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TRIO パリ・東京・大阪モダンアート・コレクション展

2024-05-24 | アート&クラフト


パリ市立近代美術館(MAM)、東京国立近代美術館(MOMAT)、大阪中之島美術館(NAKKA)の3つの美術館の作品から共通点のある3点を選び「トリオ」として展示構成するという展覧会で今までありそうでなかった内容です。

テーマやモチーフ、色、形など様々な観点で選ばれた3つの作品が展示されており良い企画だと思いました。

例えば「モデルたちのパワー」と題されたこのトリオ

マティス「椅子にもたれるオダリスク」(MAM)

モディリアーニ「髪をほどいた横たわる裸婦」(NAKKA)


萬鉄五郎「裸体美人」(MOMAT)

こうやって3つを並べて見ることはまずないので、それぞれの作家の個性やタッチ、色彩、構図などの違いが比較できて興味深かったです。

また(趣旨から外れるかもしれませんが)単独で見ても良い作品が多く楽しめました。

マグリット「レディ・メイドの花束」(NAKKA)

デュフィ「電気の精」(MAM)

その部分(ニュートンがいます)


奈良美智さんの作品や
モビールなどの立体作品も

佐伯祐三の「郵便配達夫」と安井曽太郎の「金蓉」を一緒に見ることができるというのもなかなか贅沢な気分でした。

佐伯祐三「郵便配達夫」(NAKKA)

安井曽太郎「金蓉」(MOMAT)

この企画展と合わせて収蔵作品も数多く見ることができますが、今回は時間が足りなかったので後日あらためて見に行きたいと思います。


(2024.05.22)



ヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館)

2024-05-24 | アート&クラフト
「小江戸」川越の氷川神社のすぐそばのヤオコー川越美術館へ。

こじんまりとした建物
人通りも少ない静かな川のほとりにあります

スーパーマーケット「ヤオコー」の創業者が蒐集してきたおよそ150点の三栖右嗣の作品を創業120周年記念として展示することにしたそうです。


落ち着いた展示室

「野の花」
「麓郷早春」大作の500号
「ナガールの花束」

三栖右嗣の作品は高い描写力とともに情感がこもった懐かしさを感じさせて好みなのですが、若いころにアメリカのワイエスに師事したという説明を読んで納得。上の「ナガールの花束」を見たときワイエスの「松ぼっくり男爵」が頭に浮かびました。


ワイエス「松ぼっくり男爵」

ワイエス「海からの風」

そして安井賞受賞の「老いる」(習作)は心に深く迫って来るものがありました。


三栖右嗣「老いる」(習作)

今回の春・夏季展示は36点ですがまだ100点以上が収蔵されているので秋・冬季展示も訪れてみたいです。

明るいラウンジ

驚いたのは料金の安さ。入館料は300円ですがドリンクセット付きでも500円。さらにヤオコーカード(スーパーの買い物用のポイントカード)があれば100円引き。そこにヤオコーのおはぎを一個つけてもらって「入館料+アイスコーヒー+おはぎ」で530円!いい絵を見てコーヒーを飲んで美味しいおはぎをいただいてゆっくりしてこの値段。おすすめです。

(2024.05.21)

みうらじゅんFES~マイブームの全貌展

2024-05-16 | アート&クラフト

しもだて美術館で開催中の「みうらじゅんFESマイブームの全貌展」へ。

みうらじゅんというとユニークなイラストやマンガの他に「見仏記」「ゆるキャラ」「マイブーム」などの印象が強いのですが、いったいどんな展覧会なのかと思い出かけてみました。


これを見るとなんだかほんわかした感じがするのですが

まず入り口でいきなりこれ(ぎょっとしました)

小学生の時に怪獣映画を見て始めた怪獣スクラップ(全4巻)や仏像に衝撃を受けて始めた仏像スクラップ(全7巻)からして驚きです。

仏像スクラップ 9歳から!
仏像巡りで使っていたものなど

集めた御朱印

ここから「漫画ブーム」「エッセイストブーム」「牛ブーム」など次々と熱中して集めた膨大なコレクションが続きますが「カニパン(カニのパンフレット)」「ゴムヘビ(ゴムの蛇のおもちゃ)」とか、なぜこんなものを?と思うものも多数。

