1ヶ月以上前・・名古屋市立大学薬学部の薬用植物園市民公開講座へ行った。
この薬草園には、一般人は、年に2回だけの事前申し込みが必要なこの日しか入れない。
最初に講堂で、牧野利明教授から、観察会の概要や、薬草植物園内の見頃な薬草の説明等を受けた。
話のテンポが良く、聞き流しがちになるものの、内容が深く、必死にメモを取った。
植物園内はグループ分けされ、ボランティアの大学院生から、各植物について説明を受けながら回った。
スライドではなく、実際に植物を見たり触れたりしながら聞けるのは、実に分かりやすかった。
スイカみたいだったけど・・「コロシ・・」なんて名前の、絶対に食べてはイケナイとか・・
「クソ・・」なんて名前で、見栄えもしない草に、マラリア治療の効果があるとか・・
身近な普通に綺麗な花や・・
公園の花壇で見かけていた種に、アメリカ先住民がカゼ薬として使っていた・・なんて説明に嬉しくなったりした。
トチュウ・・・葉を千切ると、切り口にゴムの成分が伸びて見えた。
薬用部位は「樹皮」で、生薬名は「杜仲」、用途は「補腎薬として漢方薬に配合」。
薬用部位ではない葉が、杜仲茶の原料になっているとのこと。
ちなみに、生薬は小さくて高価。その上、本物を正しく知られていないため、偽物や粗悪品が非常に多い。
薬は一般に売ってはイケナイ。
普通に売られている健康食品には薬の効能はない。→効能は怪しい物が大半。
植物+情報が必要。
古くからあるものは、長く臨床効果が認められてきたものともいえる。新しいものが良いとは限らない。
等々・・・
これも近隣で普通に見たものだったけど・・覚せい剤の成分エフェドリンがあるとか・・
気管支拡張剤の塩酸メチルエフェドリンは、安価で、いろんな風邪薬に入っているドーピング成分。
その昔、市販の風邪薬の中でも〇〇が、一番値段が安くて含有量が多いと、自慢げに話していた知人を思い出した・・
トウガラシ・・花(白色)は下を向いて咲き、実(赤色)は上を向くとか・・
有名な歌手のケツメイシは、薬科大学に在籍中にグループ名を、このエビスグサの用部「種子」の呼び名からとってつけた・・・
との、説明を聞いていた横に、ユズが植えられていて、観察者にウケた。
でも、音楽グループ「ゆず」の名前の由来は、誰も知らなかった・・
葉を齧ってみて‥実に強い甘さに、芸能人の食レポのようなリアクションが自然に出た。
葉の香りは強く、指に残ることと、葉の香りは裏側に強いことから、葉の表側を親指側に、裏側を他の指でつまめば、片手で4枚の葉の香りを嗅げると教わり・・違いを楽しんだりもした。
薬草といっても、見たこともないような植物は少なく、あっこれは・・と、自分でも名前が出てくるような身近な植物に様々な効能があることが驚きだった。
植物の多様性はスゴイと思った。
欧米で猛威を振るう侵略性外来種で、学名にも日本産とつく、イタドリもあった。
ちなみに外来種ネタでは、この数週間後に・・
名古屋大学博物館 西田佐知子先生のWEB講演「一緒にいない生物の謎-外来植物の変遷と繁殖干渉-」を受講した。
こちらも素晴らしい講演だった。
繁殖干渉で、似たような外来種に入れ替わっていくことが、様々な生物に生じていることや、
そもそも外来種は「全部悪者」というのは無理があることや、
気が付いていないものや、既に環境要因として成り立っているもの等、無害な物の方が多いことや、
実際に悪影響を及ぼしている外来種は数%しかなく、それも環境等、様々な要因に左右されること等々・・
「広大なコスモス畑や、麦畑を駆逐しろとは言わないが、セイタカアワダチソウは駆逐対象。入る場所・結果によって悪者扱いに変わる。」
外来種は何でも悪者の前に、まずは自分の周りの自然をよく見て、写真や記録をとり、その変化を知った上で、どの外来種を駆除するのかを考え、更に駆除した場所としない場所との違いも見ていくべき。
西田先生の話も実に分かりやすかった。
講演の中で紹介されていた、フレッド・ピアス氏の「外来種は本当に悪者か?」も読んでみた。
笑えるようなわかりやすい事例が羅列されていて、実に面白かった。
中でも「長い時間軸で考えれば外来種なんかいない」にはその通りだと思った。
まぁ、そもそも、人が増えすぎていることが、環境破壊の最大要因なので・・・人の多くが行うことには、たいてい負の側面が大きくなるよなぁ・・・と感じたのでした。。
以上、長くなりましたが、本日もご覧いただき、ありがとうございました。