こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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自分で考えること

2010-11-05 23:51:14 | 訪問看護、緩和ケア
新しいスタッフは病院勤務が長くて、初めての訪問看護はびっくりすることばかりとか・・・。

看護師と言っても、最近は専門性が高くて、配属された部署によって、仕事内容は大きく変わってきます。
病院の中での違いはもちろんのこと、病院以外でも施設や保健室、クリニックや血液センター、看護協会やお役所や、健診センターなんかもありますね。

それぞれ仕事は大変だと思うけれど、やはり訪問看護は特殊なのだと思います。

流れ作業や、決められた処置を繰り返す部署もある中で、訪問看護は自分で考えなくてはなりません。

今、患者さんを前に、この状態をどう判断するのか。
フィジカルアセスメントってやつですね。

病院ならば、すぐに仲間や医師と一緒に考えることができますが、訪問中はとりあえず自分で考えることが必要です。

考えることは、病気の事だけではなくて、家族関係の事から環境の事、それぞれの心の問題まで・・・
もちろん、その場にはいなくても、私たちが必ずサポートはしますが。


でも、まず考える。

自分で考えること。
自分でどうケアをするか決めること。

それを、辛いと考えるか、楽しいと考えるか・・・。

責任の重さを、苦しいと考えるか、やりがいと考えるか・・・。


自分の出した答えが正しいかどうかが不安なのだといいます。

私は、そう思うのは、決して悪いことではないと思います。

少なくとも、思い込みで突っ走ったり、強要したりするよりは・・・。

不安だったら、その場からでも電話をくれればいいし、帰ってから一緒に振り替えることもできます。
でも、不安そうなそぶりを、患者さんの前で見せることは、いいことだとは思いません。
その駆け引きが、だんだんできるようになる。

考えて。
緊急性はどうだろうか?
患者さんはどうしたいのだろうか?
穏やかでいられるには、どうしたらいいのだろうか?

これは、現場で覚えるしかないのです。
その考える時間が、在宅にはちゃんとありますから。

まず、考えることから逃げないで、向き合ってほしいなとおもいます。
絶対に、喜びに代わる日が来きますから。

今日、スタッフYが、新しいスタッフを連れてMさんのところに行きました。

Mさんはご高齢ですが、自分で一所懸命練習して、カフティポンプの操作も覚え、ほとんど動けなかった状態から、今ではIVHをキャリーに入れて、散歩ができるまでになった方です。
まだ、ふさがりきらない気管孔を押さえて、たくさんおしゃべりもしてくれます。

奥様が、突然倒れ入院してしまい、今は息子さんと二人暮らし。

そして、今日はMさんの誕生日です。

「お誕生日おめでとう!」

スタッフ二人で、ハッピバスデーディア Mさ~ん
と歌ってきたそうです。
Mさんは、「この年になって、誰にも誕生日なんて祝ってもらえるとは思わなかった。」と言って泣いて喜んでくれたそうです。

こんなささやかな出来事も、私たちの喜びなんですよね。

少しでも、訪問看護の良さを分かってもらえたら、すごくうれしいのだけれど。
それが、今の願いです。