お手伝いさせていただいている小学校2校が出場する「東関東吹奏楽コンクール小学校の部」を聴きに行きました。(9/13 千葉県文化会館)
◆すっきりと綺麗なプログラム
丸一日かけて全30校を聴きましたが、あらためていまの小学生の演奏能力の高さには脱帽です。合奏だけでなくソロも上手い。音だけ聴いたらとても小学生とは思えません。
そんな中で特に印象に残った学校をいくつか。
まずは1番の茨城県代表水戸市立三の丸小学校(喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション)。演奏開始時間が9:50でしたらから、おそらくまだ夜も明けないうちから準備練習をして臨んだと思われます。子どもたちのコンディションやホールの空気も温まらないうちにトップで演奏するというのは大変なことですが、それを感じさせない快演でした。ピッコロやクラリネットのソロも美しく、後半の盛り上がりも躍動感があり爽快。まるでコンサートの幕開けのような素晴らしい演奏だったと思います。
4番の千葉県代表柏市立酒井根東小学校(マカーム・ダンス)は音程、リズム、ハーモニー、バランスなど細かいところまで練り上げられた完成度の高い演奏。クラリネットなど木管楽器が充実した豊かな響きです。大人顔負けのサクソフォンのソロ(名演!)もあり、インパクトと緊張感のある見事な演奏でした。
15番の千葉県代表船橋市立高根東小学校(鳥之石楠船神~吹奏楽と打楽器群のための神話)は各楽器が非常によくブレンドされたバランスのよい響きで、アンサンブルにも隙がありません。曲名どおり打楽器パートの活躍には目が点。驚くべきテクニックです。最後に向かって駆け抜けるようなラストは思わず興奮してしまいました。
21番の千葉県代表柏市立第二小学校(百花夢想~凛と咲く紅の花の如く)は堂々とした骨太の響きと音楽。ピッコロやフルートのソロもよく、打楽器パートもとても上手い。そしてスケールがありながら強奏でもバランスを崩すことがなく、先生の推進力のある指揮と相まって最後まで非常に安定した演奏でした。
そして審査の結果、上記の酒井根東小学校と高根東小学校の2校が東日本大会(10月に札幌で開催)に東関東代表として選ばれました。おめでとうございます。
残念だったのは茨城県代表として参加するはずだった常総市立水海道小学校が出場辞退となったこと。学校が避難所となり、メンバーの中にも被災された家庭があるということで止むを得ないとはいえ、先生や子どもたちはさぞかし無念であろうと思います。8月の茨城県大会が鳥肌モノの演奏でしたので、出場していればおそらく代表校争いに加わっていたことでしょう。東関東吹奏楽連盟は水海道小学校の演奏の機会を設けることを検討しているそうですが、ぜひ実現して欲しいと思います。
なお今日のコンクールを聴いて疑問に思ったことをひとつ(あくまでも個人の感想です)。
編成や曲に応じた音量を越えて、「こんなに大きな音で演奏しなければいけないのだろうか?」と思う学校が多かったことです。特に打楽器は強打に思わず耳をふさぎたくなった学校もありました。楽器をしっかり鳴らすことや迫力、ダイナミクスも確かに必要ですが、せっかくここまで小学生のレベルが上がっているのですから、コントロールの効いた「f」や美しくやわらかい「p」の響きが聴けるといいなあと思いました。
(2015.09.13)