私の参加している陶芸教室で、生徒が独自に陶芸創作および鑑賞の参考にするために常滑焼の里の見学を計画していたところ、その先生から「折角なら友人の工房を紹介しようか。」とのお話があった。そこで是非とお願いして日程調整までしていただき、その周辺のめぼしい所を散策することとした。先生からご紹介頂いたのは「石水窯」、常滑でも数少ない薪で陶器を焼いている窯だった。
以下に、訪問日 2024年1月30日の活動概要を記載する。
1.常滑駅にて全員集合
陶芸クラス参加者約10数名は、名鉄の常滑駅に集合した。
その駅に下の写真の左に示す祠があり、猫の陶器製の神様が鎮座していて受験にご利益があるとされていた。なぜかと考えて、神社名、そして猫の足の後ろに書かれている文字が、常滑の滑が逆に書かれていることに気が付いた。逆なら滑らないということ。一同大爆笑。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/36/72f9a625980c15023b5319cbc903f346.jpg)
<常滑駅の祠>
2.石水窯訪問
駅から石水窯まで歩いて約10分。かなりシックな建物だった。看板もなかなかにシック。中は販売店・展示ルーム・作業場所の合体したもので、たくさんの作品が並べられ、ロクロが置かれていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/f5/6d023b52e04c9e607508603023cdbbb2.jpg)
<石水窯の看板> <内部の様子>*
(*は https://www.tokoname-kankou.net/souvenir/detail/136/ からの引用
窓口担当者が挨拶すると、奥のほうから工房の主人、稲葉さんが出てこられた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/10/166c103a87fcf78f5a43c3791ba075ad.jpg)
<説明中の稲葉さん>
稲葉さんから まず陶器の薪焼きとそれによって生れる自然釉について愛情豊かな説明があった。
最近は電気炉やガス窯、灯油窯が簡便で、かつ炉内の温度も管理しやすいが、かつては薪を焚いて炉内で温度をあげていた。その際の温度管理の難しさが生み出す偶然の美や、燃えた薪の灰が降り積もってガラス質の釉薬状態になる自然釉が味わえるとのこと。
その薪焼き実施のためには、焼く対象を年単位で作り貯めて、大きな窯に狭い隙間をコントロールしてぎっしり詰める。その隙間は火を全体に均一に回すのにまわすのに重要。そして薪を10日ほどかけて設置した後、ほぼ3昼夜炉内が1200℃以上のある温度範囲になるように燃焼を維持する。大変な資金と労力の必要な作業であるとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/70/c63c91359adc45ac562b5c84835dd593.jpg)
<焼いている時の煙突からの炎>
*http://japannavi.co.jp/chita/shop/all/00446.html?mode=sp からの引用
そうやって生れた自然釉の作品を、下図の後列に示す。
釉薬を付けたものを電気炉で焼くのと違い、燃えた灰が自然に分布して積み上がって釉薬として生じ、またそれが自然に流れて表面を飾る。不均質でザラっとしていて、なんとも言われぬ光沢が現れる。この釉は薪の種類や焼成条件によって、いろいろと変化する。このコントロールの難しい釉の楽しみがあるとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/f1/91b0102187c8297a8e1c0cbecd8b3772.jpg)
<自然釉の陶器:写真後列> <自然釉の拡大>
石水窯では、その他に土をブレンドして焼成後の素地の色合いをコントロールすることができる。その技術をこの窯として伝統の急須に活用している。
下図は胴体と蓋の色合いの異なる急須である。素材の色合の違いを見事に生かしている。また蓋は外れ止めが付いているが非常に精度よくガタつかずに着脱できる。そして、注ぎ口がこれも非常に湯切れがいい形になっているとのこと。違ったブレンドの土でも、焼くときの収縮率を合わせることができるということでびっくり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/17/f4e5bf4c0bcf61bc7805b7f3d216ea1f.jpg)
<蓋と胴の色合いの異なる急須>
薪焼きの大変さと生じる自然釉の面白さ、その味わい方が少しは理解できたとおもう。
3.常滑登窯広場
続いて、石水窯近くの登り窯広場に行き、まず明治20年から昭和49年まで実際に使用されていた登り窯を見学した。
ここにある約20度の傾斜地に八つの焼成室を連ねた陶栄窯は、全長22M、最大幅 9.6M、 最大天井高3.1Mで、現存する日本の登り窯としては最大級。以前も来た事があったが、集団でくると、いろんな見方で新しい発見があるのが面白い。今回は煉瓦の色からある場所が使用中修復されたのではないかとかの話がでた。ここの10本の煙突や他の登り窯からの煙で、常滑のスズメは真っ黒だったそうだ。
その後、広場内の展示工房館で、昔の炉の中に入ったり、最近の作家の作品を鑑賞した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/31/0452f95228aeec833598a9558bf7ab96.jpg)
<陶栄窯の煙突>
4.その他
焼き物散歩道を適当に散策し、廻船問屋・瀧田家や土管坂などを訪れた。途中でお店番としてテレビにもでた猫にも出合った。
廻船問屋・瀧田家は、江戸時代から明治にかけて活動していた豪商で、海を見下ろす立派な家で、中に展示されている調度品も立派だった。そしてそこへの道は、土管坂よりも焼き物で葺いた道として風情があった。
陶磁器会館経由で駅にもどってきたが、街中は招き猫ばっかりだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/bb/ea68d45b2bd448e35e6baf1265061b3f.jpg)
<瀧田家の前の陶器の道> <お店番の猫>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/2d/499db2abca76f9961147ef883c4ca56e.jpg)
<招き猫だらけの街>
丁寧に説明いただき、また質問に対してわかりやすく回答してくださった石水窯の稲葉様に感謝します。
以下に、訪問日 2024年1月30日の活動概要を記載する。
1.常滑駅にて全員集合
陶芸クラス参加者約10数名は、名鉄の常滑駅に集合した。
