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マグリット展

2015-03-31 | アート&クラフト

浅草に行く前に開催されたばかりの「マグリット展」に行きました。

◆チラシの絵は「光の帝国Ⅱ」

◆「ルーブル展」同時開催中 

マグリットは大好きな作家の一人で、初めてマグリットを知ったのは藤子不二雄Aのそのものズバリ「マグリットの石」という作品でした。

◆「マグリットの石」

以来、横浜美術館(プーシキン美術館展)などでマグリットの作品を見ましたが、これだけまとまって見られるのは初めてなので期待大です。

◆マグリット展入口(雰囲気がマグリット!)

 

まず初期の作品。これがキュービズムぽかったり、キリコ風だったり、ダリのようだったり、イラストはロートレックみたいだったりと、いろいろな影響が感じられました。

 ◆「天才の顔」(ヒゲがあったらダリ?)

◆「困難な航海」(構成や遠近法がキリコっぽい)

 

そしてだんだん作品のタイトルと画面の関係が「?」になっていきますね。

◆「一夜の博物館」

◆「呪い」(ただの雲。。。なぜ呪い?)

この「言葉とイメージ」については各作品ごとにマグリット自身の解説文がありますでご覧ください。私は途中で脱落しましたが(笑)

 

そしていよいよマグリット独自の世界へ。描写もより細密になってきます。

◆「野の鍵」

◆「アルンハイムの地所」(この空気感、好きです)

◆「透視」(キャンバスの角度が気になる)

 

ところが突然画風が変化して驚きます。

◆「不思議の国のアリス」(色とタッチが印象派風)

他にもルノワール風の女性の裸体画や、描きなぐったような粗っぽい作品も。戦争の影響があったようです。

 

そしてまた以前のような画風に。

◆「オルメイヤーの阿房宮」(ラピュタ?

◆「白紙委任状」

この「白紙委任状」、しばらく見ていたら自分の目と脳が混乱してくらくらしました。こういう不思議な感覚はマグリットならではですね。それにしても「白紙委任状」とはいったい?

 

◆「記念日」

◆「空の鳥」

この作品はよく目にしますが、今回近くでじっくり見て右下のライト(滑走路誘導燈?)のオレンジがすごく生きているなあと思いました。ところでこの「空の鳥」というタイトル、珍しく普通なのはなぜ?

 

◆ゴルコンダ(こういうのはいったい何から思いつくのでしょう?)

 

マグリットの作品には窓、海、空に白い雲、岩、樹、鳥、山高帽の男、などくりかえし同じモチーフが登場しますが、それらを置き換え(デペイズマン)たりすることによって、時間が止まったような本当に不思議な世界が現れます。そしてタイトルを見てさらに「???」。。。2時間ほど別世界に入り込んだような感覚を楽しんだ展覧会でした。

 

ミュージアムショップは意外とグッズが少なくて、定番のクリアファイルや一筆箋なども無し。ちょっと残念。でもレジの皆さんが黒の山高帽でマグリットのいでたちなのはGood!

 

◆一階のカフェ 今度はここでゆっくりしよう。

◆地下のミュージアムショップで花見 (紙の超細密ジオラマです)

◆美術館前の桜 満開でした。

◆浅草にて(なんだかこの風景もマグリットの絵に見えてくる)

 

「マグリット展」 おすすめです。

(2015.03.30)

 


オーケストラアジア ジャパン 琵琶Biwaと琵琶Pipa

2015-03-07 | コンサート&ライヴ

知人の指揮者稲田康先生が常任を務める「オーケストラアジア ジャパン」の定期演奏会が東京の紀尾井ホールで行われました。

◆日本と中国の琵琶がメインの演奏会

 

前半のプログラムは

・「前奏曲」~古代舞曲によるパラフレーズ

(三木稔)

・心象風景(E.ブラウン)

・箏合奏のためのオデュッセイア(新実徳英)

 

こういう楽器編成・楽曲を聴くのは初めてだったので大変興味深かったのですが、多彩な音色や奏法に驚きました。いままで自分が持っていた邦楽の楽器のイメージとは全然違って、ダイナミックでスリリング。尺八の表情豊かなソロもあれば8人の箏によるジャズのセッションのような掛け合いも。そして時折現れる西洋音楽の響き(これはこれでかなり難しいのでは?)。新鮮でした。

また(これは音楽とは別ですが)女性奏者の方々がみな明るい色の着物姿なのでステージが華やかでいいです(男性は袴なのでモノクロ 笑)!

