こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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医療者の言葉かけ

2010-11-12 23:39:32 | 訪問看護、緩和ケア
今週初め、嚥下機能が落ちてきて、どうしても物が呑み込めないと言って、精神的にも落ち込んでしまっている患者さんについての相談が、担当ナースよりありました。

長い経過のなかで、いろんなアクシデントに見舞われていて、辛い闘病をしていた方です。

食道手術後なので、そちらの先生に何度もご家族から相談をしていますが「慣れるしかないですね」という事で、日により食べられたり食べられなかったりしながら、ずっと悩んでいたようです。

うちのステーションでは、『診てもらうと元気が出る耳鼻科の先生』に時々往診をお願いしています。時々私が記事しているあのキムシノ先生です。

今までも嚥下機能が悪くて気落ちしている患者さんに、適切な嚥下指導をしながら、本当に上手に気持ちを引き上げてくれて、あきらめかけていた経口摂取ができるようにしてくれたことが何度かありました。

今回は、娘さんから嚥下機能評価をお願いされ、キムシノ先生にご相談して、状況をお伝えしておいて、クリニックに行ってもらいました。

結果は・・やっぱり元気百倍でした。
なんだろう?
なんでキムシノ先生の言葉であんなに元気になるんだろう?
往診の時、先生の話し方をずっと聞いていると・・。

なぜ飲み込みずらいのか、どういう形なら安全なのか、反射はどのくらい残っているのかなど、わかりやすく丁寧にお話をします。
出来ないことより、出来ることに喜びを感じられるようにお話をしています。

これで、うちの患者さんは、何人も食べられるようになりました。
エンシュアもやっとだった方が、今では普通食になった方も・・。
(その彼は、今だに不安になると受診しては、また元気になっています。)

先生の言葉は、それほど効果があると言う事を、先生たちはもっと知ってほしいと思います。

反面、医療者にとっての些細な言動は、患者さんを思う以上に打ちのめしたりするのです。

やはり、ホームドクターに「ものすごく悪化している。うーん、困った。どうしよう~」と言われて、すごいショックを受けた方がいます。
うちの患者さんのお母さんです。
もう高齢なのですが、今でも障害を持った娘婿の介護をしている方です。
働き手の娘に代わって、今まで一切の家事と介護をこなしてきました。
このお母さんは、私たちの誇りでもあり、尊敬するひとです。
私たちにとっても、このところのお母さんの弱っていく姿は、見るに堪えないものでした。
お母さんは、従軍看護婦もしていた強者で、沖縄人のおおらかさと芯の強さを持って、結婚してわずか3年で障害を負ってしまった娘婿の、手となり足となって30年を過ごしてきたすごい母なんです。
呼吸器の疾患が見つかって、ホームドクターから、治療についての説明をされ、かえって不安を募らせていました。

大きな病院へ行って看てもらおう!

家族も私たちも、何度も勧めましたが本人が納得せず、それじゃあと言う事で、やはりちゃんとお話をしてくれる先生に一度相談をしようと言う事になり、Y先生をご紹介しました。

今日、先生からもご家族からもご連絡をもらいました。

ご家族も本人も、とっても明るい声で「本当に行ってよかった。知りたかったことに、全部答えてもらえたし、とてもよく話を聴いてもらえました。検査も全然違うし、ちゃんと診てもらえました。」と電話がありました。
ご家族とももう一度話し合い、高齢だからと言って、まだまだ家事をこなしたいお母さんの治療を、最初からあきらめないで、治療の出来る専門医のいる病院に行こう。と言う事になりました。

先生のムンテラ、やっぱり恐るべしです。

同じことを説明するにしても、絶望的な話しぶりか建設的な話し振りかで、患者さんはこんなに前向きになれるのですよね。
在宅医であれ、大病院の専門医であれ、クリニックの医師であれ、もちろん私たち看護師であれ、医療者の態度や言葉は、本当に患者さんにとって最初の治療なのだとおもいます。
特に、高齢者は思い込みが強かったり、うまく理解できなかったりしますので、とても強く影響します。

いつも巻き込んでしまう先生方には、忙しいのに申し訳ないとおもいつつ、お願いしています。
ほかにも、皮膚科の先生やめぐみの先生、うちの理事の先生方・・
頼りにしているんです。よろしくお願いしますね~。