暫く前にパスポートの期限が切れたので、このコロナ禍ではあるが再度新規にとるのも面倒だし、継続更新した。その後義父の介護等もあったが仕事もほぼ区切りがついて、現役の頃期待していた環境になったのに海外に行けない状況をずっと我慢してきた。
最近は、かつての海外旅行の写真を眺めることが多くなった。仕事での海外出張でよく眺めるのは、2007年のボルチモア出張の写真。この時始めてデジタルカメラを持って行ったのと、自由に活用できる時間が多かった。
またボルチモアという街自体が下記のように非常に興味のある町であった。
①ワシントンDCの隣にあり、アメリカ独立の頃からの古い町。うまくすればワシントンに行けるかもしれない。
②南軍側の町として有名。また立派な港を持ち、大陸横断鉄道の起点としてかつてはアメリカで1,2を争う大都市だった。
③1950年代には100万人の都市だったが交通の要地ではなくなって産業が離れ、2000年には65万人と大幅な人口流出が起こり、街のど真ん中にゴーストタウンができた。
④2000年以降に大規模なウォーターフロント開発計画が始まり、なんとか盛り返そうとしている。そのウォーターフロントにオリオールズのカムデンヤード球場がある。
⑤アフリカ系アメリカ人が人口比60%を越えており、黒人の町。貧しい人も多く、アメリカ有数の治安の悪い地域として悪名高い。
(なおゴーストタウンとは、ずらっとビルが閉鎖され落書きが放置されていて、夜に明かりが灯らない街区で、ボルチモア在住の日本人が言った。)
1.はじめに
ホテルはゴーストタウンから2街路離れたウォーターフロントにあった。着いたらすぐ近くを歩こうと思った。一応フロントで、その近辺の地図をもとに危険なエリアを確認。そして飛び出した所で出会ったのが、下記の写真のカップル。
<次に海外にいく時は>
もう一度
巡り会いたい
その時は
僕たちも手を
つないでいるよ
もう一度
巡り会いたい
その時は
僕たちも手を
つないでいるよ
女性は白人、太り過ぎで本当によちよちと歩いていた。エスコートしているのは黒人。いたわりつつゆっくりと歩いている。女性は彼に任せきっているようだ。彼等が向かう先にはゴーストタウンがある。
なおゴーストタウンの風景はこんなもの。
「夕方なのに、明かりが灯りそうもないビル群」 「高い位置まで落書きのあるビル」
2.街歩き
仕事場に行った時、また美術館に行った時にゴーストタウンを含むウォーターフロント以外の街を歩いた。
(1)デモの人々
これはインナーハーバーの外れの多分ショッピングセンター入口で見た風景。入口に面した狭いエリアをぐるぐるとデモしていた。全員が有色人種。米テレビドラマで同様の場面を見たことがあるが、ほんとにこんな感じでやるのだと思った。
(2)キャリアウーマン
ホテルの近く、颯爽と歩いている女性がいた。(左端) これも米テレビドラマでよく見るキャリアウーマンそのもの。渡る前に電話をかけ、渡り切る直前にまた電話をかけた。ちなみに右端は赤信号をカッコ悪く走って渡る男性。
(3)街を支える人
①清掃者
インナーハーバー近くのワシントンとの電車がある道。黄色の服の数人のグループが、道路の清掃をしていました。楽しく話し合って時々ステップを踏んで・・・ ここからミュージカルが始まってもいいぐらい。なおこの通りは 白人をほぼ見なかった。
②交通整理の警官
カムデンヤード球場の近く、たくさんの車が集まっていました。交差点に交通整理の警官が・・・・ 身振り手振りがなかなかかっこよかった。
(4)野球場で試合に集まる人
球場に人が集まっていたのは、オリオールズがなんとヤンキースと試合する日だったのです。入口近くに露店がたち、ポップコーンやユニフォームなどを売っていました。
真ん中に立っている女性のユニフォームは背番号55、なんと松井選手です。
<55番 松井選手>
うれしいな
55番をここで見る
東洋の
ゴリラに惚れる
あなたは美人
うれしいな
55番をここで見る
東洋の
ゴリラに惚れる
あなたは美人
(5)本屋さんの中の子供
大きな本屋さんの中、子供達がリラックスした格好で棚に置かれている本を読んでいました。米国では図書館等の公共サービスが足りない場合は、こんな感じで立ち読みが許されているとのこと。
3.ウォーターフロント
ウォーターフロントで特に再開発が進んでいる所はインナーハーバーと呼ばれている。
きれいなビルが建ち、観光センターや科学館、水族館がある。
以下は展望台からインナーハーバーを見渡した風景。
(1)子供と親
インナーハーバーには遊園地や水遊びの場があるとともに、たくさんのレストランがある。
①散歩する親子
早朝出かけてみると、子供を連れた父親が歩いていた。父親は眼光鋭く周りの様子を見張っていたが、子供はとってもかわいかった。
②子供達のボート遊びを見守る親
お昼ごろ賑やかな声が聞こえたので行ってみると、子供達が(大人も少々)がボート遊びをしていて、親が岸から見守っていた。
(2)ヤングギャングたち
昼下がり、ヤングギャングたちが、カッコつけながらインナーハーバーを歩きだした。放課後のパトロール? 左端の女性がなかなかの美人だった。珍しく白人のグループ。
