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デュフィ展~絵筆が奏でる色彩のメロディー

2014-07-01 | アート&クラフト

梅雨の晴れ間に「デュフィ展~絵筆が奏でる色彩のメロディー」に行ってきました。

デュフィの作品を初めて見たのは、若い頃ドビュッシーやラヴェルにかぶれていた頃に買ったLPレコード(!)のジャケットに使われていたオーケストラの絵だったと記憶していますが定かではありません。明るい色と軽妙な線で描かれたオーケストラがなんとも粋でかっこよく思えました。

その後いくつかの展覧会や常設展示(上野西洋美術館など)で作品に接する機会はあったのですが、まとまって見るのは今回が初めてです。期待しながら会場の「Bunkamura ザ・ミュージアム」に到着。

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◆思ったより素朴なタイトル(笑)

全体は4つの章に分かれていて、まず第1章はデュフィが自分のスタイルを模索していた頃の作品から。

モネ?と思うような明るい風景画、ゴッホのタッチに似た人物、セザンヌみたいに分割された樹木、あるいはブラックやマティスに似たものなど、ちょっと見なれたデュフィとは違う作品が並んでいます。でもそこに使われている「色」がやっぱりデュフィ。パステルカラーの扱いとか、なんというか独特の「色味」?があります。

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◆「トゥルーヴィルのポスター」

続いて第2章は木版画とテキスタル・デザイン。

デュフィの木版画や織物のデザインははじめてでしたがなかなか面白かったです。木版画は棟方志功(?)みたいな力強い作品で、これだけみたらまずデュフィとは思わないでしょう。

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◆「ダンス」

また、これらの木版画をモチーフにしてデザイン・制作されたドレスが展示されていましたがなかなか素敵でした。このあたりは確かに画家というよりデザイナーですね。

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◆ポール・ポワレ / デイ・ドレス

第3章はいよいよデュフィの世界が満開。

いや~、とにかく展示室の中が色であふれて華やかなこと!絵の具の混色が少ないためかそれぞれの色が鮮やかで、さらに明暗や補色の対比でより印象的になっています。個人的に絵の具の中ではコンポーズブルーやエメラルドブルーが好きなのでしばし時を忘れて眺めていました。

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◆「エプソン、ダービーの行進」 ひろしま美術館蔵

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◆「ニースの窓辺」 島根県立美術館蔵

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◆「パリ」 ポーラ美術館蔵

そしてこのコーナーの白眉は元の絵が10×60メートルという巨大壁画「電気の精」の縮小版(それでも横は壁1面くらいある)。古代から現代までの電気の歴史を100人以上の人物とともに描いた作品で、細かいところまですごい描き込み。これは見ごたえがありました。

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◆「電気の精」 左側

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◆「電気の精」 右側

デュフィの色づかいにどっぷりはまったあとは珍しい陶芸や家具も。

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◆デュフィの椅子!

最後の第4章はいよいよ「音楽」、そして晩年の作品。

ここでは紙にペンで描いたオーケストラの絵が印象的でした。ここまで見てくるとモノクロなのになんだか色を感じるので不思議。そしてこの1本1本の線がなんとも勢いとスピードがあって自由。手前のヴァイオリン奏者なんてもうほとんど一筆書きというか「ト音記号」を書きなぐったみたい(笑)。でも少し離れてみるとちゃんと演奏しているように見えるんですね、これが。(写真はありません)

隣の油彩のオーケストラ作品は赤を主調としたもので、デュフィは指揮者のミュンシュと親交があったということですから、棒を振っているのは燃えるミュンシュ、オケはパリ音楽院管弦楽団、曲はベルリオーズか?なんて考えてしまいました。

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◆「コンサート」

「モーツァルト」「バッハへのオマージュ」「ドビュッシーへのオマージュ」などもじっくり見ることができましたが、できれば1部屋全部音楽テーマの作品が見たかったです(贅沢か笑)。

最後はデュフィが亡くなった日の朝にアトリエにかけてあったという油彩がありました。明るい黄色を主にした素朴な絵でした。

この「デュフィ展」、デュフィの画風の変化や素描・版画・デザイン・衣装・陶芸・家具などが見られて楽しめました。なによりあの明るくオシャレな色づかいはやはり実物を見ないとわからないですね。去年行った「ミュシャ展」ほどではありませんが、会場は女性が多かったのもわかります。

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◆ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ

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◆会場出口もデュフィの色?奥は美術書専門店

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◆Bunkamuraロビーにあったショーウインドー

(2014.06.30)