明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
デパートは近年厳しい状況が続いているが、名古屋の松坂屋本店は次世代のマーケットニーズを捉える場を目指すということでリニューアルを行っている、その中にアートに関わる機能の強化として美術ゾーンを大幅に拡張し、従来の画廊機能に加えて最先端アートの発信、若手アーティストの育成機能も持たせる活動をも行おうとしているとのこと。
本館8階(事務所領域を除いたエリア)が、ART HUB NAGOYAとして12月10日にオープンした。最初の画廊展示は、さすがに名古屋の著名な日本画家が飾ったが、12月21日開催の第2シリーズは、目的に適合した若手展示だったので、訪問することとした。
訪問場所:ART HUB NAGOYA
訪問日:12月26日
訪問時の展示
・第一画廊およびOpen gallery:画集刊行記念 瀧下和之 展 12月21日~1月4日
・第二画廊:轟友宏 展 招福2025! 12月21日~1月4日
・gallery α:名作REBORN 12月25日~1月7日
・arttake ART LAB:中西咲月 現代エジプト展 12月26日~1月17日
本館8階(事務所領域を除いたエリア)が、ART HUB NAGOYAとして12月10日にオープンした。最初の画廊展示は、さすがに名古屋の著名な日本画家が飾ったが、12月21日開催の第2シリーズは、目的に適合した若手展示だったので、訪問することとした。
訪問場所:ART HUB NAGOYA
訪問日:12月26日
訪問時の展示
・第一画廊およびOpen gallery:画集刊行記念 瀧下和之 展 12月21日~1月4日
・第二画廊:轟友宏 展 招福2025! 12月21日~1月4日
・gallery α:名作REBORN 12月25日~1月7日
・arttake ART LAB:中西咲月 現代エジプト展 12月26日~1月17日
第一/第二画廊は従来の延長線上の画廊活動で、今回は若手の売れ筋の画家の展示。gallery αは多分松坂屋側からの若手アーティスト向けの企画展示、arttake ART LABは外部の若手集団に委託した展示を行うのだろう。
順に、展示内容を紹介する。
1.第一画廊およびOpen gallery:画集刊行記念 瀧下和之 展 12月21日~1月4日
瀧下和之さんは1975年生まれ(49歳?)東京芸術大学大学院のデザイン専攻を修了。
20年前から桃太郎の鬼退治にかかわる絵を描きだしたが、それがさる美術展に入選したことで認められ、親しみやすいイラストっぽさが人気を呼んで、作品がバカ売れしているようである。
今回は鬼退治、そして相撲に関わるものの絵とフィギュア、また龍や正月ということでお祝いの絵などが展示されていた。また絵本やカルタも作られているようである。
作品は以下のようなもの。
桃太郎ものといっても可愛らしいそしてたわいもないいろんなことをやっている絵がずらりと並んでいる。モチーフ、色などは同一パターンで押し通されている。板絵に外形線が彫りこまれているものや、版画などがある。
順に、展示内容を紹介する。
1.第一画廊およびOpen gallery:画集刊行記念 瀧下和之 展 12月21日~1月4日
瀧下和之さんは1975年生まれ(49歳?)東京芸術大学大学院のデザイン専攻を修了。
20年前から桃太郎の鬼退治にかかわる絵を描きだしたが、それがさる美術展に入選したことで認められ、親しみやすいイラストっぽさが人気を呼んで、作品がバカ売れしているようである。
今回は鬼退治、そして相撲に関わるものの絵とフィギュア、また龍や正月ということでお祝いの絵などが展示されていた。また絵本やカルタも作られているようである。
作品は以下のようなもの。
桃太郎ものといっても可愛らしいそしてたわいもないいろんなことをやっている絵がずらりと並んでいる。モチーフ、色などは同一パターンで押し通されている。板絵に外形線が彫りこまれているものや、版画などがある。
筋肉マンとのコラボ品。
そして招福もの。屏風まである。
それに関わるフィギュアはこんなもの。鬼主題や力士がテーマのものもある。
それぞれサイズに応じて数万円から100万円を越えるものもある。
2.第二画廊:轟友宏 展 招福2025! 12月21日~1月4日
轟知宏は1974年生れ。神戸芸術工科大学卒業ということで、この人も元はデザイン畑。2010年代後半から、この人の自動車を描いた作品が、世界各地の自動車博物館や資料館に購入されて、一気に人気に火が付いたようである。
人気を得た車の絵は、ぐにゃぐにゃの外形線とカラフルな色彩。色彩はミッフィーの様に単純化されている。
2.第二画廊:轟友宏 展 招福2025! 12月21日~1月4日
