私塾 成趣館

広島県東広島市の古流沖縄空手道場。稽古日は火・金。幼年部5時~少年部6時半~一般部8時~10時。(木)7時半〜中高生の部

人の生き死に

2018-06-19 13:34:47 | 空手
みなさん、おはこんばんにちは。フィリップ・トルシエです(・ω・)ノ。

今回は無想会空手から離れた話です。
昨日、大阪を中心に関西方面で大きな地震がありました。
大阪は私が大学時代、空手に勤しんだ地です。知り合いも沢山います。
ので、その時、一番お世話になった奈良在住のM先輩に電話をかけてみました。
M先輩は私らの大学時代は恐ろしく強く、ジャイアニズム(ドラえもんのジャイアン)を地でいくような人で、名前に「ま」があることから、悪魔の「ま」を持つ男として、我々後輩から恐れられていた人です。
まあ、そんな先輩ですから、特になにも心配はしてなかったのですが、独身男やし、孤独死してたらあかんから、地震をネタに少し話でもしてやろうかなと(このくらい軽口を叩ける関係なんです)、大学時代のノリで電話をかけたのです。
すると、電話に出たM先輩は、地震のことはそこそこに、改まって「わたくし、この2ヶ月間入院しておりました、癌です。」
と言うので、地震以上にビックリしました。
すると先輩、
「いや、そんな真剣にならんでええねん。」
いやいや、ビックリするわっ!
M先輩の話では喉の癌で、入院中に放射線治療と抗ガン剤で一応、癌は無くなったとのこと、しかし、リンパに近い場所だったので、転移も覚悟して、身辺整理をし、車もパソコンも全部処分し、空手の大会で得た数々のトルフィーまでも全部道場に寄付したと言うのです。
しかし、幸いに、転移もなく、現在の医療は昔と比べてかなり進んだこと、また本人の驚異的体力と相まって、副作用も少なく、無事退院することが出来たとのことです。
ただ、副作用として、唾液が出なくなり、味覚も無くなったから、物が食べられなくなり、72kgあった体重が62まで落ちたとのこと。
特に入院中に見舞いで何故かもみじ饅頭を持って来てくれた人がいて、しかも餅入りで、それが一番キツかったそうです。
「ほいじゃあ、次関西行くときは、餅入りもみじ饅頭と香典持って行きますわ。(これくらい軽口を叩ける関係なんです)。」
「あほ、もみじ饅頭いらん、生きているうちに有り金全部入れて香典だけ持ってこい!」

あの筋骨隆々としていたM先輩もすっかり痩せ、ズボンもブカブカ、シャツも胸板と肩幅が無くなってだいぶ余ってしまうと言うのです。
癌が無くなったとは言うものの今から5年間はどうなるか分からないし、いつ転移が見つかっても不思議でないそうです。

私の歳も40を越えると知り合いが病気になる話をちょくちょく聞きます。それで亡くなる人もいます。
人間の生き死にはどうなるか分かりません。昔なら、戦争や病気等でもっと死が身近だったと思います。
しかし、現在は、死があまりに遠くなり、生きている実感が乏しく、私も含め人間が軽くなっているように思います。
しかし、今回の地震で亡くなった方もおられます。病気、事故はいつ襲ってきても不思議ではありません。
決して死は遠くのものではなく背中合わせに存在しています。

まあ、そんなこんなで、そこから、私とM先輩は、入院中の話から、空手の所属流派の話から、道場の人間関係の話、他流派の話、昔の話、更には政治の話まで、色々なことを話し、気付けば5時間近くも電話していました。

長い電話でしたが、一歩間違えたら、今話しは出来ず、遺影としてしか会えなかったかもしれないと考えると、あっと言う間の時間でした。

なんともまとまりがつかない文章になってしまいましたが、同じ時代に同じ方向を向いて汗を流した人が、生死の狭間にいると思うと、何と表現したらいいか分からなくなるものです。
しかし、その先輩は大したもので、
「死ぬ間際になったら、どうなるか分からへんし、ジタバタするやも知れへんけど、今は転移したら転移したで、受け入れるしかあれへんで。まあ、嫁も子供もいてへんから、心配することがあれへんから逆に楽やで。」と。
昔から豪快な先輩でしたが、相変わらず変に落ち着いた人です。

「言うてるやろ、俺はお釈迦様のような出来た人間になってん。病院では看護士さん達にめっちゃ腰の低いええ人や思われててんで。」
と言いながら、次の言葉で
「アホっボケっ、殺すぞ」(殺すぞは言ってなかっかな?あくまでもイメージです)
と言うような人ですが。

ただ、無料電話でなかったから、5時間の電話っていくらするんだろう…恐ろしい……請求書、Mさんに回しときますわ。(しつこいようですが、こんな軽口を叩ける関係です)。

とりとめもなくおわります。
おわり(=゚ω゚)ノ