7月の読書メーター
読んだ本の数:36
読んだページ数:10914
ナイス数:4419
隠居おてだまの感想
隠居すごろくの続編。前作は隠居してぼんやり過ごしていた徳兵衛さんが孫の千代太に引っ張られるように生きがいを取り戻していたのが、今作は頑固な性格が仇になり家族と離れ離れになるという危機に。商売にかまけて家族と向き合えなかった徳兵衛さん、終わりに希望が見えてほっとした。これは続編ありそう。
読了日:07月01日 著者:西條 奈加
新・教場の感想
風間公親が捜査一課の刑事から警察学校の教官として赴任。助教の尾凪の視点で描かれた6話。脳内で風間がキムタクに変換されそうになるのを振り払いながらの読書に(笑)
読了日:07月02日 著者:長岡 弘樹
香港警察東京分室の感想
警察庁と香港警察との間で継続的捜査協力に関する覚書が締結され、新たに設けられた部署。揶揄的に「香港警察東京分室」と呼ばれる。香港でデモを先導し日本に逃亡した女性教授(元)を逮捕すべく捜査にあたるが、香港の犯罪グループに襲撃され、その影には謀略が。とにかく派手にドンパチをやらかし人が大勢死ぬ。中国国内の争いは自国内でどうぞと思いながらの読了。まあ、面白かったんだけど。第169回直木賞候補作。
読了日:07月04日 著者:月村 了衛
スクラッチの感想
2020年の中学生たち。突然のコロナ禍で懸命に打ち込んできた部活の対外試合も、絵画のコンクールも無くなり絶望感に襲われながらも前に進み成長してゆく彼らの姿に感動!バレー部の鈴音と美術部の千暁の視点で交互に語られるストーリーは、同世代の中学生にも読みやすいのでは?歌代朔さん、初読み。
読了日:07月05日 著者:歌代朔
サクラの守る街の感想
「あなたは何をまもりますか?」と面接時に尋ねるサクラ警備保障の人事部次長の弟基輝。社長は兄の光輝。父の急死であとを継いだ兄弟は、それぞれに屈託を抱えている。警備に携わる4人の社員はコネ入社の若者、元教師の高齢男性、元万引きGメンの女性、やる気が無く派遣先の美術館からの苦情が絶えない元小説家の男。警備という仕事の奥深さを感じ、何もない日々に感謝!朝倉さんのお仕事小説、最高。
読了日:07月06日 著者:朝倉 宏景
きよのお江戸料理日記 (3) (アルファポリス文庫)の感想
料理屋「千川」で無くてはならない存在になったきよ。久しぶりに再会した父にも認められ益々精進する。時々後ろ向きになるきよに少しイラッとさせられながらも料理人として成長してゆく姿は清々しい。夢に出てきたお店はいつか実現するのかな?
読了日:07月06日 著者:秋川滝美
Another side of 辻村深月の感想
辻村深月ファン必見のガイドブック。巻頭の宮部みゆきさん、伊坂幸太郎さんとの対談、松坂桃李さんとの対談が良かった。読み返したい初期の作品も沢山あり、これからの作品ももちろん期待大。
読了日:07月06日 著者:辻村 深月
焼け野の雉の感想
飼屋鳥「ことり屋」を営むおけい。大火で店も住まいも失い、小鳥たちと共にお救い小屋へ。過去に縁した意地悪なおしなや、離縁した元夫、火事で行方が分からない同心と心に傷を負い声を失った娘の結衣。おけいは小さな生き物を慈しみ、自らも焼け野にたくましく立ち上がる。九官鳥の月丸が可愛くておけいの良い相棒。前作があるとのことなので機会があれば読みたい。
読了日:07月07日 著者:梶 よう子
魔女と過ごした七日間の感想
元刑事の父は見当たり捜査のベテランだったが、AIに仕事を奪われ警察を辞めた。その父が何者かに殺害され一人ぼっちになった中学生の陸真。不思議な能力を持つ女性・円華に導かれ、父を殺した犯人に迫る!国民の個人データが管理された社会の怖さ、警察の隠蔽体質、公営ギャンブルと闇カジノ。たくさんの問題を提起された1冊だが、中学生の真夏の大冒険としても楽しめる。またいつか円華に逢えたら嬉しい。東野圭吾さん、100冊刊行おめでとうございます!面白かった、大満足!
