〈イスラエルはムスリム同胞団を支持しない〉
ムスリム同胞団はイスラムの復興を目標としており、基本的に反欧米・反イスラエル的である。彼らは主にエジブトで勢力を拡大したが、エジプトという国家への帰属意識だけでなく、イスラム共同体への帰属意識が強い。アラブのイスラム教徒はもちろん、世界のイスラム教徒にとってのイスラム共同体が、彼らにとっての国家である。
宗教性を除けば、現在の国家の枠を超える点で、ナセルのアラブ民族主義と共通する。大きく違うのはムスリム同胞団は大衆運動であり、ナセルとその後継者たちはエリート階級に属していることである。エジプト太守の将校だったナセルやサダトは太守に反乱し、政権を奪取すると、英国から独立した。彼らの反乱は特権階級の反乱だった。これに比べ、現在エジプトで起きている反乱は大衆の反乱であり、過激な方向に進む危険がある。若者は過激になりがちであり、ムスリム同胞団はもともと大衆運動であり、急進的である。現在のエジプトの反乱の結果、イランのような過激な政権が誕生するかもしれない。
イランのアフマディニジャド大統領は「イスラエルという国家を消滅させる」と国連で演説した。すると各国の国連大使たちのほとんどが最大の抗議の意を示し、議場を去った。
アフマディニジャドのような人物がエジプトの大統領になることは、イスラエルにとって悪夢である。
イスラエルはムスリム同胞団が指導する革命が成功することを望まない。したがってシリアのムスリム同胞団を支持しない。
一方で、シリアの反対派の中には、イスラエルの支援を望んでいる者がいることがわかった。
3月28日イスラエルのネット・ニュース(Yネット)がシリアの反対派の人物(Farid Ghadry)にインタビューした。この人物は「シリアの反対派はイスラエルの敵ではない」と弁明した。「若者たちが革命に成功しても心配ない。シリアではムスリム同胞団が政権を取ることはない。シリアはエジプトとは違う。シリアにムスリム同胞団の指導者がいるなら、これまでのデモの際に、カリスマ的な指導者の肖像が現れていたはずだ。
若者はイスラエルとの領土問題に関心がないので、イスラエルは心配するに及ばない。若者は経済にしか関心がない。彼らは貧しさゆえに結婚できず、最低限の生活な物さえも買えない。(Assad supporters 'loyal to nation')
〈政府を支持する圧倒的多数のデモ〉
3月29日、大統領を支持する人々が、ダマスカスの中央広場を埋め尽くした。男、女、子供たちが、中央銀行の正面3がt29ひに掲げられた大統領の肖像の前に集まった。彼らは叫んだ。「一つの国民! ひとりの大統領!アサド大統領万歳!」
====《Syria unrest: Pro-Assad rallies in Damascus and Aleppo》===
BBC 3月39日
3月29日シリア各地で、それぞれ数万人が政府を支持するデモに参加した。エジプトとは対照的に、圧倒的な大衆デモは政府を支持するものだった。
ダマスカス、アレッポ、ホムス、ハマ、ハサカのデモの様子が、生中継された。大勢の人が通りを埋めつくし、シリアの国旗と大統領の肖像をかかげて行進し、叫んだ。「神 ! シリア!バシャール! 我々は血と命をバシャールにささげる!」
この日子供たちの学校は休みとなり、銀行員などのサラリーマンは2時間の休憩が与えられて、デモに参加した。
3月後半、いくつかの都市で政府に対する抗議のデモが行われた。29日の政府支持派のデモはそれに対抗するものだった。
政府は最近2週間の反政府運動を消火しようと努力を続けている。
最近のデモで60人の死者が出たことについて、政府は対応の過ちを認め、内閣が辞職が予定されている。
現在の危機にどのように対処すべきかについて、政権内で意見が割れている。反体制派を厳しく弾圧すべきだとする人たちと、、彼らと対話すべきだという人たちに分かれている。
28日ダラアでは、数百人が政治的自由を求めてデモをした。部隊が彼らに対し催涙弾を使用した。
===============(BBC 終了)
予告された通り、3月29日ナジ・オタリ首相以下32人の閣僚が辞職した。