東京駅のステーションギャラリーで開催中の「岸田劉生展」に立ち寄りました。
台風一過の翌々日でしたが、東京駅はもう普段と同じ様子で人が行き交っています。一方で「北陸新幹線一部運休のお知らせ」などの案内も。被災地の方々は大変なのに申し訳ない。。。と思いつつ入場。
岸田劉生というとあの有名な「麗子像」と「切通し」を描いた絵の印象がほとんどでした。
しかし年代中に展示された作品を見渡していくと、画風や技法やテーマがどんどん変わっていったのだということがよくわかりました。
10代の頃の独学という水彩画からして達者ですが、若いころの自画像はゴッホ風で驚きました。
◆「自画像」(1912)ほぼゴッホ?
これが一年後には別人のような画風に。
◆「自画像」(1913)表情に自信が感じられます。
自画像や肖像画だけで30点ほどありましたが、荒めのタッチがだんだんデューラーのように細密になっていくのがよくわかります。
そして教科書でもよく見かけたこの作品。
◆「道路と土手と堀(切通之写生)」(1915)
見ていると絵の中に吸い込まれそうになる不思議な感覚。手前の草や石のリアルな表現と不安げな二本の影、奥の道路や壁の不一致。
面白かったのはこの場所を別角度から描いた絵。
◆「代々木付近」(1915)なるほどこうなっていたのですか。
このころ描かれた静物画も質感や存在感が見事。
◆「壺の上に林檎が乗って在る」(1916)
そして岸田劉生といえば「麗子像」ですが、生涯で70点ほどの「麗子像」を描き50点ほどが現存しているとのこと。
◆「麗子肖像(麗子五歳之図)」(1918)ずいぶん印象が違います。
◆「麗子八歳洋装之図」(1921)洋服は珍しい。
このころからしばらく日本画に傾倒します。
◆「椿之図」(1924)これだけ見たら劉生とはわからないですね。
そして再び油彩画の制作を始めるのですが、
◆「路傍秋晴」(1929)あの「道路と土手と堀」を思い起こさせます。
これから次はどう変わっていくのか?というところで岸田劉生は38歳で亡くなってしまいます。もう少し長生きしたらどんな作品を残してくれたのでしょうか?
38歳は早いなあ。そんなことを思いながら会場を後にしました。
◆しりあがり寿さんの「麗子」イラストがかわいい
◆東京ステーションギャラリーで好きなレンガ壁
(2019.10.14)