読了日:07月08日 著者:東野 圭吾
図書館のお夜食 (一般書)の感想
東京の郊外にある「夜の図書館」。そこは亡くなった作家の蔵書が集められた本の博物館のような図書館だった。東北地方の書店員だった樋口乙葉はSNSで誘いを受け「夜の図書館」に勤めることに。開館時間は夜7時から12時、寮もあり、まかないに本に登場する美味しい料理が提供される。本好きの同僚たちに囲まれて働き始める乙葉。そこで起こる謎の出来事や同僚たちの事情、風変わりなオーナーのこと。終わり方がちょっと中途半端な気がする。
読了日:07月08日 著者:原田 ひ香
時を追う者の感想
1949年、戦争で家も家族も無くした藤堂直樹に、かつて陸軍中野学校で歴史を教えていた学者の守屋と物理学者の和久田から、過去に遡って開戦を阻止してほしいと依頼が。満州事変が起こらなかったらこの悲惨な敗戦も無くなる。半信半疑で過去に遡ることが出来るという伝承のある洞窟へ。大陸に渡り大連の町で決死の破壊工作を。果たして未来は変えられるのか?一風変わったタイムスリップ物。
読了日:07月09日 著者:佐々木 譲
うるうの朝顔の感想
かわたれ霊園に勤める日置凪と霊園を訪れる4人の人々。シングルマザーの綿来千晶、映画製作会社に勤める国見頼、故郷での出来事と幼馴染のことに悔いを抱えて生きる男鹿三多介、墓地で亡くなった元担任の姿を見てしまった小野木ひまり。凪から「うるうの朝顔」を渡された彼らに起きたことは、スッキリ解決だけでなく少しの苦みも伴う。そして凪自身のことも。ズレを直して前向きに進むラストは良かった。水庭れんさん、初読み。
読了日:07月10日 著者:水庭 れん
人魚と過ごした夏の感想
幼なじみの陣内茜と神崎水葉はアーティスティックスイミングでオリンピックを目指していた。高2の夏前に茜が練習中に大怪我をする。水葉は後輩の紗枝とペアで大会に出ることになり、茜は同じクラスでいつも一人ぼっちの西島由愛と親しくなる。茜とのコンビを復活させたい水葉、競技に戻る勇気を持てない茜。互いの気持ちが分からず、思い悩む2人。美しいアーティスティックスイミングにかける女子高生たちの眩しい夏の物語。
読了日:07月10日 著者:蓮見 恭子
妄想radio (レディオ)の感想
楽しい1冊!この本は人前で読んではいけません(笑)何度も噴き出し、ニヤニヤしました。巻末の担当編集者さんたちの覆面座談会は、皆さんの桜木さんへの愛が満ち溢れています。集A社の平本C尋さんが、あの◯丸編集者だった!妄想radioの文中にも覆面座談会にも登場する新潟の「ぽっぽ焼き」のくだりは涙が出るほど笑ってしまいました。
読了日:07月11日 著者:桜木 紫乃
風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖の感想
シリーズ第3弾。前作から間が空いたけど読み始めたら一気に。近所で相次ぐ不思議な盗難、そしておちえの大切な竹刀まで。おちえの父が縫い上げた花嫁衣装も盗まれ、自死した女性に掛けられていた。おちえには大店の若旦那からの縁談まで巻き起こる。仙五郎親分とおちえ・一さんが謎を解き明かしたが、18になるおちえはこの先どういう道を歩むのか?
読了日:07月12日 著者:あさの あつこ
蝶の墓標の感想
シングルマザーの八木里花に突然の遺産相続の話が。条件は異母姉・夏野を含む4人の心中事件の真相を調べること。夏野がわずかな期間通った小学校で壮絶なイジメでひとりの少年が命を落とした事件。高校生になった夏野は当時のクラスメートの瑞葉とイジメ事件を調べて、明らかになった真実。そして託されたもう一つの依頼の謎。相続人の里花の決断は良かった。しかし、あの小学校はダメでしょう。教師がクズ過ぎる。
読了日:07月12日 著者:弥生 小夜子
「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきましたの感想
大学進学をめぐる意見の食い違いで「死ね、クソババア!」の捨て台詞を残して家を出た息子。ほぼ行き来を絶っていた息子が「離婚するから」と突然帰って来た。いきなり始まった二人暮らしはギクシャクしてままならない。そんな中で母親に余命2年の宣告、息子には多額の借金が発覚。それでも息子とは絶対別れないという嫁。どうなるこの家族?母の決断は潔いけど、最後は切なくて泣けてきた。親友・マァちゃんの存在に救われた。
読了日:07月12日 著者:保坂 祐希
ザ・ミッション THE MISSIONの感想
大リーグ好きという理由で子会社のプロ野球チーム「横浜パイレーツ」へ出向を命じられた三上。球団からは古巣に復帰した元大リーガー・石岡の専属広報として、石岡の引退後の監督就任への説得という密命を負わされた。中々心を開かない石岡、マスコミを徹底して避け三上の戸惑いは大きくなる。なぜ、頑なにチームメイトと関わらないのか?前半は石岡の態度の悪さを懸念しつつ、後半彼の真意が明かされてからは一気に面白くなる。三上、渡米して欲しかったな。
読了日:07月14日 著者:堂場 瞬一
墨のゆらめきの感想
実直なホテルマン・続力と奔放な書家・遠田薫。筆耕の仕事を機に知り合った2人、そのかけあいの妙は読んでいて楽しい。墨の香りや美しい文字を連想しながらの至福の時間。薫の過去が分かっても、力は彼との友情を投げ出さず。猫のカネコ氏、見てみたい!
