岡県の重要文化財に指定されています。

 

    

 

 石盤の解説に、

 

 「豊前国分寺は、奈良時代の天平13年(741)聖武天皇の勅願により建設された国立の寺院の一つである。

 戦国時代に焼失し、明治28年に塔が再建されたが、昭和27年に落雷を受けて大破後、昭和62年に、全町民や企業の寄付を得て、明治建立時の忠実な再現に留意して修復工事を完了した」と記されていました。

 

 そして、「この三重塔には、奈良時代豊津の地に国府・国分寺が設置され、この地が国府政治・文化の中心であった往古を象徴する建造物である」と結ばれていました。

石盤の記載の末尾に 昭和62年5月 豊津町 とあります。

 

 現在はみやこ町ですが、2006年3月に京都郡の犀川町・勝山町・豊津町が合併してみやこ町となったようです。

 

 京都郡と書いて、みやこ郡と読むと、これも支所の方に教えて頂きました。

 

 この地の歴史的な背景がしのばれます。

 


 みやこ町を出発し、築上町の網敷天満宮を目指しました。

 

網敷天満宮はナビに任せて、難なく到達することができました。

 

 

 程なく、この辺りの地名を冠した梅祭りが始まるようです。

 


 

 境内に参拝者の姿は殆ど見えませんが、鳥居の横で梅ヶ枝餅の屋台が、にぎにぎしい装いで手持無沙汰を見せていました。

 


 

 ここも花のタイミングには早すぎましたが、手入れが行き届いた梅の木の見事な姿が、最盛期の賑わいを想像させます。

 

 

 境内の稲荷に向かう、鳥居の重なりが見事でした。

 


 

赤い鳥居の横で白梅が数輪、遠慮がちに花をほころばせていました。

 

 梅の香漂う季節に白梅が赤い鳥居を囲めば、境内は華やかな風情に包まれるはずです。

 

 

 

 境内には寛永14年(1638)に植栽したと推定する、樹齢370有余年の大蘇鉄が枝を広げていました。

 

 これだけ大きな蘇鉄が育つのですから、雪に降られても、九州はやっぱり温暖なのだと思います。

 

 昔は、関東周辺で蘇鉄が育つのは伊豆大島ぐらいですから、この辺も同程度の気候と考えて良いのでしょうか。

 

 蘇鉄の木を見ると、昭和生まれの私の脳裏に、田端義夫の「島育ち」、赤い蘇鉄の~♪ 実も熟れる頃~♪ と云うメロディーが浮かんできました。

 

 ん~ 何故なんでしょうか、このメロディー ひょんな時に突然、左右の耳の間に流れるんですよね。 皆さんもそんな経験ございませんか。

 

 

 そして嬉しかったことは、網敷天満宮の境内の先に広がる周防灘の静かな広い海。

 

 午前中まで、雪景色だったのが嘘かとも思える暖かな陽射しの海岸に立つと、「気になるあれやこれやなんて、もうどうでも良いわい」と云った気分になります。

 

 いや~ホント、私は極めて安上がりな人なのかもしれません。

 

 

  

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