Con Brio 楽譜と趣味の道具箱 

〇出版楽譜のご紹介
 カテゴリー ⇒「出版楽譜」へ

〇アート
〇ミュージカル
〇コンサート
〇温泉 釣り

テアトルサックス旗揚げ公演

2014-03-18 | コンサート&ライヴ

サクソフォン奏者の瀬川香織さんの招待で「テアトルサックス旗揚げ公演」というちょっと変わったタイトルの演奏会に行ってきました。

「テアトルサックス」はサクソフォン奏者の中村均一氏の門下生が集まって昨年結成された団体で、「子供から大人まで誰もが気軽に足を運べる劇場を、サクソフォンの音色で作り上げる」というものです。

__740440
◆パンフレットやプログラムも楽しい「劇場」風

前半は「一晩でサックスの歴史がわかる!?アドルフ・サックス物語」という朗読つきのステージ。アドルフの生い立ちからの一生を語りを挟みながらサクソフォンの名曲で紹介していくという内容で、アドルフが小さい頃父親の楽器工房で興味からしょっちゅう怪我をしたり薬品を飲んでしまって大騒ぎだった話とか、なかなか面白く聴けました。やはり天才というのは幼少期から違うんですね。

ステージ最後の曲はサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」のフィナーレでしたが、ソプラニーノからバスまで12本によるサックスの大合奏は壮大でした。

Adolphesax
◆アドルフ・サックスは今年生誕200年

後半はまずサックス八重奏と四重奏の2曲が演奏されました。どちらも初めて聴いた曲ですが、サックスの音色や機動性を活かしたもので、アドルフサックスが作ったこの楽器がやはりよく考えられ完成度の高いものだということがわかります。

そして最後はこの団体のメンバーの師匠である中村均一氏をソリストに迎えての「ニューヨークからの4つの絵」。

中村均一氏の生演奏を聴くのは10年ぶりくらいで楽しみにしていました。初めて氏の甘く柔らかい音色を聴いたときは「なんでこんないい音がするんだ!」驚いたものです。

さて、ここまでもプロの皆さんの素晴らしい演奏で十分にサックスの響きを堪能したのですが、中村均一氏のソロは圧巻でした。伴奏は門下生全員10人以上による同じサックスによる伴奏(さらにドラムとピアノが加わる)なのですが、ソロがくっきりと浮かび上がってきます。

そして楽章ごとに順番にソプラノ→アルト→テナー→ソプラノと楽器を持ち替えていくのですがそれぞれの楽器の音色が際立っており、弱音から最強音までダイナミクスも素晴らしく広い。何よりメロディーの歌い方と官能的なまでの自由自在なヴィブラート(いやらしさ寸前 笑)が感動モノでした!知人もバックで演奏していたのですが「中村先生が吹き始めたら泣きそうになってしまった」そうです。

この演奏を聴けただけでも幸せでしたが、拍手に答えてのパフォーマンスを入れたミュージカル風アンコールがまたとても楽しく、いいコンサートでした。ぜひまた続きをやってもらいたいものです。

(2014.03.12)

 


「ラファエル前派展」 ~ “オフィーリア”

2014-03-03 | アート&クラフト

前日の春の陽気から一転して小雨が降る肌寒い中、森アーツセンターギャラリーで開催中の「ラファエル前派展」に行ってきました。

Img_10912
◆ブルジョアの彫刻「ママン」の下には春の花も

今回の目的はなんといってもミレイの「オフィーリア」。初めて画集で接してからずっと本物を見てみたかったので楽しみにしていました。

Img_1093
◆いよいよ「オフィーリア」が!

入場すると、なんとすぐ目の前にもう「オフィーリア」が展示されているのに驚きました。だいたいこういう目玉作品は展示の中ほどにあることが多いような気がするのですが、いきなり本命登場。

0061
◆念願のミレイ「オフィーリア」

思っていたよりは小さなサイズでしたが、女性の恍惚とした表情、目や指先など迫真の描写は素晴らしいものでした。周りに描かれた草木も細緻をきわめていて、よくまあここまで枝や葉のひとつひとつを描いたものだと感心しました。また左の枝にはカワセミが一羽いましたがこれは何かを象徴しているのでしょうか?いろいろ考えながらしばらくこの絵の前で立ち止まっていました。う~ん満足。

さてミレイについてはこの「オフィーリア」しか知らなかったのですが、他にもなかなかいい作品があって気に入りました。例えば「釈放令、1746年」という作品には飼い主に甘えて立ち上がる犬が後ろから描かれているのですが、仕草や毛並みの描き方が犬好きにはたまりません 笑。

20140215234641
◆ミレイ「釈放令、1746年」 この犬の尻尾!

「両親の家のキリスト」という作品もひとりひとりの表情がなんとも言えません(特に右側で困ったように見ている男の子の顔)。床に落ちたカンナ屑も木工好きにはツボですね。

9f380411f3e1556782e41caf358da5aa_2
◆ミレイ「両親の家のキリスト」

う~ん、もっとミレイの作品を見てみたくなりました。2008年に「ミレイ展」があったようなのですがまたどこかでやってくれないでしょうか。

さて、次に気に入ったのはブレットの「ローゼンラウイ氷河」。本物と見まがうような岩は、「ラファエル前派」とは関係ないのですがなぜかダリの「パンかご」を思い出しました。

20140215234644
◆ブレット「ローゼンラウイ氷河」

A5407_i1
◆突然ですがダリの「パンかご」

ダイスの「ペグウェル・ベイ、ケント州 - 1858年10月5日の思い出」という風景画もすごかった。もう写真撮った方が早いんじゃないかと。。。そんなこといったら元も子もありませんが。

20140215234640
◆ダイス「ペグウェル・ベイ、ケント州 - 1858年10月5日の思い出」

展示の後半はロセッティの作品が中心でしたが、残念ながら自分にはあまり心を惹かれるものはありませんでした。絵そのものに魅力がないというか「画力」の問題なんでしょうか?

最後にもうひとつ。展示の最初にあったこの作品。

337pxarthur_hughes__april_love__goo
◆ヒューズ「4月の恋」

青、紫、緑という色の使い方や衣服の質感、そして少女の表情が印象に残った1枚です。

「ラファエル前派展」、思わぬ収穫がありました。

Img_10942
◆会場出口のディスプレイ。

(2014.03.02)