読了日:07月15日 著者:三浦 しをん
百年の藍の感想
1923年、関東大震災。アメリカから届けられた救援物資の中にあった青いズボン。厚手の綿の生地で日本の藍染めとはどこか違う。このズボンに魅せられ国産化を夢見た男、その熱い思いを受継ぎ実現させた人々。戦争や時代に翻弄されながら、生き抜いた人たちの物語。これも大河ドラマになっても良い素晴らしい1冊。お薦め!
読了日:07月16日 著者:増山 実
菓子屋横丁月光荘 光の糸 (ハルキ文庫 ほ 5-6)の感想
シリーズ完結編。孤独で人付き合いが苦手だった遠野守人が、月光荘の声を聞き、話をするようになってからの成長が素敵だった。蕎麦懐石店「とんからり」との出会いから守人の進むべき道が開けてゆく。過去からの縁、新しい未来。家の声「カラダガアルウチシカ、デキナイコト、タクサンアル。ダカラ、イキロ」「ジュウブン、イキロ」人が精一杯生きていれば、家は喜んでくれる。守人のこれからをまたいつか読んでみたい!
読了日:07月16日 著者:ほしお さなえ
この限りある世界での感想
中3の少女が同級生を刺殺、ネットに新人文学賞の最終選考に落選して悲しかったからと書き込んだ後で。更に受賞した作家が「新人賞を受賞して申し訳ない」と遺書を遺して自殺。担当編集者は心を病んで退職し引きこもってしまう。少年院に入った加害少女と篤志面接委員との対峙は息を飲む迫力。しかし、途中で感じた違和感が明かされて、少しがっかりした。でも、小説だからね、作家さんの手法には文句は言えない。小林由香さんの作品は、常に緊張感を持って手にする私。
読了日:07月17日 著者:小林 由香
猫を処方いたします。 (PHP文芸文庫)の感想
タイトル&ジャケ買いの1冊。京都中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。心の不調を抱えて訪れた患者に処方されるのは猫!不思議なびょういんには、切ない理由があった。私も猫を処方されたい!重たい本を読んだあとの癒やしの本。
読了日:07月18日 著者:石田 祥
Mの感想
12歳でオーストラリアに移住した安藤真人は現地の大学生に。国籍・人種で葛藤を抱えるマサトとアルメニア人のアビーは互いに惹かれながらもうまく行かない。抱えるものの違いが分かりあえなさに。うーん、マサトが大人になってしまい、少年のキラキラしたものが失われてしまったせいか、少し読みにくく感じて残念。
読了日:07月18日 著者:岩城 けい
テウトの創薬の感想
カイコを利用した新しい薬作りを目指すベンチャー企業の「トトバイオ」。科学顧問の加賀教授の悪魔のような妨害工作と株価操作。難病を治療するための新薬作りがストーリーの軸ではなく、製薬会社の内部の話や資金調達の方に寄ったもの。理系の話は苦手なのと、虫が苦手なので少し読了に時間がかかってしまった。
読了日:07月20日 著者:岩木 一麻
刑事何森 逃走の行先の感想
ベトナム人技能実習生が上司を刺して逃走。ラブホテルで客を殺して逃亡した女。公園トイレの放火事件の容疑者の高齢女性ホームレス。社会の狭間で苦しむ弱い立場の女性たち。定年間近の何森は新井みゆきとコンビで彼女らの行方を追う。この国の法律の融通の無さに悲しさでいっぱいになる。非合法の組織かもしれないが、「クー・バン」が存在して欲しいと思ってしまった。
読了日:07月21日 著者:丸山 正樹
上流階級 富久丸百貨店外商部 (4) (小学館文庫 た 35-4)の感想
富久丸百貨店芦屋川店の外商部・鮫島静緒は順調に売上を伸ばし全国トップ10に入る大活躍。そんな静緒に部下が出来、合併先から美魔女上司がやって来る。Z世代の部下への対応、社内政治の複雑さ、多忙を極める中で体調を崩す静緒。でも静緒が担当するお客様たちへの対応、豪勢な買い物っぷりは、外商などに縁のない一般人の私にも楽しめた。まだまだ続きを読めそう!
