モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

その79:マリー・アントワネットの庭園 ②プチ・トリアノン庭園のコンセプト

2009-03-28 00:41:54 | ときめきの植物雑学ノート
マリー・アントワネットはプチ・トリアノンという隠れ家を手に入れた。

小さな正方形のプチ・トリアノン離宮にはあまり手を入れずに、庭の改修に力を注いだ。王権を誇示する広大で人工的なベルサイユ宮殿の庭とは異なるより自然な庭造りを目指した。

プチ・トリアノン離宮の右手にイギリス式風景庭園を作り、劇場を作り、1793年からは子供達と田舎の農園生活を味わうために自分たちが住む田園の村(アモー)が欲しくなりこれを作った。

そのモデルとなったのは、画家ユベール・ロベールのデッサンだった。



ユベール・ロベール(Hubert ROBERT l733-1808)は、フランスの風景画家であり“廃墟のロベール”とも呼ばれた。イタリアの古代遺跡・庭園・噴水などを描き、この絵の中に人物を描きこむ独自の手法を創った。
彼の絵画のユニークさは、建築物を縮小させる遠近法、計算された空間構成、巧みな色彩にあり、この特色はディズニーランドを表現する時にも同じように言われるはずだ。

人工的なアミューズメントパーク、ディズニーランドとマリー・アントワネットのプチ・トリノアン庭園が似ていると思うのは、基本コンセプトを創った画家ユベール・ロベールにあるのかもわからない。

(写真)田園風庭園の農家

(リンク)田園風庭園の風景写真

実際に作られた田園風庭園を見ると、コピーに近くデッサンが再現されている。プチ・トリアノン庭園は、建築家リシャール・ミックが建設しているが、画家・デザイナーが建築家のポジションを超えた瞬間でもあった。


プチ・トリノ暗離宮には図書室があるという。しかし、マリー・アントワネットは生涯数冊の本しか読まなかったといわれている。
王権を顕示する『フランス幾何学庭園』から離れるには、コンセプトを明確にして建築家。庭師などに指示をしなければならない。“自然に近い庭造り”といわれてもその当時はピンと来なかったのではなかろうかと思う。

本を読まなかったアントワネットに影響を与えたのは、『イギリス風景庭園』であり、概念としてはルソー(Jean-Jacques Rousseau, 1712-1778)だといわれている。
この二つに関しては、別途取り上げてみたいが、最初に造ったイギリス式庭園がアントワネットのイメージと違っていたのだろう。自然を取り込んだが、風景としてみる自然でありそこには人がいない。主人公のアントワネットと大事な子供が登場しない。ということに気づいたのかもわからない。

田園風庭園、アモーの建設は、アントワネットの『演劇での自然と演劇での生活』という庭園を作り出したオリジナルであり、画家ユベール・ロベールとの共作なのかもわからないが、その血を引き継いだ名園はやはり『ディズニーランド』だと思う。

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