かいごん塔から国道388号、446号を戻り、尾鈴山を周り込んで西都市へ向かう県道22号に入りました。
県道22号は工事中で、一時間に一回だけ通行できる交互通行規制が行われていました。
県道22号に入る分岐点に、何やらそれらしき表示がありましたが、ダメなら戻ればいいと、タカをくくって、ここまではしってきました。
なにしろ、ここを通れないとなれば、今日は、この後の計画が全てご破算なのです。
「停止位置」の場所で、赤白の旗を持つ小父さんに、「あとどれくらい待つの?」と聞くと「10分ぐらい」との回答が得られました。
私の車の練馬ナンバーを見て、「東京からはしって来たの?」と聞かれましたので、4日夜に東名を出発して、車で九州の梅を廻っていることを話しました。
「これから何処まで行くの?」と聞かれたので、次の目的地の「大椎葉有楽椿」の住所を伝えると、
「そりゃ、だいぶ遠いね」との返事が返ってきました。
そうなんです、このルートが通れないなら、私の今日の旅はもう店じまいです。
こちら側の通行時間が来て、ゴーサインと共に県道22号をはしり始めました。
はしり始めて直ぐに、小丸川を渡りました。
小丸川の左岸を下流へと向かう県道22号は、道巾が広がり、心地よいドライブが続きました。
下流にダムがあるのでしょう、小丸川は森の緑を溶かし込む色に水を湛えていました。
エメラルド色の水の上の、赤錆びた橋を対岸へ渡ります。
周囲の山々の深い緑が、水辺にこぼれ落ちそうです。
橋を渡りきると、中之又の分岐に出ました。
その先で、再び道巾が狭まりました。
対向車があれば、ちょっと厄介そうな道です。
100メートル以上にも亘る工事区間は、右側が山の崖で、左側も路肩から崖が川へ垂直に落ち込んでいました。
この状況では、交互通行も致し方ありません。
左手に小丸川を見て、交互通行の道を進みました。
対向車の心配がないので、周囲の景色を眺める余裕が生じます。
道路標識も信号もない緑の道で、ハンドル操作にだけ注意して、運転を楽しみつつ、はしり続けました。
やがて、小さなダムの脇を通過しました。
暫くはしると、谷と道路幅が広がり、緊張感から解放されましたが、今度はちょっと退屈です。
しかし、ここからが長かったのです。
県道22号から、国道219号へ入り、一ツ瀬ダムの手前で右折して、大椎葉トンネルを抜け、尾八重川に沿って進みました。
トンネルの入り口に見かけた後、要所要所に現れる、「有楽椿の里 →」の看板を頼りに進みますと、道は途中から尾根へ登り始めました。
気付くと、尾八重川を谷底に見下ろす尾根の上にいました。
その先の「有楽椿の里 →」の標識は右手の尾根に通じる道を示し、距離は11kmとあります。
車はナビの画面の中で、道のない、山の斜面を進んでいました。
ナビを購入して7年程が過ぎましたから、ナビも相当疲れてきたようです。
此処まで来ると、時折出てくる標識だけが頼りです。
やがて、道は下り坂となり、
その先の集落で、再び「有楽椿の里 →」の表示を目にしました。
残りは5km。
しかし道は、集落を抜けた後、反対側の尾根に登り始めました。
時間は既に17時を過ぎていました。
さすがに心配になり、のろのろと通りかかった車に声を掛けて、道を尋ねました。
集落に人影は全くありません。
このチャンスを逃がすと、二度と人に出会うことはなさそうに思えました。
そして、やっとのことで「有楽椿の里」の駐車場に辿り着いたのが17:10分。
現在地をナビで確認すると、県道22号線で工事中だった場所の、尾根を挟んだ反対側でした。
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