読了日:07月23日 著者:高殿 円
雫の街: 家裁調査官・庵原かのんの感想
シリーズ第2弾。北九州から川崎へ異動になった庵原かのん。新しい職場では少年事件から家事事件の担当に。記憶を無くし自分が誰かも分からない青年の戸籍取得、突然姿を消した夫の失踪宣告を申立てる妻、再婚した夫の娘に対する性的虐待。心の通じ合わない夫との離婚を申立てたカサンドラ症候群の妻。遺産相続のゴタゴタ、幼い子どもを置いて家を出た妻の子どもとの面会交流申立て。長年妻に裏切られていた夫の慰謝料請求。一つ一つの事件には家庭の秘密が絡む。かのんを応援しながらの読書。続編、楽しみに待ちたい!
読了日:07月24日 著者:乃南 アサ
蝶の羽ばたき、その先への感想
中2の始業式の朝、突然めまいがして左耳が聴こえなくなった結。母親にも言い出し難くて中々伝えられず、病院へ行った時には治療しても聴力は戻らなかった。親友や先生にも聴こえないことを明かせない。聴こえているふりをして、辛い日々を過ごしている時に出会った手話。同じ経験をした女性と心を通わせ、ついにクラスメートたちに左耳が聴こえないことを伝えられた。児童書だけど大人にも響く良書。
読了日:07月24日 著者:森埜 こみち
あなたの燃える左手での感想
ハンガリーで看護師として働くアサトは、悪性の腫瘍で左手を切断したが、驚くことに誤診だった。酷い幻肢痛に悩まされ、手の移植手術で見知らぬ白人男性の手を繋がれる。戦争状態のウクライナにいる妻、大国に侵略されてきたハンガリーという国の立場。見知らぬ誰かとの繋ぎ目、国と国の境界。とても考えさせられる1冊。
読了日:07月25日 著者:朝比奈 秋
かげふみの感想
小5の拓海は妹が水ぼうそうになったため、1人で広島のおばあちゃんの家で過ごすことに。祖母宅のすぐ前の児童館で1人でひっそりと本を読むお下げ髪の少女に出会うが、誰もその子に気づいていないようだ。地元の子どもたちと共に遊ぶ拓海が原爆のことを知り、お下げ髪の少女・澄ちゃんのことを知る。広島で過ごしたひと夏は、拓海にとって忘れられないものになるだろう。戦争を知らない世代、今の子どもたちにぜひ読んで欲しい1冊。
読了日:07月26日 著者:朽木祥
北のおくりもの 北海道アンソロジー (集英社文庫)の感想
5つの短編小説と4つのエッセイ。馳さん・渡辺さんは初読み、エッセイは原田マハさん以外は初読み。北大路公子さん、楽しく読了。「鉄道員」はやはり名作!河崎さんはズシンと心に残る作品。
読了日:07月27日 著者:浅田 次郎,太田 和彦,河﨑 秋子,北大路 公子,桜木 紫乃,堂場 瞬一,馳 星周,原田 マハ,渡辺 淳一,集英社文庫編集部
空想の海の感想
デビュー10周年記念作品。11の物語は不思議な世界を描くもの。好みの作品とどうしても合わないものがあった。「髪を編む」「耳に残るは」「カドクラさん」が良かった。
読了日:07月27日 著者:深緑 野分
厳島の感想
毛利元就軍四千と陶晴賢軍二万八千、厳島の戦いの全貌を描いたもの。元就の謀略と、陶晴賢の忠臣・弘中隆兼を対照的に。武内涼さん、初読み。
読了日:07月29日 著者:武内 涼
灰色の北壁の感想
黒部の羆・灰色の北壁・雪の慰霊碑の3編。山岳小説は好きで山を眺めるのは大好き、しかし山に挑む人は不器用なのか。どれも読み応えがあって面白かった。
読了日:07月30日 著者:真保 裕一
心眼の感想
見当たり捜査班に配属された新米刑事・片桐は、中々成果を出すことが出来ず焦りを感じていた。ベテランの稲本は一匹狼で圧倒的な結果を出している。新たに捜査一課長に就任した大林が「見当たり捜査班不要論」をぶち上げ、班員たちは激しい怒りを感じる。ハイテクを駆使した捜査に対抗する地道な見当たり捜査班、稲本を中心に胸がすく活躍。片桐の成長譚としても面白かった!