 

後半は

・琵琶協奏曲 「東方剣魂」(劉 文金)

 中国琵琶:ジャン・ティン

◆中国琵琶のジャン・ティンさん


・琵琶協奏曲 「祇園精舎」(秋岸 寛久)

  琵琶:石田 さえ

◆日本琵琶の石田さえさん


演奏の前に琵琶奏者お二人による「日本の琵琶と中国の琵琶の違い」についてのお話と実演がありましたが、これがとてもわかりやすく面白かった。


・日本の琵琶はバチで弾くが中国の琵琶はで弾く(したがってマンドリンのようなトレモロが得意)

・日本の琵琶と中国の琵琶ではフレットの数がかなり違う(中国琵琶は30以上)

ネック(いちばん上の部分)の曲がり方が違う

 

ほかにも見た目では胴の部分のカーブなどに違いがあるようでした。琵琶については全くの素人なのでよくわかりませんが。

 

この2つの協奏曲、同じ「琵琶」を使いながらずいぶんと印象の違う音楽でした。中国琵琶のジャン・ティンさんの演奏した協奏曲は響きや音階などがより中近東・アジアよりの音楽という気がしたのに対し、日本琵琶の石田さえさんが演奏した曲はまさに「日本的」。琵琶の演奏以外に「祇園精舎」の語りも入っていたのでさらにその色合いが濃かったように思います。

 

アンコールはお二人の琵琶が入って「ふるさと」。これがしみじみとしていい演奏でした。

 

終演後楽屋にお邪魔して稲田先生にご挨拶。どんなスコアか興味があったので拝見させていただくと、よく見なれたふつうの五線紙に書かれたものでした(中身は変拍子が続いたりして複雑ですが)。でもあの微妙な音程や「間」などはどう表すのでしょう?今度お会いした時にお聞きしたいと思います。

(2015.03.05)



新印象派 光と色のドラマ

2015-03-06 | アート&クラフト

東京都美術館で開催中の「新印象派 光と色のドラマ」を観てきました。

◆シニャック 「髪を結う女」

 

いわゆる「点描技法」で活躍したスーラやシニャックら「新印象派」の流れをたどる展覧会です。

◆入口のロゴがいい感じ

 

「点描画」というと、「絵の具を混ぜないで細かく点で置いていく」→「目の中で色が混ざる」くらいの知識しかなかったのですが(笑)、この展示を観て、なぜこのような技法が生まれ、そして次にどこへいったのか、ということがよくわかりました。久々に「なるほど~」感のある展覧会でした。

 

モネなど印象派の画家たちは、すでに絵の具をできるだけパレットで混ぜない(濁って暗くなるから)で筆のタッチを生かしながらキャンバスに置いていく、「筆触分割」という技法を使っていたわけですが、これは「理論で」というよりも「感覚的に」やっていたようです。

◆モネ 「税関吏の小屋・荒れた海」

 

それを科学的な色彩理論に基づいて追及して行ったのがスーラたちの「新印象派」というわけですが、この「科学的な理論」についての展示(色相環補色を使って解説された当時の理論書や図版)がなかなか面白かった。どういう色を組み合わせてどこにどういうバランスでどういう向きで置いていくかということを一生懸命研究していたんですね。

◆美術の授業にも出てくる色相環

 

特にスーラとシニャックが実際に使っていたパレットの展示は必見!

シニャックは几帳面に絵の具を分けていて「こだわる男」のようです(笑)

 

さて、説明ばかりになってもいけないので、以下気に入った作品の紹介を。

まずはスーラ。

◆スーラ 「セーヌ川、クールヴヴォワにて」

なんともいえない空気感があります。

 

◆スーラ 「グランドジャット島の日曜日の午後」の習作(習作といってもこれだけで大変そう)

 

◆完成作 「グランドジャット島の日曜日の午後」(展示はされていません)


ところでこのスーラの作品にはともに犬がいます。スーラはきっと犬好きだったのでは?そんな気がします。自分も犬好きなので。

 

◆スーラ 「ポール=アン=ベッサンの外港、満潮」

この作品、なんと額縁まで点描で塗られています!

 

続いてシニャックほか。

 ◆シニャック 「サン=ブリアックの海、ラ・ガルド・ゲラン岬」

実物は非常に「光」を感じさせる明るい絵で点描も緻密です。

 

◆ピエ 「雪のサン=ミシェル・デギーユ聖堂」

雪景色好き(笑)にはたまりません。寒いけれどどこか温かさを感じます。

 

さて、ベルギーやオランダなどにも広がった新印象派ですが、しだいに点が「モザイク」のように大きくなったり、色が自由になったりと変化していきます。

◆シニャック 「マルセイユ、釣船」

シニャックはどんどん変わっていきますね。

 

◆マティス 「日傘の女性」

ここでマチスが登場。点描だけど色がマティス!


 ◆マティス 「ラ・ムラード」

おお、まさにマティス。なるほど、こうやってフォービズムにつながっていくわけか(ちょっととばし過ぎか。。。)

 

予想していたよりもかなり面白く「勉強」になった展覧会でした。

ただ、「1時間半くらいあれば観られるだろう」と思っていたのに、まだ半分も行かないうちに「もうすぐ閉館で~す」と案内が流れて後半やや急ぎ足になってしまいました。

たぶん、「1回作品を見る→近づいて点を見る→今度は離れて見る→もう一度最初に戻って見る」ということをやっていたからだと思います。

いつもより時間を多めに取って行かれることをお勧めします。

◆出口に飾られていたレゴブロックによる作品

 

(2015.03.05)