コブシ咲く

　家からすぐ近くの通りはコブシの並木になっている。
　つい先日まで茶色っぽい殺風景な景色に覆われていた。

　ところが、同じ茶系でも枝がふっくらしてきた感じだった。
　今日、気がつくと１本だけ白い花がほぼ満開に咲いていた。

　この調子で暖かい日が続けば残りも一斉に花開くだろう。
　コブシは春を告げる花、この花で春の訪来を実感する。

　2ｋｍぐらいの並木、全部が満開になると毎年見惚れてしまう。
　「花の命は短い」を代表するかのような散り方をするのが残念。

　コブシの後か平行するかして桜が咲き始める。そして春爛漫。
　

　

草をひく

　朝起きてみるとうら暖かい日差が差し込んでいた。
　取り立てて用もないので庭の草引きを思い立つ。

　柔らかい緑色の草があちこちから顔を出している。
　植木鉢の中も草まみれになっているのがある。

　草を引く、抜くではなく摘む感じ、雨上がりで柔らかい。
　食べられるのなら、おひたしにでもすれば美味しそう？

　草引きは無心になれる。人が言うほど嫌いではない。
　気がつくと昼、夫のご飯の催促で終わりにした。

　今日は春を肌で感じた日曜日、外が気持ち良かった。
　

　

　
　

　

はしごする

　土曜日はシールサービスの日、サティまで買い物に行く。
　100円以上の食品なら1個につき20円引のシールを貼ってくれる。

　普段値引きしない物を何点か買う。10点買えば200円の得。
　店を出ると夫が、ついでに市外にも行きたいと言い出した。

　「買わなくても市場調査！暇だしドライブがてら行こうよ」
　「値引きだから来たのに、それに方向違いよ」抵抗する私。

　でも言い出したら夫はしつこい。根負けして付き合うことに。
　「ガソリン代も馬鹿にならないのよ」ブツブツ言いながら運転する。

　結局あちこち４店もの店をはしごした。冷蔵庫の中は満タン。

　
　

　

　

正負の計算

　「○○さんちの子、××大学受けたそうよ」夫との世間話。
　「すごいね。受かるといいねぇ」夫はしきりと感心していた。

　「両親とも優秀だし本人の努力もすごいらしいから大丈夫！」
　「親二人が（＋）＋（＋）なら子供は（＋）だ」納得の顔。

　「（－）＋（－）＝（－）、もしかしたら我が家はこの手？」
　「いいや、そんな事はない。（－）×（－）＝（＋）だよ」

　「正負の計算式は面白いね。正反対の答えが出るもの」
　「いずれにしろ一流大学に入るだけが人生じゃない！」

　その通り！そんな事で決められたら夢も希望もないもの…。

　

　
　

　

女の化粧

　通販で買っている化粧品が届いた。
　「何処から？食物？」夫は興味深げに箱を覘く。

　「残念ながら化粧品。少しは綺麗にしなくちゃ」と私。
　「今更化粧しても変わり映えしないよ」と憎らしい事を言う。

　「高級品を使えば？と言ってくれたのは誰だっけ？」
　「それは大昔の話！若い時は磨きがいがあるからねぇ」

　「若い時は何もしなくても綺麗なの。今からが大事！」
　「老化を恐れちゃいかん。自然に任せりゃ良いと思うよ」

　そう割り切れないのがつらいところ？化粧は身だしなみ
　　
　　

　

　



　

財布の紐は固い

　「この服いいね、買えば？」広告を見ながら夫が指差す。
　「これは式服よ」フォーマルスーツ等の売り出しだった。

　「あんた、こんなピンクよく着てるじゃない？」尚も続ける。
　「色は好みだけどデザインが若過ぎる。私が着ればチンドン屋」

　「そうなんか、俺には分らん。でも何か買えば？」と勧める。
　「古い服が一杯あるからいいよ。行く所もないしね」辞退する。

　「女は服を買うのが好きなんだろ。買えよ～」と誘惑してくる。
　「そう言っても今月は車検が待ってるのよ」無理はしたくない。

　夫の気持ちは嬉しいが私は大蔵大臣。赤字は避けなくちゃぁ…。

　
　

ラーメン屋へ

　寒さがぶり返して暖かい物が恋しかった。
　「昼、久しぶりにラーメン食べに行く？」と誘ってみた。

　「いつもの店ならいいけど他は嫌だよ」夫は食物には保守的。
　「広告に出ていた店、美味しそうよ」私は新しがりや。

　「知らない店は落ち着かないし、味も心配だよ」尚も拒む夫。
　「クーポン券もついているから行こう」と無理やり付き合わせた。

　スープが丼半分の量、細麺の上品そうなラーメンが出て来た。
　私の中でのラーメンは熱々でモヤシ一杯、エネルギッシュなそれ。

　「言わんこっちゃない！」夫の文句に今日は逆らわなかった。
　

　


　
　

