2月2日(日)、Eテレの「サイエンス・ゼロ」という番組で、面白い話を取り上げていました。
これは東京お台場にある「日本科学未来館」という所で小学生連れのファミリーを対象にした公開講座というスペシャル版であり、白アリの生態に関する研究報告でしたが、とても興味深くて面白いものでした。
司会・進行はいつもと同じですが、この日の講師は京都大学の昆虫生態学が専門らしい松浦健二という人でした。
始めにクイズが出されました。
①カブトムシ ②アブラゼミ ③モンシロチョウ
この中でいちばん寿命の長いものは?
会場で一番多く手が挙がったのは②のアブラゼミ、次が①のカブトムシ、次が③のモンシロチョウでしたが、さて正解はどれでしょう。
カブトムシは成虫としては一番長いですが、幼虫を含めた全体の寿命は1年。
アブラゼミは成虫としては数週間ですが、幼虫生活が長く全体の寿命は7年。
モンシロチョウは成虫で10日間、全体の寿命は1~2ヶ月、
ということで、正解はアブラゼミでした。
さて、白アリですが、白アリは1億5000万年前、地球上で初めて社会生活を営み始めた生き物だそうで、その彼らの生活を通して、寿命っていったい何だろう? 生物ってどういうもんだろう? 人間て何だろう? と考えるようになった。つまり、社会生活の先輩である白アリの生態から私たちも学べるものがあるとのことでした。
そして昆虫でいちばん寿命の長いのは白アリだそうで、地球上にどれぐらい生息しているかと言うと、、推定24京匹とのことです。 ≪京(:けい)は1兆の1万倍≫
白アリの巣としてアリ塚が有名ですが、白アリの好物はよく知られているように木で、木に含まれるセルロースを栄養源としているとのことです。そして森に生息する白アリは倒木や枯れ木を食べてそれらを分解する、つまり森を美しく豊かにしてくれる縁の下の力持ちなんですね。自分の家を食い荒らす有害生物だなどと思っていてはいけません。
思い出しましたが、ウソか本当か知りませんが、つまり信じられないような話ですが、ある生物学者が生物多様性の大切なこと、この世に無駄なものはないことの一例として、蠅は宇宙飛行士の排せつ物の中に卵を産み、その卵が排泄物を食べて分解してくれると云う訳で、宇宙生活に欠かせないものだと本に書いていました。
話を白アリに戻しますが、日本に生息するヤマトシロアリの寿命は昆虫の中では一番の長寿だそうです。白アリは王、女王、働きアリ、兵隊アリというように役割分担があるそうで、それぞれの寿命は王様が50年、女王は25年、働きアリはおよそ10年、兵隊アリは5年ぐらいとのことでした。
昆虫の平均寿命は2ヶ月ぐらいだそうですから、その長寿を猿に喩えるなら、9000年も生きる猿に匹敵するとのことで、とにかく昆虫の仲間ではずば抜けた長寿ということになるようです。
さて、話が面白いのはここからですが、なんと女王アリは「分身の術」を使うというのです。
どういうかとかと言うと、普通は王と女王アリの共同作業で子が生まれるわけですが、女王アリは自分単独で子を、つまり王の遺伝子が混ざらない、自分自身の遺伝子だけで女王の代わりになる子を産むことが出来るのだそうです。それによって、自分が死んだあとも、自分と同じ遺伝子を持った分身の女王が女王の座につくのだそうです。
もし、王と女王との間に生まれた子が女王になるとしたら、王の遺伝子をも持った女王と子供を産むことになるので、それを繰り返せば、順次巣(ファミリー)として遺伝的に弱くなっていく。しかし、この分身の仕組みでいけば、その弱点を回避できるいうわけです。そして、これを世界で最初に発見したのが、この日の講師の松浦健二さんで、これを発見したとき、大変驚いたそうです。
更に面白い話が続きます。
今度は王の話ですが、王は自分で王を産むことが出来ないから(男ですから当然ですね)。だから王をできるだけ長生きさせようという進化が働く。そのため王は巣の一番奥深い――奥へ行けば行くほど酸素が薄くなるわけですが――その酸素の一番薄い奥のVIP室に王が生活しているとのことでした。
低酸素の中で生活すれば、細胞を傷つける活性酸素が出にくくなり、結果的に長寿につながるのだそうです。
(そのためには低酸素の中でもエネルギーを生みだせる代謝能力が必要なわけですが)
さて、その王は木を食べることが出来ないらしいのですが、では何を食べているかと言うと、働きアリから「あるもの」を貰って、それを食べているそうです。その「あるもの」を「パワーフード」と名付けられていて、働きアリの唾液腺で生産されるものとのこと。そして、それを口移しで王様の口へと運ばれるというのです。この口移しの瞬間も松浦先生が初めて撮影に成功しのだそうです。、そして、そのパワーフードなるものにはどんな成分が含まれているのかということが今分析されつつあるとのこと。