読了日:07月31日 著者:相場 英雄
読書メーター
読んだ本の数:36
読んだページ数:10914
ナイス数:4419
隠居おてだまの感想
隠居すごろくの続編。前作は隠居してぼんやり過ごしていた徳兵衛さんが孫の千代太に引っ張られるように生きがいを取り戻していたのが、今作は頑固な性格が仇になり家族と離れ離れになるという危機に。商売にかまけて家族と向き合えなかった徳兵衛さん、終わりに希望が見えてほっとした。これは続編ありそう。
読了日:07月01日 著者:西條 奈加
新・教場の感想
風間公親が捜査一課の刑事から警察学校の教官として赴任。助教の尾凪の視点で描かれた6話。脳内で風間がキムタクに変換されそうになるのを振り払いながらの読書に(笑)
読了日:07月02日 著者:長岡 弘樹
香港警察東京分室の感想
警察庁と香港警察との間で継続的捜査協力に関する覚書が締結され、新たに設けられた部署。揶揄的に「香港警察東京分室」と呼ばれる。香港でデモを先導し日本に逃亡した女性教授(元)を逮捕すべく捜査にあたるが、香港の犯罪グループに襲撃され、その影には謀略が。とにかく派手にドンパチをやらかし人が大勢死ぬ。中国国内の争いは自国内でどうぞと思いながらの読了。まあ、面白かったんだけど。第169回直木賞候補作。
読了日:07月04日 著者:月村 了衛
スクラッチの感想
2020年の中学生たち。突然のコロナ禍で懸命に打ち込んできた部活の対外試合も、絵画のコンクールも無くなり絶望感に襲われながらも前に進み成長してゆく彼らの姿に感動!バレー部の鈴音と美術部の千暁の視点で交互に語られるストーリーは、同世代の中学生にも読みやすいのでは?歌代朔さん、初読み。
読了日:07月05日 著者:歌代朔
サクラの守る街の感想
「あなたは何をまもりますか?」と面接時に尋ねるサクラ警備保障の人事部次長の弟基輝。社長は兄の光輝。父の急死であとを継いだ兄弟は、それぞれに屈託を抱えている。警備に携わる4人の社員はコネ入社の若者、元教師の高齢男性、元万引きGメンの女性、やる気が無く派遣先の美術館からの苦情が絶えない元小説家の男。警備という仕事の奥深さを感じ、何もない日々に感謝!朝倉さんのお仕事小説、最高。
読了日:07月06日 著者:朝倉 宏景
きよのお江戸料理日記 (3) (アルファポリス文庫)の感想
料理屋「千川」で無くてはならない存在になったきよ。久しぶりに再会した父にも認められ益々精進する。時々後ろ向きになるきよに少しイラッとさせられながらも料理人として成長してゆく姿は清々しい。夢に出てきたお店はいつか実現するのかな?
読了日:07月06日 著者:秋川滝美
Another side of 辻村深月の感想
辻村深月ファン必見のガイドブック。巻頭の宮部みゆきさん、伊坂幸太郎さんとの対談、松坂桃李さんとの対談が良かった。読み返したい初期の作品も沢山あり、これからの作品ももちろん期待大。
読了日:07月06日 著者:辻村 深月
焼け野の雉の感想
飼屋鳥「ことり屋」を営むおけい。大火で店も住まいも失い、小鳥たちと共にお救い小屋へ。過去に縁した意地悪なおしなや、離縁した元夫、火事で行方が分からない同心と心に傷を負い声を失った娘の結衣。おけいは小さな生き物を慈しみ、自らも焼け野にたくましく立ち上がる。九官鳥の月丸が可愛くておけいの良い相棒。前作があるとのことなので機会があれば読みたい。
読了日:07月07日 著者:梶 よう子
魔女と過ごした七日間の感想
元刑事の父は見当たり捜査のベテランだったが、AIに仕事を奪われ警察を辞めた。その父が何者かに殺害され一人ぼっちになった中学生の陸真。不思議な能力を持つ女性・円華に導かれ、父を殺した犯人に迫る!国民の個人データが管理された社会の怖さ、警察の隠蔽体質、公営ギャンブルと闇カジノ。たくさんの問題を提起された1冊だが、中学生の真夏の大冒険としても楽しめる。またいつか円華に逢えたら嬉しい。東野圭吾さん、100冊刊行おめでとうございます!面白かった、大満足!
