在宅でのターミナルケアで、よく経験するのが、いつまで人工透析をするのか?と言う事です。
もちろん、通院での透析が問題ないうちは良いのですが、病状が進んでくると透析をいつあきらめるかで混乱してしまうかたがいらっしゃいます。
昨夜も、午前1時半ごろに緊急携帯の振動で目が覚めました。
あわてて寝室を出て話を聴くと、昨日から意識レベルの下がっていた患者さんの隣人からの電話でした。
患者さん本人は、認知症の進行のため、自分の意思は伝えられません。
よって、ご家族がこれから先どうするのかを決めなければなりません。
でも、妻はご自分で整理することが難しいようでした。
「本人が、眉間にしわを寄せてうめいています。とにかく、奥さんの不安が強いので来てください。」
戸のご要望で、再び深夜の訪問となりました。
認知症の方は、痛みや苦痛を訴えるのが苦手です。
痛みや苦痛自体も、やや感じにくくなっているようにも思えます。
老いて認知症になることは、悪い事ばかりではなくて、死を前にして、死の恐怖や今後の不安に苦しむこともなく、身体的な苦痛さえも、感じにくくなる・・・。
これは、表現ができないのか、本当に苦痛が感じないのかはわかりません。
けれど、重度の認知症の方で、亡くなるまでニコニコとされていたり、表情の変化もはっきりしない方などもよく経験します。
ですから、重度の認知の症の方は、鎮痛剤の使用もかなり少なく経過されています。
痛い時は、「眉間のしわを見てください」。と、ご家族にお伝えします。
眉間にしわを寄せていたり、体をくの時にしていたり、突然の不穏状態などは痛みや呼吸苦のサインだったりします。
訪問すると患者さんは、眉間しわを寄せて、時々大きく顔を歪め、目を見開いて唸っていました。
呼吸の間にゼロゼロと痰がらみがあり、うまく喀出できないようです。
爪の色は悪く、酸素飽和度は88%。肺はギュウギュウ、ゴロゴロと悲鳴を上げていましたし、衰弱も激しい状態でした。
2日前に初回訪問をしたときには、「ぎりぎりまで透析をします。通院でできなけれが、入院で透析をしてくれると、病院の先生が言ってくれました。それでもできなくなったら、連れて帰ります。
だって透析をしないとすぐに死んでしまうから。」そう話していた家族です。
もう、食事もほとんど取れず、意思の疎通も図れず、ガン性悪液質の進行した状態で、あくまでも透析を中心に考えることは、緩和ケアとしてはどうかと思ってしまいます。
が、それが、ご本人やご家族の支えてあって、それをすることが希望であるのなら、それもいいとおもいます。この方のご家族は、最終的には家で看取りたいと言う事だけは、決心されていました。
ただ、透析のクリニックの医師が、「それをしないと死んでしまう。寝たきりになったら、入院させてやってあげる。」というのは、いかがなものかと・・。
実際そういったかどうかは、ご家族のお話だけなので断定できませんが、ご自分で決定できない方、さらにどうすればいいのかわからないご家族に、終末期に寝たきり状態で透析をすることは、そのまま帰れなくなるかも知れないという、リスクも伝えなければいけないのではないかと思います。
とにかく、今の苦痛を取るためには、麻薬による鎮静を図るしかないわけで、主治医からの指示もあり、麻薬を重ねていくことをお勧めしました。
夜が明ければ、透析のお迎えが来ます。
薬をかぶせることで、目が覚めないこともあることをお伝えしました。
妻は、自分では決めかねて娘の判断を仰ぐために、娘と電話でやり取りをしていました。
苦しみを緩和する。そこの踏ん切りさえついていない状況は、本当にかわいそうなことだと思います。
最終的には、お薬を使うことで、何とか苦痛の表情が緩和され行きました。
そして、今日ご自宅でご家族の見守る中で、静かに旅立たれたそうです。(私は、今日は肺の定期検査でお休みを頂きましたので、スタッフが対応してくれました。)
本当は、もう少し早く相談してもらいたかった。
なぜ、在宅緩和ケア医につながったかと聞いたら、「ケアマネさんが教えてくれたから・・」と言う事でした。
でも、かかっていた病院の連携室とも、透析の医師とも、往診医ともそのケアマネさんは、関わってくれてはいませんでした。
ただ、「そういう先生がいる」と教えてくれたそうです。
初回訪問に行きますよと電話をしたら、「あ、そうですか。医療保険ですね。わかりました。」状況はご存知ですか?と聞く、「いや、あまりまだ行っていないので・・。」と言う返事でした。
もう少し、順序立てていたら、ちゃんと病院の連携室を通し、病状の予後予測ができて、もっとわかりやすく説明できていたら、ご家族がこんなに混乱することはなかったように思えてなりません。
私たちは、別に利用してもらわなくても、こういうご相談にはいつでも乗れるんですけれど・・。
今日看護師がケアマネさんに亡くなられたことを電話したら、すごくあわてていたそうです。
残念ながら、そういう予測が立てられなかったのですね。
ご家族のキャラクターや、だれがキーパーソンなのかも含めて、残り時間の限られた患者さんのプランは、立ててほしいと願います。
まだまだ、伝えきれないことが多いですね。
ちなみに、私の肺のCTは、今回も変化なしと言う事でした。
6月以降ずっと、呼吸器の調子が悪いので、実はかなり心配していたのですが、ちょっと安心しました。
今後もフォローは必要ですが、これからはこちらの近くの病院でお願いすることになりました。
年とともに、いろんなところに不具合が・・。
