混雑で話題?の「モネ展」(東京都美術館)に行ってきました。
◆「印象、日の出」の展示は10/18まで
混まないうちに早めに行こうと思っていたのですが初日からずっと大混雑。「印象、日の出」は見逃せない。ということで初めて「夜間開館日」を狙ってみました。
◆初めての夜の都美術館へ
◆18:20頃入場。チケット売り場、入場ともに待ち時間なし
会場内はそれなりに混んでいましたが少し並べば近くでも見られる。フェルメールやミュシャ(最終日)の時を思えば空いている方です。
まず始めは「家族の肖像」
モネの人物画は妻のカミーユを描いた「日傘の女」が好きなのですが、今回展示されていた彼の子どもたちの肖像画も気に入りました。
◆「ポンポン付きの帽子をかぶったミシェル・モネの肖像」
いずれの作品も素早く一気に描きあげられていて、合わせて展示されていたルノワール作のモネの肖像画と比べると、ルノワールの柔らかさとモネの軽快さが対照的でした。個人的にはこのコーナーは掘り出し物。
◆「新聞を読むクロード・モネ」(ルノワール)
次は「モティーフの狩人」
風景を主に、花、人物などが十数点ありましたが雪景色好きの私としてはやはりこれ。
◆「雪の効果、日没」
モネは本当に雪を描くのがうまい。「オルセー美術館展」で見た「かささぎ」や「モネ、風景を見る眼」で見た「雪のアルジャントゥイユ」も大好きです。
続いて「収集家としてのモネ」
モネが集めた他の画家たちの素描が中心でしたが、影響を受けたヴーダンの海辺のスケッチはさすが。意外と?よかったのがドラクロワの水彩スケッチ。小さいけれど波の表現などがいい。
◆「エトルタの断崖、馬の脚」(ドラクロワ)
次の「若き日のモネ」はちょっと変化球。
初めて見るモネのカリカチュア(風刺画)なのですが、これがめっぽう面白い!デフォルメされた人々の顔やポーズがなんとも楽しい!鉛筆のタッチも絶妙。これだけ見たら「モネ展」とは思えません。
◆「演劇界の小パンテオン」
さあ、いよいよ「印象、日の出」です。
部屋に入ると「おぉ?本当に日が差している?」かのように見えるあの1枚が。
◆今回の目玉 「印象、日の出」
どうやらこれは展示方法(ライト)の効果が大きいようで、本当に太陽が輝いているように見えてきます。ちょっと感動でした。思ったよりも明るい色調。そして今までこの絵はキャンバスの塗り残しがけっこうあるような「極薄塗り」のような気がしていたのですが、近くで見るとそうではありませんでした。
この当時の絵の主流は神話や歴史を扱った写実的なものが多かったわけですから、ここにこんな絵が出てきたら騒ぎになるのがわかります。例えばオルセー美術館展でのこの作品。
◆「ヴィーナスの誕生」(カバネル)
同じ海を描いてこの違い。モネの作品が「描きかけだ」と言われたというのももわかります。
なお、この作品が描かれたのは「1872年11月13日午前7:25~35頃」だというのが検証の結果わかったそうです(この説明パネルはなかなか面白いのでぜひご覧ください)。
さて、モネといえば「睡蓮」。その睡蓮を集めたのが次の「ジヴェルニーの庭」。
◆「睡蓮」
モネは睡蓮や花を描くために自宅に庭園まで作ったというのですから徹底しています。睡蓮だけで200作というのもすごい。ただ、1910年代くらいからの睡蓮や花の絵は「これこそ描きかけでは?」と思うようなものも多く、やや物足りなさも。
そして「最晩年の作品」
う~ん、これはもうフォービズムか抽象画か?形も判然としないし絵の具がゴッホやルオーみたいな厚塗りで描きこまれています。何となく睡蓮や橋の面影は感じますが、白内障を患っていたというモネの目にはどう映っていたのでしょうか?ちょっと衝撃的ではありました。
◆「日本の橋」
最後に展示されていたのはモネの愛用していたメガネ、パイプ、パレット。
◆モネのメガネ
◆モネのパイプ(とてもきれいでした)
◆モネのパレット
このパレットの明るい色合いはやっぱりモネ。
番外編として出口そばに展示されていた田辺誠一さんの作品。
◆「モネ in Japan」
これ、意外とよかったのでミュージアムショップでキャラクター品を購入(笑)。
会場を出るといつも見る都美術館の建物がいい感じ。
◆内装の赤と緑の対比がきれいです
◆モネ展の後だとパリに見える?上野公園
◆国立西洋美術館の「地獄の門」 昼よりいいかも
これでこのあと一杯飲んで帰れたら最高でしたが今日はまっすぐ帰宅。初めての夜間鑑賞、よかったです。
(2015.10.10)