カニが載ったパンフレットのコレクション

よくポストに入っている水回り修理のマグネットカード
所狭しと並んでいます
おなじみのゆるキャラたちも

イラストや漫画作品、仏像画、パロディ画、コロナ禍中から描き続けている「コロナ画」シリーズも枚数と熱量がすごいです。


思わず笑ってしまうものばかり

かなりしっかり描かれている仏像たち

1枚1枚気合が入っています

圧巻の「コロナ画」シリーズ

広目天に高橋由一にゴーギャンに怪獣と関係性は???
名画のヌードに下着を付けさせたパロディー

作品もコレクションも数がすごいうえにその発想とエネルギーに圧倒されてしまいました。これはじっくり見たら一日かかりそうです。

いやはやこれはとんでもない展覧会です。

「世間的には価値のないものかも知れませんが、一点一点唯一無二の国宝、もとい“ボク宝”であることは間違いありません。(中略)人生はループオン・ロケンロール!僕は今日も、何かしらまだ、やっていますから」(みうらじゅん)

(2024.05.15)

和田誠~映画の仕事 展

2024-02-21 | アート&クラフト

国立映画アーカイブにて開催中

和田さんの展覧会はこれで4回目。
(過去記事は → 2013 2017 2021

今回は映画関係の仕事にしぼったコンパクトな展覧会ですが、それでもポスターから絵コンテまで約300点。あらためて作品の多さと才能に感服です。


◆出世作の「夜のマルグリット」



◆ポスターや監督俳優の肖像画

◆キネマ旬報の表紙原画

◆装丁した映画関係の書籍

◆自身が監督した「麻雀放浪記」絵コンテ


◆「怪盗ルビイ」スタッフ似顔絵

原画は少なめですが和田さんの多彩さを知ることができる展覧会でした。映画好きにはたまらないのでは。

なお会場の国立映画アーカイブは日本映画の歴史についても常設の展示があり、楽しめます。

◆映写機やポスターなど

このあとすぐ近くに「警察博物館」というミュージアムがあったので入ってみました。



パトカーやヘリコプター、白バイなどは実際に乗ることができ、子どもには制服も着せてもらえるようで親子連れがけっこういました。

他にも鑑識が使う道具、制服の歴史、100年近く前の音楽隊の楽器、警察の組織や活動などについてがわかりやすく展示されています。

衝撃だったのは「殉職者の遺品」を展示したコーナー。何十人かの方々の写真と持ち物、実際に来ていた制服(切り裂かれたりしている)などがあり、しばし立ち止まって見入ってしまいました。(撮影不可)

最後は銀座の伊東屋へ。リニューアルして初めてだったのですが文具好きなら一日いられそうです。
◆紙のサンプルが壁一面に

(2024.02.20)



印象派 モネからアメリカへ(ウスター美術館蔵)

2024-02-01 | アート&クラフト
◆都美術館で開催中 → 公式サイト

先月上野の森美術館で「モネ 連作の情景」を見たばかりですが、今度はモネたちの印象派がアメリカやヨーロッパ各国でどう広がったか?をテーマにした展覧会です。

フランス印象派の作品は少なめですがモリゾやカサットなどもあり、モネもなかなかいい「睡蓮」でした。

◆モネ「睡蓮」1908

ヨーロッパやアメリカの作品では初めて見る画家も多かったですが、「これはたしかに印象派のタッチと色」「ホイッスラーやサージェントがこんな絵を?」「この絵カイユボットの描いた雨の街にそっくり」などその影響の大きさを感じさせました。藤島武二といった日本人の作家の作品も10点(いずれも日本の美術館蔵)ありました。


◆ソーン「オパール」

◆グリーンウッド「リンゴ園」

◆黒田清輝「落ち葉」

アメリカの作家フランク・ウェストン・ベンソンは初めて見たのですがけっこう気に入りました。どことなくモネの「日傘をさす女」を思わせます。


◆ベンソン「ナタリー」

今年は第1回印象派展から150年ということですが、その革新性は当時相当なインパクトを持って伝えられたのだなということがよくわかりました。


さて都美術館では「東京芸大卒業制作展」も開催中で、絵画、彫刻、デザイン、工芸、建築、先端芸術表現などあらゆるアートが所狭し並んでいました。ここから新しい才能を見つけられたら楽しいです。







(2024.01.31)