修理しながら頑張らないとだめですね。
もちろん、通院での透析が問題ないうちは良いのですが、病状が進んでくると透析をいつあきらめるかで混乱してしまうかたがいらっしゃいます。
昨夜も、午前1時半ごろに緊急携帯の振動で目が覚めました。
あわてて寝室を出て話を聴くと、昨日から意識レベルの下がっていた患者さんの隣人からの電話でした。
患者さん本人は、認知症の進行のため、自分の意思は伝えられません。
よって、ご家族がこれから先どうするのかを決めなければなりません。
でも、妻はご自分で整理することが難しいようでした。
「本人が、眉間にしわを寄せてうめいています。とにかく、奥さんの不安が強いので来てください。」
戸のご要望で、再び深夜の訪問となりました。
認知症の方は、痛みや苦痛を訴えるのが苦手です。
痛みや苦痛自体も、やや感じにくくなっているようにも思えます。
老いて認知症になることは、悪い事ばかりではなくて、死を前にして、死の恐怖や今後の不安に苦しむこともなく、身体的な苦痛さえも、感じにくくなる・・・。
これは、表現ができないのか、本当に苦痛が感じないのかはわかりません。
けれど、重度の認知症の方で、亡くなるまでニコニコとされていたり、表情の変化もはっきりしない方などもよく経験します。
ですから、重度の認知の症の方は、鎮痛剤の使用もかなり少なく経過されています。
痛い時は、「眉間のしわを見てください」。と、ご家族にお伝えします。
眉間にしわを寄せていたり、体をくの時にしていたり、突然の不穏状態などは痛みや呼吸苦のサインだったりします。
訪問すると患者さんは、眉間しわを寄せて、時々大きく顔を歪め、目を見開いて唸っていました。
呼吸の間にゼロゼロと痰がらみがあり、うまく喀出できないようです。
爪の色は悪く、酸素飽和度は88%。肺はギュウギュウ、ゴロゴロと悲鳴を上げていましたし、衰弱も激しい状態でした。
2日前に初回訪問をしたときには、「ぎりぎりまで透析をします。通院でできなけれが、入院で透析をしてくれると、病院の先生が言ってくれました。それでもできなくなったら、連れて帰ります。
だって透析をしないとすぐに死んでしまうから。」そう話していた家族です。
もう、食事もほとんど取れず、意思の疎通も図れず、ガン性悪液質の進行した状態で、あくまでも透析を中心に考えることは、緩和ケアとしてはどうかと思ってしまいます。
が、それが、ご本人やご家族の支えてあって、それをすることが希望であるのなら、それもいいとおもいます。この方のご家族は、最終的には家で看取りたいと言う事だけは、決心されていました。
ただ、透析のクリニックの医師が、「それをしないと死んでしまう。寝たきりになったら、入院させてやってあげる。」というのは、いかがなものかと・・。
実際そういったかどうかは、ご家族のお話だけなので断定できませんが、ご自分で決定できない方、さらにどうすればいいのかわからないご家族に、終末期に寝たきり状態で透析をすることは、そのまま帰れなくなるかも知れないという、リスクも伝えなければいけないのではないかと思います。
とにかく、今の苦痛を取るためには、麻薬による鎮静を図るしかないわけで、主治医からの指示もあり、麻薬を重ねていくことをお勧めしました。
夜が明ければ、透析のお迎えが来ます。
薬をかぶせることで、目が覚めないこともあることをお伝えしました。
妻は、自分では決めかねて娘の判断を仰ぐために、娘と電話でやり取りをしていました。
苦しみを緩和する。そこの踏ん切りさえついていない状況は、本当にかわいそうなことだと思います。
最終的には、お薬を使うことで、何とか苦痛の表情が緩和され行きました。
そして、今日ご自宅でご家族の見守る中で、静かに旅立たれたそうです。(私は、今日は肺の定期検査でお休みを頂きましたので、スタッフが対応してくれました。)
本当は、もう少し早く相談してもらいたかった。
なぜ、在宅緩和ケア医につながったかと聞いたら、「ケアマネさんが教えてくれたから・・」と言う事でした。
でも、かかっていた病院の連携室とも、透析の医師とも、往診医ともそのケアマネさんは、関わってくれてはいませんでした。
ただ、「そういう先生がいる」と教えてくれたそうです。
初回訪問に行きますよと電話をしたら、「あ、そうですか。医療保険ですね。わかりました。」状況はご存知ですか?と聞く、「いや、あまりまだ行っていないので・・。」と言う返事でした。
もう少し、順序立てていたら、ちゃんと病院の連携室を通し、病状の予後予測ができて、もっとわかりやすく説明できていたら、ご家族がこんなに混乱することはなかったように思えてなりません。
私たちは、別に利用してもらわなくても、こういうご相談にはいつでも乗れるんですけれど・・。
今日看護師がケアマネさんに亡くなられたことを電話したら、すごくあわてていたそうです。
残念ながら、そういう予測が立てられなかったのですね。
ご家族のキャラクターや、だれがキーパーソンなのかも含めて、残り時間の限られた患者さんのプランは、立ててほしいと願います。
まだまだ、伝えきれないことが多いですね。
ちなみに、私の肺のCTは、今回も変化なしと言う事でした。
6月以降ずっと、呼吸器の調子が悪いので、実はかなり心配していたのですが、ちょっと安心しました。
今後もフォローは必要ですが、これからはこちらの近くの病院でお願いすることになりました。
年とともに、いろんなところに不具合が・・。
修理しながら頑張らないとだめですね。