読了日:07月08日 著者:東野 圭吾
図書館のお夜食 (一般書)の感想
東京の郊外にある「夜の図書館」。そこは亡くなった作家の蔵書が集められた本の博物館のような図書館だった。東北地方の書店員だった樋口乙葉はSNSで誘いを受け「夜の図書館」に勤めることに。開館時間は夜7時から12時、寮もあり、まかないに本に登場する美味しい料理が提供される。本好きの同僚たちに囲まれて働き始める乙葉。そこで起こる謎の出来事や同僚たちの事情、風変わりなオーナーのこと。終わり方がちょっと中途半端な気がする。
読了日:07月08日 著者:原田 ひ香
時を追う者の感想
1949年、戦争で家も家族も無くした藤堂直樹に、かつて陸軍中野学校で歴史を教えていた学者の守屋と物理学者の和久田から、過去に遡って開戦を阻止してほしいと依頼が。満州事変が起こらなかったらこの悲惨な敗戦も無くなる。半信半疑で過去に遡ることが出来るという伝承のある洞窟へ。大陸に渡り大連の町で決死の破壊工作を。果たして未来は変えられるのか?一風変わったタイムスリップ物。
読了日:07月09日 著者:佐々木 譲
うるうの朝顔の感想
かわたれ霊園に勤める日置凪と霊園を訪れる4人の人々。シングルマザーの綿来千晶、映画製作会社に勤める国見頼、故郷での出来事と幼馴染のことに悔いを抱えて生きる男鹿三多介、墓地で亡くなった元担任の姿を見てしまった小野木ひまり。凪から「うるうの朝顔」を渡された彼らに起きたことは、スッキリ解決だけでなく少しの苦みも伴う。そして凪自身のことも。ズレを直して前向きに進むラストは良かった。水庭れんさん、初読み。
読了日:07月10日 著者:水庭 れん
人魚と過ごした夏の感想
幼なじみの陣内茜と神崎水葉はアーティスティックスイミングでオリンピックを目指していた。高2の夏前に茜が練習中に大怪我をする。水葉は後輩の紗枝とペアで大会に出ることになり、茜は同じクラスでいつも一人ぼっちの西島由愛と親しくなる。茜とのコンビを復活させたい水葉、競技に戻る勇気を持てない茜。互いの気持ちが分からず、思い悩む2人。美しいアーティスティックスイミングにかける女子高生たちの眩しい夏の物語。
読了日:07月10日 著者:蓮見 恭子
妄想radio (レディオ)の感想
楽しい1冊!この本は人前で読んではいけません(笑)何度も噴き出し、ニヤニヤしました。巻末の担当編集者さんたちの覆面座談会は、皆さんの桜木さんへの愛が満ち溢れています。集A社の平本C尋さんが、あの◯丸編集者だった!妄想radioの文中にも覆面座談会にも登場する新潟の「ぽっぽ焼き」のくだりは涙が出るほど笑ってしまいました。
読了日:07月11日 著者:桜木 紫乃
風を紡ぐ 針と剣 縫箔屋事件帖の感想
シリーズ第3弾。前作から間が空いたけど読み始めたら一気に。近所で相次ぐ不思議な盗難、そしておちえの大切な竹刀まで。おちえの父が縫い上げた花嫁衣装も盗まれ、自死した女性に掛けられていた。おちえには大店の若旦那からの縁談まで巻き起こる。仙五郎親分とおちえ・一さんが謎を解き明かしたが、18になるおちえはこの先どういう道を歩むのか?
読了日:07月12日 著者:あさの あつこ
蝶の墓標の感想
シングルマザーの八木里花に突然の遺産相続の話が。条件は異母姉・夏野を含む4人の心中事件の真相を調べること。夏野がわずかな期間通った小学校で壮絶なイジメでひとりの少年が命を落とした事件。高校生になった夏野は当時のクラスメートの瑞葉とイジメ事件を調べて、明らかになった真実。そして託されたもう一つの依頼の謎。相続人の里花の決断は良かった。しかし、あの小学校はダメでしょう。教師がクズ過ぎる。
読了日:07月12日 著者:弥生 小夜子
「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきましたの感想
大学進学をめぐる意見の食い違いで「死ね、クソババア!」の捨て台詞を残して家を出た息子。ほぼ行き来を絶っていた息子が「離婚するから」と突然帰って来た。いきなり始まった二人暮らしはギクシャクしてままならない。そんな中で母親に余命2年の宣告、息子には多額の借金が発覚。それでも息子とは絶対別れないという嫁。どうなるこの家族?母の決断は潔いけど、最後は切なくて泣けてきた。親友・マァちゃんの存在に救われた。
読了日:07月12日 著者:保坂 祐希
ザ・ミッション THE MISSIONの感想
大リーグ好きという理由で子会社のプロ野球チーム「横浜パイレーツ」へ出向を命じられた三上。球団からは古巣に復帰した元大リーガー・石岡の専属広報として、石岡の引退後の監督就任への説得という密命を負わされた。中々心を開かない石岡、マスコミを徹底して避け三上の戸惑いは大きくなる。なぜ、頑なにチームメイトと関わらないのか?前半は石岡の態度の悪さを懸念しつつ、後半彼の真意が明かされてからは一気に面白くなる。三上、渡米して欲しかったな。
読了日:07月14日 著者:堂場 瞬一
墨のゆらめきの感想
実直なホテルマン・続力と奔放な書家・遠田薫。筆耕の仕事を機に知り合った2人、そのかけあいの妙は読んでいて楽しい。墨の香りや美しい文字を連想しながらの至福の時間。薫の過去が分かっても、力は彼との友情を投げ出さず。猫のカネコ氏、見てみたい!
