日本原産の小木「ウグイスカグラ(鶯神楽)」は、武蔵野の丘陵などにたくさんあったようだが、今はこの丘陵などが開拓され住宅化されているのでなかなかお目にかかれない。
しかし、サンシュユ同様に、お茶・お花で使われてきたのでこの関係者の庭に植えられるようになり庭木として広まったようだ。
(写真)ウグイスカグラの花by小石川植物園
名前の由来はいくつかあるが、
春を告げる鳥ウグイスが、この木の枝から枝へと飛びさえずる様が神楽を舞っているようなのでつけられたという説が良さそうだ。
しかも岩戸に隠れている神様(この場合は春と解釈すると楽しい)を外に出すために踊ったのが神楽であり、春をもたらすウグイスのための舞台として尊重された歴史がうかがえる。
ウグイスカグラには、小石川植物園で初めてお目にかかったが、素朴な味わいがある花であり、この時期の淡いピンクの小花はうれしい存在だ。
そして、初夏には真っ赤に熟したグミのようなものが食べれるという。ウグイス達がすばやく食べるので人間の口にはなかなか手に入らないようだ。
(写真)ウグイスカグラの花
ウグイスカグラ
・スイカズラ科スイカズラ属の落葉低木。
・学名は、Lonicera gracilipes Miq.。または、Lonicera gracilipes var. gracilipes Lonicera。種小名のgracilipesは細長い枝を意味し、gracilipesは無毛を意味しており、ミヤマウグイスカグラなど繊毛がある品種との違いを表している。属名は16世紀ドイツの植物学者でありウグイスカグラの命名者でもある。
・原産地は日本で、北海道から四国の山野に生える。
・樹高1.5~3m、ウグイスが鳴く頃に花をつけるのでウグイスカグラという名がついたという説がある。別名ウグイスノキ。
・開花期は3月中旬から4月中旬。枝先の葉がでるところに1~2個のラッパ状の淡いピンクの花が咲く。
・夏には赤いグミのような果実がつき甘い味がして食べられる。
・枝・葉・花に繊毛があるのはミヤマウグイスカグラ(深山鶯カグラ)
命名者Miqは、
Miquel, Friedrich Anton Wilhelm (1811-1871)
シーボルトの『フロラ・ヤポニカ』は、共著のツッカリーニ、二人が亡くなってからはミクェルがこれを完成させる。
命名者Loniceraは、
Lonitzer, Adam (1528-1586)
ドイツの植物学者で、コンラッド・ゲスナーの弟子にあたりハーブ研究を行う。スイカズラ属は彼の栄誉として名付けられた。