その駅に下の写真の左に示す祠があり、猫の陶器製の神様が鎮座していて受験にご利益があるとされていた。なぜかと考えて、神社名、そして猫の足の後ろに書かれている文字が、常滑の滑が逆に書かれていることに気が付いた。逆なら滑らないということ。一同大爆笑。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/36/72f9a625980c15023b5319cbc903f346.jpg)
<常滑駅の祠>
2.石水窯訪問
駅から石水窯まで歩いて約10分。かなりシックな建物だった。看板もなかなかにシック。中は販売店・展示ルーム・作業場所の合体したもので、たくさんの作品が並べられ、ロクロが置かれていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/48/cfacde98af11fb326c27705d5591a625.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/f5/6d023b52e04c9e607508603023cdbbb2.jpg)
<石水窯の看板> <内部の様子>*
(*は https://www.tokoname-kankou.net/souvenir/detail/136/ からの引用
窓口担当者が挨拶すると、奥のほうから工房の主人、稲葉さんが出てこられた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/10/166c103a87fcf78f5a43c3791ba075ad.jpg)
<説明中の稲葉さん>
稲葉さんから まず陶器の薪焼きとそれによって生れる自然釉について愛情豊かな説明があった。
最近は電気炉やガス窯、灯油窯が簡便で、かつ炉内の温度も管理しやすいが、かつては薪を焚いて炉内で温度をあげていた。その際の温度管理の難しさが生み出す偶然の美や、燃えた薪の灰が降り積もってガラス質の釉薬状態になる自然釉が味わえるとのこと。
その薪焼き実施のためには、焼く対象を年単位で作り貯めて、大きな窯に狭い隙間をコントロールしてぎっしり詰める。その隙間は火を全体に均一に回すのにまわすのに重要。そして薪を10日ほどかけて設置した後、ほぼ3昼夜炉内が1200℃以上のある温度範囲になるように燃焼を維持する。大変な資金と労力の必要な作業であるとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/70/c63c91359adc45ac562b5c84835dd593.jpg)
<焼いている時の煙突からの炎>
*http://japannavi.co.jp/chita/shop/all/00446.html?mode=sp からの引用
そうやって生れた自然釉の作品を、下図の後列に示す。
釉薬を付けたものを電気炉で焼くのと違い、燃えた灰が自然に分布して積み上がって釉薬として生じ、またそれが自然に流れて表面を飾る。不均質でザラっとしていて、なんとも言われぬ光沢が現れる。この釉は薪の種類や焼成条件によって、いろいろと変化する。このコントロールの難しい釉の楽しみがあるとのこと。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/d8/e5f70645f0f0d4c23f12ba78690244f9.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/f1/91b0102187c8297a8e1c0cbecd8b3772.jpg)
<自然釉の陶器:写真後列> <自然釉の拡大>
石水窯では、その他に土をブレンドして焼成後の素地の色合いをコントロールすることができる。その技術をこの窯として伝統の急須に活用している。
下図は胴体と蓋の色合いの異なる急須である。素材の色合の違いを見事に生かしている。また蓋は外れ止めが付いているが非常に精度よくガタつかずに着脱できる。そして、注ぎ口がこれも非常に湯切れがいい形になっているとのこと。違ったブレンドの土でも、焼くときの収縮率を合わせることができるということでびっくり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/17/f4e5bf4c0bcf61bc7805b7f3d216ea1f.jpg)
<蓋と胴の色合いの異なる急須>
薪焼きの大変さと生じる自然釉の面白さ、その味わい方が少しは理解できたとおもう。
3.常滑登窯広場
続いて、石水窯近くの登り窯広場に行き、まず明治20年から昭和49年まで実際に使用されていた登り窯を見学した。
ここにある約20度の傾斜地に八つの焼成室を連ねた陶栄窯は、全長22M、最大幅 9.6M、 最大天井高3.1Mで、現存する日本の登り窯としては最大級。以前も来た事があったが、集団でくると、いろんな見方で新しい発見があるのが面白い。今回は煉瓦の色からある場所が使用中修復されたのではないかとかの話がでた。ここの10本の煙突や他の登り窯からの煙で、常滑のスズメは真っ黒だったそうだ。
その後、広場内の展示工房館で、昔の炉の中に入ったり、最近の作家の作品を鑑賞した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/31/0452f95228aeec833598a9558bf7ab96.jpg)
<陶栄窯の煙突>
4.その他
焼き物散歩道を適当に散策し、廻船問屋・瀧田家や土管坂などを訪れた。途中でお店番としてテレビにもでた猫にも出合った。
廻船問屋・瀧田家は、江戸時代から明治にかけて活動していた豪商で、海を見下ろす立派な家で、中に展示されている調度品も立派だった。そしてそこへの道は、土管坂よりも焼き物で葺いた道として風情があった。
陶磁器会館経由で駅にもどってきたが、街中は招き猫ばっかりだった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/7c/0794574ff3c7f5a0466cbad064154cc6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/bb/ea68d45b2bd448e35e6baf1265061b3f.jpg)
<瀧田家の前の陶器の道> <お店番の猫>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/cc/1cf35ab0bd12236aa9ec64ca3afb3eef.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/2d/499db2abca76f9961147ef883c4ca56e.jpg)
<招き猫だらけの街>
丁寧に説明いただき、また質問に対してわかりやすく回答してくださった石水窯の稲葉様に感謝します。