日時:2018.03.15 18:45~
場所:日本特殊陶業市民会館フォレストホール
プログラム
・ワーヘナ―ル 序曲「シラノ・ド・ベルジュラック」op.23
・メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64
・ストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」
・<アンコール> ワーグナー 「ワレキューレ」
指揮者:ヤーブ・ヴァン・ズヴェーデン
バイオリンソロ:五嶋龍
今 愛知県芸術劇場が閉まっているので、大きなコンサートはこのフォレストホールで行われる。個人的には早く芸術劇場が再開し、コンサートホールの指揮者に対面できる席で早く聞きたいと思っている。
本日は3階席の最前列、両手を前に出した範囲にオケが入る、要するに遠いという意味。そしてほぼ中央で非常にバランスよく、心地よく音楽を聴くことができる場所だった。残念ながら、おなじみの五島龍さんのニコニコ顔をはっきりと見ることはできない。
今回はニューヨークフィルというメジャーブランドをぜひ聴いてみたかった。五島龍さんも、このオケに対抗してどんな主張をするのだろうという所も興味があった。会場はぎっしりと詰まっていた。
1.序曲「シラノ・ド・ベルジュラック」
作曲者もシラノという曲も、実は初耳だったが、とても面白い曲。各パートの出方とメロディがややとっぴな感じがあり、春の祭典の練習のための腕試しって感じ。
ちょっと変わった曲だけれども、アンサンブルとボリュームが素晴らしく、ぐんと春の祭典への期待が高まった。
なお、演奏開始前から楽団員がステージにいて、それぞれ勝手な音を雑然と出していて、演奏開始数分前にその位置で、ピタッと静かになり、まずコンサートマスター、続いて指揮者がでてきて演奏開始っていうのも、新鮮だった。
2.ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64
オケが約2/3くらいに間引かれて、五嶋龍さんが出てきたら大拍手。今日の聴衆は若い女性が多く、彼が目的の人もかなりいるのだろう。
演奏は、非常に澄んだ音で、うーむというくらいオケとアンサンブルがいい。事前にパールマンとか、諏訪内さんとかの演奏をyoutubeで耳の練習をしていただけに、今回の演奏は心地よすぎる。諏訪内さんの演奏なんかは爪痕ばっかり感じたのに・・・ ともかく今回は、ソロの優しさとともに、オケの味わいの深さを非常に感じた。ソロは本当に滑らかで尖っていると感じたところはなかった。協奏曲としてはいいのだが、このオケに包まれたソロのバイオリンを聴かせることが、五嶋さんの想いだったのだろうか・・・
3.春の祭典
1曲目以上の大編成。この曲を初めて聴いたのは映画ファンタジア。あの映画でもこの曲は圧倒的存在感を持っていた。
始まってすぐわかったのは、このオケの管楽器の素晴らしさ。そして全体のリズム感とボリューム。不協和音の渦なのだが、不協和音として見事にはもっている。そしてパートが始まるたびに、音の塊が押し寄せてくる。スケールが本当にすごい。
今回の席はある意味とても良くて、新しいフレーズが始まるごとに、音がこっちから、そしてあっちからいうように視認でき、楽しめた。
そして驚いたのは滑らかさ。クラシックからはかけ離れた曲なのに、このオケは普通のクラシックのような滑らかさで、抵抗感なく曲を流してくる。
4.ワレキューレ
これも映画「地獄の黙示録」のヘリコプターの場面が印象に残る曲。春の祭典の前の休憩時間にやや暗くしたステージの上に並んでいたトロンボーンがこのテーマを吹いていたが、これの練習だったか。
ともかく、この曲も本当に金管が伸びやか。これはナマでも2度ほど聴いているが、圧倒的に熱がある。感激した。
ともかく終わってみると、私としては1、3、4のニューヨークフィルがすごすぎて、2の五嶋さんのイメージがほとんど薄れた。しかしうちの配偶者に言わせると、ニューヨークフィルはああいった優しいアンサンブルも表現できると示したかったのでしょうということだそうだ。
今回のチケットはかなり高かったが、アメリカ5大オケというすごさを思い知った。やっぱりいいものは聞かないとわからない。