轟知宏は1974年生れ。神戸芸術工科大学卒業ということで、この人も元はデザイン畑。2010年代後半から、この人の自動車を描いた作品が、世界各地の自動車博物館や資料館に購入されて、一気に人気に火が付いたようである。
人気を得た車の絵は、ぐにゃぐにゃの外形線とカラフルな色彩。色彩はミッフィーの様に単純化されている。
下記は作者のHPから引用した自動車の絵。
そして、2020年から招福をテーマに絵を描きだしている。今回はそれが展示されている。それらは以下のようなもので、線と色をこれまでから引継ぎ、ジグソーパズルのように面分割されているのが特徴である。
2人の作品は、ともにそれぞれ単純な色彩と線で、作品を観ればその人とブランドが確立している。ブランド確立後は、コマーシャリズムに乗り、ほぼ同様なパターンの作品の量産体制になっている。多分公募展などに出し、国内のアカデミックな評価は関係なく人気があり売れている、轟さんのほうは世界の美術館が購入しているからその評価で十分だということなのだろう。ともに版画にしやすく、量を安価に販売することができる。
作品は確かにアイデアがありファッション性もあるので、値段も手ごろだから、例えば招福ものなら購入して正月にお遊びで飾ろうかとおもってしまった。でもその程度で、カタログ中に名前と絵の一作品があれば、それ以上拘って集めていこうとは思わない。現段階では、これまでの美術愛好家とは違う人々に買われ、その一過性の波が広がっているのではなかろうか。今後たくさん集めたいという人が少数でも出てくるようになることで、美術品として意味を持ってくると思う。今の売り方はラッセンなどに似ているとおもったが、ちゃんとした画廊がついているので、変な値崩れなどは起きないだろう。
3.gallery α:名作REBORN 12月25日~1月7日
若手のアーティストに、過去の名作をそれぞれの個性で改作した作品を発表させたもの。それぞれの作品は残念ながらそれほど大きくなかったが、かなり面白かった。私が特に興味を持ったものをいくつか示す。
作品は確かにアイデアがありファッション性もあるので、値段も手ごろだから、例えば招福ものなら購入して正月にお遊びで飾ろうかとおもってしまった。でもその程度で、カタログ中に名前と絵の一作品があれば、それ以上拘って集めていこうとは思わない。現段階では、これまでの美術愛好家とは違う人々に買われ、その一過性の波が広がっているのではなかろうか。今後たくさん集めたいという人が少数でも出てくるようになることで、美術品として意味を持ってくると思う。今の売り方はラッセンなどに似ているとおもったが、ちゃんとした画廊がついているので、変な値崩れなどは起きないだろう。
3.gallery α:名作REBORN 12月25日~1月7日
若手のアーティストに、過去の名作をそれぞれの個性で改作した作品を発表させたもの。それぞれの作品は残念ながらそれほど大きくなかったが、かなり面白かった。私が特に興味を持ったものをいくつか示す。
こういった企画で製作させてみることによって、アーティストそれぞれの新しい能力が発見できるかもしれない。これもそれぞれ価格がついている。
ルドンの絵からの改作。 (作者:チェックミス 御免なさい)
ルドンの絵からの改作。 (作者:チェックミス 御免なさい)
パウル・クレーからの改作 (作者:木曜日)
葛飾北斎からの改作 (作者:北嶋勇佑)
フェルメールからの改作 (作者:YuDai)
4.arttake ART LAB:中西咲月 現代エジプト展 12月26日~1月17日
中西咲月さんは現在愛知県立芸術大学のデザイン専攻に在学中で、平面的な線の表現に興味があり、グラフィックデザインの視点から古代エジプト美術や宗教画などを研究されているとのこと。
作品がわかわかしくて面白かったけれども、このLABはどのようなテーマ選定法になっているのか興味がある。
下記はHPからの引用のファッション画。
展示作品の一例
5.終わりに
松坂屋本店には南館に松坂屋美術館があるが、それに加えて本館に画廊のイメージを変えて拡張したART HUB NAGOYAを設置した。私が行った時は残念ながらART HABは混んでいなかったが、この方向性はとても期待している。
今回の2人の画廊展示は日本画家のジャンルに入るそうだが、出身はデザインだし作品もイラストレーションで非常にコマーシャルに近い。またART LABの対象となった人もデザインの人で、ARTとDesignの近さを示している。ARTとDesignが共鳴して、販売される商品がArt溢れるものなる・・・ 江戸時代に街の中に町民の持つ浮世絵があふれたように、現代の街にArtがいろんなところに覗いているようになったらいいなとおもう。NHK大河ドラマの「べらぼう」もいいタイミングだと思う。
画廊展示品はちゃんと値段付きで展示されているのもとても刺激的であるし、この充実した企画展示を無料で見ることができるので、今後ここへ来るのが楽しみである。