山梨県の大月市と小菅村の境にある松姫峠は標高は1250メートルあり山深い峠です。名前の由来は武田信玄の娘・松姫に由来します。
松姫は7歳のときに織田信長の長男・織田信忠(12歳)と婚約しますが、松姫が11歳のときに武田と織田の間で戦が始まり、父・信玄が亡くなると婚約も自然に解消してしまいした。
破談となった松姫に他の縁談がきますが、松姫は一度婚約した信忠以外とは結婚しないと誓い他の縁談を断ってしまいます。
信玄の亡き後は兄が城主を勤める高遠城で暮らしていましたが、松姫が21歳のとき織田の攻撃が激しくなり、高遠から野を越え山を越えて武蔵野国・恩方(八王子市)へ逃れます。そのとき通ったのがこの松姫峠です。
皮肉なことに、織田の軍勢として高遠城を攻めたのは婚約者の織田信忠でした。高遠城は陥落して城主であった兄の盛信も戦死してしまいます。その九日後に武田家は滅亡してしまいました。
八王子で落ち着いた頃、婚約である信忠から迎えの使者がきます。「やっと夫になると決めた相手と会える」との喜びもつかの間、本能寺の変が起こり織田信忠が自害したという知らせが松姫のもとに届きました。
落胆した松姫は出家し信松尼と名乗り56歳で生涯を終えます。
峠の大月寄りの麓に「松姫神社」がありますが、松姫との関係はわかりません。この神社には社がなく、大きな大木が御神体のようです。神社の隣には「松姫鉱泉」という温泉宿があり「子宝の湯」、「美人の湯」とも呼ばれているそうです。
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