そして、その中には今まで美容や強壮に良いと知られていたものもあるし、まだ知られていないものもあるとかですが、とにかく、特許申請中で今は「ヒ・ミ・ツ」とのことでした。楽しみですね。
それにしても「カミさんを床の間に飾っておく」という話は聞いたことがありますが、主(王様)に長生きしてもらうために、一番奥座敷に・・・というのは、男性から見ると実に羨ましい話ですね。
冗談はさておき、まだまだ面白い話がありましたが、長くなったのでここまでにします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
興味津々で読ませていただきました~
* * *
実はわたし。
幾種類ものアリを 何千 何万匹も買っていらっしゃるかたの動画と、
アシナガバチの映像を撮っていらっしゃるかたの動画を
ときどき、観ているんです。
アリは高度な社会を構築しているって、子どものころから聞いていましたけれど
これらは恐らく・・ 本能なのだろうとおもうと
超が 付く くらいに 驚きです。
ですので、白アリのお話! と思って
楽しく、面白く、読ませて頂きました~
そして、そして、分身の術☆
えぇぇぇぇぇ と、大変に驚きました。
そして、理にかなっていて。
そして、王様をはそのように・・
もし、「進化」 というものに終わりがないとするならば
白アリたちは、今後、どのように進化してゆくのでしょうか?
そのたびに、人間が解明し、そして、自分(人間)たちの生活に役立ててゆく・・
そう考えると、人間って、他の生き物たちの進化の結果を
横取り?しながら、生活を豊かにしていっているような・・
そんな気もしてきました(・・;)
う~む・・(・・;)
(でも、その特許申請中のお品、ほしいです~
元気になれそうです!)
* * *
「カミさんを・・」 というお話、初めて知りました~
我が家に床の間がなくて、残念です(@_@)
暖冬と聞いていましたけれど、やっぱり、寒いです。
お身体、お大切にお過ごしくださいませ☆ Ray
白アリの記事、興味深く読んでいただけて光栄です。
アリや蜂の動画を見ておられるとのこと。
マニアックな方の動画、きっと面白いでしょうね。
何年か前の「サイエンス零」で、同じく未来科学館での公開講座があり、
その時には、「適者生存」説に適合しないことの1例として、
アリの生態についての面白い話がありました。
それは、アリの中にも人間と同じように、
少しも働かないで「さぼる」アリがいるんですね。
他のアリはせっせと働いているのに、
数匹のアリは巣の中の1か所にかたまってただほさっと突っ立っている。
それが本当におさぼりしている人間を見るようで、
思わず笑ってしまうぐらい面白かったです。
ところが、忙しく働いているアリたちが他の侵入者に攻撃されて数が減ると、
このさぼっていたアリたちが、せっせと働き出すんですね。
録画していたビデオがこわれて確認しようがないのですが、
さぼってばかりいる、いわば適者とは言えないアリが亡びないで、
やがて適者となって活躍する、そんな話ではなかったかと思います。
私が働いていたころ、労働組合に出向したことがあり、
その頃に労働に関する論文を読んだことがありますが、
その中に興味深い話がありました。
人間社会の組織というものは、必ず「できる人、普通の人、さぼったりする人」
というように3つに別れる。
それはどんなに優秀な人ばかり集めても、必ずそうなる。
ということが書かれていて、そのことがとても印象に残っていました。
それで、人間は優秀な人ばかりだと疲れてしまう。
さぼるぐらいの人がいるから、優秀な人も安心して働ける、
そう言うことだろうかなどと考えたりして、ともかく深く印象に残っていて、
このアリの話に、大いに興味を感じたのでした。
ビデオがこわれて、もう一度見て確認出来ないのが残念ですが。
>そう考えると、人間って、他の生き物たちの進化の結果を
横取り?しながら、生活を豊かにしていっているような・・
そんな気もしてきました(・・;)
人間が発明したものには、他の生物から学んだものが随分沢山あるようですね。
正確ではないので、具体的な例は挙げられませんが、
Rayさまなら、何かご存知かも・・・。
それにしても、アリにもこのような人間の考えも及ばないような
智慧(本能)があるというのは、驚きですよね。
>我が家に床の間がなくて、残念です(@_@)
それは残念ですね、と言いたいところですが、
しかし、旦那の心の床の間にしっかりと飾られているに違いないと、
ご推察申し上げる。(なぜか時代劇風、笑)
長々と勝手なことを書きましたが、Rayさまのような方に読んでいただけて、
嬉しいです。