(3)夕方に集まる人々
①海の彼方を見守る人々
夕方より少し早くから、高齢者や身体障碍者が岸壁に集まって、海の彼方をじっと見ていた、そちらから何かが訪れるかのように。でもその逆で若き日の思い出が遠ざかっているのを見ているのかもしれない。
<海の彼方に>
何がある
海の彼方に
眺めるは
遠ざかる過去
幻影の明日
何がある
海の彼方に
眺めるは
遠ざかる過去
幻影の明日
②治安の維持者たち
インナーハーバーは安全とのことだったが、夕方になるとこういった警官のグループが
見渡した視界の中に必ずいた。こういった高密度パトロールで安全を確保しているのだろう。
③夜に集う人々
薄暗くなると、怖いと思ってインナーハーバーからホテルへと一目散に戻ったが、その途中、家族連れがインナーハーバー中心へと大勢集まってくるのに遭遇した。今回写真を見て気づいたが、こちらへ向かってくるのは黒人で、私と同一方向にそこから出ようとしているの白人だった。
出張先の相手の話では、ボルチモア市はかつて海岸から町のど真ん中がゴーストタウン化した。そこでそのゴーストタウンの最も海岸線側の所を、インナーハーバーとして再開発し、最新の都市にしたとのこと。そしてボルチモア市郊外およびその外側のボルチモア郡
はちゃんとした安全な街になっている。すなわち最新の港湾の外側にゴーストタウンがあり、またその外側にちゃんとした街があるという3重構造になっているとのこと。特にボルチモア郡は白人が3/4の高級住宅街とのこと。(最近のWikiでチェックしたがあまりい変わっていない模様)
4.科学館等
ボルチモアにあるメリーランドサイエンスセンターは、アメリカではじめて行った科学館で、展示内容を訪問者、特に子供たちが積極的に興味を持つように仕向ける努力に感銘を受けた。それでその後アメリカに行った場合には科学館も訪問するようにした。去年に思い出として訪問記を書こうと思ったら、かなり現在の内容が変わっていて驚き、書けなかった。今回は、当時の展示の訪問者との関連を示す。
(1)化石を掘る子供達
丸い岩石状のテーブルのくぼみには砂が入っていて、それを掘ると化石の模型が出てくる。青い服の人がボランティアで、非常にうまく子供たちをリードしていた。
(2)骨の動きの若き研究者
外でドアノブを回すと、ウィンドウの中の腕の骨がまわした手と同じ動きをすることで、骨の機構がわかるという仕組み。
この女の子は、自分の手のそれぞれの位置を押さえ、自分の骨が展示通りに動くことを確認しようとしていた。
<科学する>
科学する
眼差しの先
未来あり
口元緩み
発見を語る
科学する
眼差しの先
未来あり
口元緩み
発見を語る
(3)ヨガの見習い
たくさんの穴の開いた金属板の上に寝ころぶと、その金属板が下がり穴から釘状のものが姿を現すという仕組み。
(4)集まってチーズ
インナーハーバーにある水族館の前の子供達の記念撮影。撮影の時にはしゃぐのはどこの子供たちも同じ。
5.美術館
美術館は2つの美術館を訪問した。その概要は下記のURLに示す。ここではボルチモア美術館の展示に詩を付けたもの(下記URLに既出)を示す。
(https://blog.goo.ne.jp/tenchan-ganbare/e/9a9ffd2fb127eb511539eb5dfef56bf7)
写真も自由に撮れるし、ボランティアに説明ツアーも頼めるし、椅子を貸し出して好きな作品の前に座りこんでスケッチもできるようで、訪問者へのサービスが行き届いている。
<マティスとともに>
愉しいね
マティスの部屋で
デートとは
色彩踊り
心もダンス
愉しいね
マティスの部屋で
デートとは
色彩踊り
心もダンス
この部屋は、絵画および彫刻すべてマティス。そして白人と黒人の多分高校生カップル。
<パパよりボクがわかる>
パパよりも
わかるよボクが
だってこれは
純な心の
夢への階段
パパよりも
わかるよボクが
だってこれは
純な心の
夢への階段
6.おまけ
人間そのものではないけれど、象徴的なものを示す。
(1)逆転
私たちが会議をしていた近くにあった彫刻。ちゃんとした格好の黒人男性が、だらしのない白人男性を詰問しているよう。
(2)教会へどうぞ
教会の聖書研究会の案内。教会はなかなか活発で影響力を維持しようとしている。
<教会への招待>
おいでよね
貴方のままで
わからない?
逆立ちすれば
見えてくるかも
おいでよね
貴方のままで
わからない?
逆立ちすれば
見えてくるかも
(3)米国のオタク
本屋さんで見かけた雑誌。雑誌名が「オタク」だから驚いた。2007年であり、2010の政府開設のクールジャパンよりも早い。アニメ文化もたいしたもの。
買って帰ってこなかったことを反省している。
7.終わりに
日本に帰る時、ボルチモア空港で最後に撮った写真が次のもの。子供の真剣な眼。
<お出かけは真剣勝負>
引き継ごう
親から子供へ
女性なら
お出かけの時は
真剣勝負
引き継ごう
親から子供へ
女性なら
お出かけの時は
真剣勝負
他の海外写真と比べても、ボルチモアが最も興味ある人々と出会っている。もう一度行きたいとは思わないが、とても印象に残っている。