読了日:07月15日 著者:三浦 しをん
百年の藍の感想
1923年、関東大震災。アメリカから届けられた救援物資の中にあった青いズボン。厚手の綿の生地で日本の藍染めとはどこか違う。このズボンに魅せられ国産化を夢見た男、その熱い思いを受継ぎ実現させた人々。戦争や時代に翻弄されながら、生き抜いた人たちの物語。これも大河ドラマになっても良い素晴らしい1冊。お薦め!
読了日:07月16日 著者:増山 実
菓子屋横丁月光荘 光の糸 (ハルキ文庫 ほ 5-6)の感想
シリーズ完結編。孤独で人付き合いが苦手だった遠野守人が、月光荘の声を聞き、話をするようになってからの成長が素敵だった。蕎麦懐石店「とんからり」との出会いから守人の進むべき道が開けてゆく。過去からの縁、新しい未来。家の声「カラダガアルウチシカ、デキナイコト、タクサンアル。ダカラ、イキロ」「ジュウブン、イキロ」人が精一杯生きていれば、家は喜んでくれる。守人のこれからをまたいつか読んでみたい!
読了日:07月16日 著者:ほしお さなえ
この限りある世界での感想
中3の少女が同級生を刺殺、ネットに新人文学賞の最終選考に落選して悲しかったからと書き込んだ後で。更に受賞した作家が「新人賞を受賞して申し訳ない」と遺書を遺して自殺。担当編集者は心を病んで退職し引きこもってしまう。少年院に入った加害少女と篤志面接委員との対峙は息を飲む迫力。しかし、途中で感じた違和感が明かされて、少しがっかりした。でも、小説だからね、作家さんの手法には文句は言えない。小林由香さんの作品は、常に緊張感を持って手にする私。
読了日:07月17日 著者:小林 由香
猫を処方いたします。 (PHP文芸文庫)の感想
タイトル&ジャケ買いの1冊。京都中京区の薄暗い路地にある「中京こころのびょういん」。心の不調を抱えて訪れた患者に処方されるのは猫!不思議なびょういんには、切ない理由があった。私も猫を処方されたい!重たい本を読んだあとの癒やしの本。
読了日:07月18日 著者:石田 祥
Mの感想
12歳でオーストラリアに移住した安藤真人は現地の大学生に。国籍・人種で葛藤を抱えるマサトとアルメニア人のアビーは互いに惹かれながらもうまく行かない。抱えるものの違いが分かりあえなさに。うーん、マサトが大人になってしまい、少年のキラキラしたものが失われてしまったせいか、少し読みにくく感じて残念。
読了日:07月18日 著者:岩城 けい
テウトの創薬の感想
カイコを利用した新しい薬作りを目指すベンチャー企業の「トトバイオ」。科学顧問の加賀教授の悪魔のような妨害工作と株価操作。難病を治療するための新薬作りがストーリーの軸ではなく、製薬会社の内部の話や資金調達の方に寄ったもの。理系の話は苦手なのと、虫が苦手なので少し読了に時間がかかってしまった。
読了日:07月20日 著者:岩木 一麻
刑事何森 逃走の行先の感想
ベトナム人技能実習生が上司を刺して逃走。ラブホテルで客を殺して逃亡した女。公園トイレの放火事件の容疑者の高齢女性ホームレス。社会の狭間で苦しむ弱い立場の女性たち。定年間近の何森は新井みゆきとコンビで彼女らの行方を追う。この国の法律の融通の無さに悲しさでいっぱいになる。非合法の組織かもしれないが、「クー・バン」が存在して欲しいと思ってしまった。
読了日:07月21日 著者:丸山 正樹
上流階級 富久丸百貨店外商部 (4) (小学館文庫 た 35-4)の感想
富久丸百貨店芦屋川店の外商部・鮫島静緒は順調に売上を伸ばし全国トップ10に入る大活躍。そんな静緒に部下が出来、合併先から美魔女上司がやって来る。Z世代の部下への対応、社内政治の複雑さ、多忙を極める中で体調を崩す静緒。でも静緒が担当するお客様たちへの対応、豪勢な買い物っぷりは、外商などに縁のない一般人の私にも楽しめた。まだまだ続きを読めそう!
