とうちゃんは、かなり昔から、
靴下を脱いだり履いたりするとき、
座ってはならない。という試練を
自らに課しています。
そんな事より、仕事に行くとか
朝早く起きるとかを課せば?
という声もありましょうが、
耳が遠くなってきたので聞こえません。
で、当然の事、身体をかがめ、片足
立ちでえんやこらえんやこら靴下と
闘うわけですが、この時、よろけて
壁に身体を触れさせるとそこから
病原菌が体内に侵入し、
身体が腐ってしまいます。
ホントはたぶん腐りませんけど、そう
いう覚悟を持って挑んでいます。
仕事に行く覚悟とかは、持てません。
拳法の修行で、庭に植えた小さな木を
毎日跳び越すの知ってますか?
木の成長に合わせて自分の跳躍力が
鍛えられ続け、大人になった頃には、
電信柱を跳び越せるくらいになってる
という修行法を、映画で観たんだったか、
夢で見たんだったか忘れましたけど、
そういうふうなイメージで、毎日
やり続けてたらそのうち空中で靴下が
履けるようになるんじゃなかろうか、
くらいなこと妄想してたんですけど、
どーも最近よたよたする頻度が
上がって来てるんですよ。
一日二回は風呂に入り、その度
靴下履きかえてるんで、修業が
足りないとは考えにくい……。
これが「老い」というものなのか。
老後の不安を紛らわすように片足で
ぴょんぴょんしていると、
「んー、よいじゃねえなあ」
と思わず田舎の言葉が口をつきますが、
それが、死んだ父親の言い方そっくり
なんですよ。
自分の歳の頃の父親がどんなだったか
なぁ、って考えると今の自分の不甲斐
なさに愕然とします。
俺、一生バカっ小僧のままなんかなー。
と、そっちも心配しなくちゃなりません。