雨続きの洗濯物

　ここ連日の雨天で洗濯物がなかなか乾かない。
　乾かなくとも着替えは十分あるので特に困らない。

　隔日ごとで済むのに夫は毎日洗濯機をまわし半乾きを嘆く。
　乾くまで空き部屋に干しておけばいいのにそれが待てない？

　「コインランドリーで乾かしてこようか」と言い出した。
　「そんなら家の乾燥機を使えばいいじゃない」と進言した。

　「あの洗濯機に乾燥機能がついているなんて知らなかった」と大喜び。
　半乾きのを2時間タイマーにかけた。それでもバリッまでは乾かない。

　アイロンをかける手もあるが、お日様に勝る乾燥法はなさそう？

　

リサイクル本

　図書館の開館時間早々にお目当ての場所に行った。
　一年に一度だが本のリサイクル展が開催されている。

　寄贈などで所蔵の本が重複したのを整理する目的とか。
　欲しい本があればその中から自由に持ち帰ることが出来る。

　新聞の束・写真集・雑誌・全集物などが積み重なっていた。
　「古本なんてやだよ」と夫のように二の足を踏む人もいる。

　わざわざ買うほどでもないが、ちょっと読みたいのを選ぶ。
　若い頃読んだが忘れてしまった外国の名作集などをもらった。

　たまには返却期限を気にせずゆっくり読むのもいいかな？

　

　

　

良い日だった

　久しぶりに平常心に戻ったような良い日だった。
　取り立てて変わった事をしたわけでもないが…。

　ここ数日よりも時間を有意義に使えた満足感があるから？
　暇だと録な事を考えない。適度の多忙が良いようだ。

　午前中、夫と食料品の買出し。洋品店なども冷やかした。
　午後から図書館に本を借りに行き、夕方までに一冊読破。
　夜、サークル向けのエッセイを書く。TVやPCも十分楽しんだ。

　現在夜の１２時前、今から入浴予定。外は雨の音がしている。
　昨日の雨は心に重く感じたが、同じ雨でも今は気にならない。
　

　

貝が重なる

　散歩に出た夫がいつもよりも早目に帰宅した。
　手には瀬戸貝の入った大袋をぶら下げている。

　「○○さんが貝を採りに行ったからって、くれたよ」と上機嫌。
　「漁師でもないのに、殻つきとは密漁じゃないの？」と聞いてみた。

　「そんな事知らないよ。食べたら共犯かな？」少し心配そう。
　「殻ごと網焼き希望よね。牡蠣も買ってるのよ」貝が重なった。
　
　「この貝、今は貴重品だけど昔は捨てるほどあったのよ」
　最近見かけなくなった瀬戸貝、昔は安かったのに…。

　貝は傷みやすいのでその日の内に平らげた。少々ゲップ気味

　

お天気屋

　朝から不機嫌な自分が居る。外は曇り空。
　今日も１日鬱陶しい気分に支配されそう。

　腹立たしい事があっても晴天だと気も紛れるのに！
　このところ悪天候が続いているから余計直りにくい。

　自己コントロールできない心の弱さを承知している。
　こういう場合は晴天を待つか、眠るに限る。

　しかしマイナス思考に支配されて寝付けない。
　ぐうたらしながら欝気分から抜け出すのを待つ。

　「触らぬ神にたたりなし」夫は逃げ腰、申し訳ない。

　

３月３日

　「今日は何の日か知ってる？」朝、夫に質問した。
　「知らんわけがない、○○の誕生日！」即答した。

　「ピンポーン！奴さん元気かしらね？」次男の話になる。
　「ひな祭りに産んだと恨んでいたなぁ」よく覚えている。

　「友達と祝杯あげてるといいけど」都会暮らしの息子を想う。
　「そんな暇などない！と怒るのがおちだよ」よく分かってる。

　もう親の出る幕はない。分っているけど音沙汰ないと寂しい。
　「男は自分の事だけで精一杯。そんなものさ」夫は悟っている。

　子育ては大変だったけど、楽しみも多かった。これでいい？　

　

　
　

沈丁花の悲鳴

　この時期になると我が家の庭にピンクの沈丁花が咲く。
　高さ1m位の小さな木だが毎年楽しみにしている。

　その木が今年は元気が無い。好きな花だけに大変心配。
　蕾は小さいのが多数ついているが、葉に勢いがない？
　
　黄色っぽく根元に落ちる葉が多いのは尋常でない証拠。
　こんな事は初めてで原因が分らないまま様子を見ている。

　花が悲鳴をあげている。枯らしてしまいそうで心配。
　何とかしなくちゃぁ、園芸に詳しい人の知恵を借りたい。

　「寿命、あきらめろ」と夫は言うが、元気になって欲しい。

　

　

　

次はソチ

　冬季オリンピックも閉幕した。次はソチ。
　「ソチって何処？」テレビを見ながら夫に聞いた。

　「あっちじゃなくて、そっちだ」とはぐらかす。
　「どこの国かって聞いているのよ！」少々私は苛立つ。

　「俺だって知らないよ。地球上のどこかだろ」と知らん顔。
　「それじゃあ物知りの名がすたる」と嫌味を言ってやった。

　「ロシアだってよ。今テレビで言ってる」顔はテレビの方。
　「そうなの。世界は広いのね、知らない所が多すぎるわ」

　「知らなくても死にゃしない。気楽にいけば？」相変わらずの弁。