道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

テナガエビ

2020年07月03日 | 食物・料理

この梅雨の季節は、全国の河川河口部で、テナガエビ釣りが盛況になる。遠州の各河川でもご多分に漏れず、テナガエビ釣りが活況を呈している。見て来たようなことを言うのは、釣り名人の友人から、釣果を沢山頂戴するからである。私も10年ほど前にこの釣りをしたことがある。

テナガエビと言っても、イタリア料理のテナガエビは深海性のアカザエビのことで、日本のテナガエビとは種類が違う。こちらは塩水の混じる汽水域に生息する。体長20cmぐらいになり、名前どおり2番目の脚が長く、その脚の先端のハサミで餌を掴む。多く釣れるのは7cm前後のもの、各地では一般に、カワエビと呼ばれている。昔は網漁で獲れたものが流通していたが、漁獲の激減で当地では店で手に入らない。

梅雨どきになると、浜松市南区天竜川の河口右岸(西岸)の護岸帯では、複数の竿を並べるテナガエビ釣りの人姿を見かけるようになる。この地の初夏の風物詩である。

エビ類はエサ取りが上手で、魚のように餌を素早く吸い込んだり噛んだりしない。静かに忍者のようにエサを長い脚先で捉え、口に少しづつ運ぶから、ウキに大きな動きは現れない。微妙なアタリを見極める視力・眼力が要る。数を釣るには、扇状に並べた何本もの竿を手際よく扱わなくてはならない。自ずと熟達者は竿数で知れる。それは釣果に現れる。名人達の姿は、風景に溶け込むかのように静穏で独特の風格が滲み出る。

調理は風味を失わないよう、薄めに醤油・酒・味醂・砂糖で煮つける。晩酌の肴にすると、日本酒と相性絶妙の季節の味である。角のある頭部の皮だけ剥がして噛みしめると、エビの味が口中に満ちる。油で2度揚げして塩を振り、ビールのつまみにしても絶品だ。

獲らず料らず賞味するだけの無為徒食人(妻の指摘)、洵に忸怩たるものがある。





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