たまてばこ新聞

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「市子」観てきました。

2024年01月09日 20時10分45秒 | 洋画、邦画など
 主演の杉咲花さんの演技が評判だと知り、12月20日、観に行ってきました。

 川辺市子を名乗る女性の生い立ちをミステリ仕立てにして描写。カーテンや団地のベランダなどを利用したカメラワークが目を引きました。説明的なセリフもほぼ無く、映像を読み解く力が必要なので思わずスクリーンに集中していました。

 無戸籍で生まれ、難病で要介護の妹の世話をほぼ担当、さらに母親の愛人から性的虐待を受けていた、とあまりに凄絶。それだけではなく、寝たきりになってしまった妹と自分を凌辱しようとする愛人の男を結果的に殺してしまう、と重大事件を起こしていた。その為に結婚を申し込んだ同棲相手の男性から逃げるしかなく、ととことん追い詰める方向へストーリーは進みます。

 最終的に、他人の戸籍を貰う代償として自殺ほう助(はっきりと映像には表れていないけどたぶん)を行うという結末で、はっきり言って救いのないエンディング。けれど、市子に対するカメラの視線は優しいです。

 歪んだアイデンティティ形成をしてしまった市子の乾いた心、空っぽの心、虚無の雰囲気を杉咲花さんがとてもリアルに演じていました。ラジオで聴いた声は温かみのある優しい声なので、正反対の暗いキャラクターの役が全然想像できないです。俳優さんすごい!


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