読了日:07月23日 著者:高殿 円
雫の街: 家裁調査官・庵原かのんの感想
シリーズ第2弾。北九州から川崎へ異動になった庵原かのん。新しい職場では少年事件から家事事件の担当に。記憶を無くし自分が誰かも分からない青年の戸籍取得、突然姿を消した夫の失踪宣告を申立てる妻、再婚した夫の娘に対する性的虐待。心の通じ合わない夫との離婚を申立てたカサンドラ症候群の妻。遺産相続のゴタゴタ、幼い子どもを置いて家を出た妻の子どもとの面会交流申立て。長年妻に裏切られていた夫の慰謝料請求。一つ一つの事件には家庭の秘密が絡む。かのんを応援しながらの読書。続編、楽しみに待ちたい!
読了日:07月24日 著者:乃南 アサ
蝶の羽ばたき、その先への感想
中2の始業式の朝、突然めまいがして左耳が聴こえなくなった結。母親にも言い出し難くて中々伝えられず、病院へ行った時には治療しても聴力は戻らなかった。親友や先生にも聴こえないことを明かせない。聴こえているふりをして、辛い日々を過ごしている時に出会った手話。同じ経験をした女性と心を通わせ、ついにクラスメートたちに左耳が聴こえないことを伝えられた。児童書だけど大人にも響く良書。
読了日:07月24日 著者:森埜 こみち
あなたの燃える左手での感想
ハンガリーで看護師として働くアサトは、悪性の腫瘍で左手を切断したが、驚くことに誤診だった。酷い幻肢痛に悩まされ、手の移植手術で見知らぬ白人男性の手を繋がれる。戦争状態のウクライナにいる妻、大国に侵略されてきたハンガリーという国の立場。見知らぬ誰かとの繋ぎ目、国と国の境界。とても考えさせられる1冊。
読了日:07月25日 著者:朝比奈 秋
かげふみの感想
小5の拓海は妹が水ぼうそうになったため、1人で広島のおばあちゃんの家で過ごすことに。祖母宅のすぐ前の児童館で1人でひっそりと本を読むお下げ髪の少女に出会うが、誰もその子に気づいていないようだ。地元の子どもたちと共に遊ぶ拓海が原爆のことを知り、お下げ髪の少女・澄ちゃんのことを知る。広島で過ごしたひと夏は、拓海にとって忘れられないものになるだろう。戦争を知らない世代、今の子どもたちにぜひ読んで欲しい1冊。
読了日:07月26日 著者:朽木祥
北のおくりもの 北海道アンソロジー (集英社文庫)の感想
5つの短編小説と4つのエッセイ。馳さん・渡辺さんは初読み、エッセイは原田マハさん以外は初読み。北大路公子さん、楽しく読了。「鉄道員」はやはり名作!河崎さんはズシンと心に残る作品。
読了日:07月27日 著者:浅田 次郎,太田 和彦,河﨑 秋子,北大路 公子,桜木 紫乃,堂場 瞬一,馳 星周,原田 マハ,渡辺 淳一,集英社文庫編集部
空想の海の感想
デビュー10周年記念作品。11の物語は不思議な世界を描くもの。好みの作品とどうしても合わないものがあった。「髪を編む」「耳に残るは」「カドクラさん」が良かった。
読了日:07月27日 著者:深緑 野分
厳島の感想
毛利元就軍四千と陶晴賢軍二万八千、厳島の戦いの全貌を描いたもの。元就の謀略と、陶晴賢の忠臣・弘中隆兼を対照的に。武内涼さん、初読み。
読了日:07月29日 著者:武内 涼
灰色の北壁の感想
黒部の羆・灰色の北壁・雪の慰霊碑の3編。山岳小説は好きで山を眺めるのは大好き、しかし山に挑む人は不器用なのか。どれも読み応えがあって面白かった。
読了日:07月30日 著者:真保 裕一
心眼の感想
見当たり捜査班に配属された新米刑事・片桐は、中々成果を出すことが出来ず焦りを感じていた。ベテランの稲本は一匹狼で圧倒的な結果を出している。新たに捜査一課長に就任した大林が「見当たり捜査班不要論」をぶち上げ、班員たちは激しい怒りを感じる。ハイテクを駆使した捜査に対抗する地道な見当たり捜査班、稲本を中心に胸がすく活躍。片桐の成長譚としても面白かった!
読了日:07月31日 著者:相場 英雄
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