みんみは、かき氷が好きなんですよ。
だけどとうちゃんは、この夏、
製氷皿って言うのか、丸い氷を作る
器をなくしちゃったんですね。
100均で買えると思ってたけど
売ってない……。
で、ひらめいたんですよ。
たしかスーパーで、果物を小さく
切ったやつの缶詰が100円で売って
たなぁ、って。
確かめに行くと、缶切り使わずに
パッカンて開けられるやつで、
開けた後に使えるビニルの
蓋まで付いてたんですよ。
こりゃぴったりだ!ってんで、
中身食べて氷の器にしました。
で、突然話しは変わるんですけど、
昨日、みんみは、学校でふたりの友達の、
それぞれの父親についての自慢話し
合戦にまきこまれたらしいんですね。
友達自体お嬢様風で、当然の事、
お父様もそれはそれは立派な方々だ
そうです。
会った事もないお二方のハイスペック
ぶりをとうちゃんに報告してる時の
みんみはもうアレですよ、あの、
国際ロマンス詐欺に絶賛騙され中
の人。
で、「みんみちゃんのお父さんは?」って
聞かれて困った。と。
そこで、とうちゃんの「優秀さ」を説明する
為にみんみが絞り出したのが最初に書いた
かき氷の入れ物の話ですよ。
同じ100円で中身も入った入れ物を手に
入れられたお得なところとかを強調して
話してくれたんでしょう、しかし、
だめーな感じがしますよね。
なにしろ相手は、
高学歴で高収入のジェントルマン。
こちらは、ちょっとトンチの利くハゲおやじ。
で、缶詰の淵のところって、手が切れ
そうな折り返しみたいになってるトコが
あるじゃないですか。
実は、アレが引っかかるんで、中の氷を
取り出す為には、周りをそーと―
溶かして小さくしなきゃならない。
そんなことまで丁寧に説明したらしく、
駄目オヤジ感倍増です。
次は、「やさしさ」自慢合戦になった
そうで、
みんみはまだ2歳くらいの頃、
ガチャガチャから出て来たウサギの
キーホルダーを失くしたけど、
とうちゃんがみんみを抱っこして
夜道を一時間も歩いて探してくれたと
いう感動のエピソードを披露したら、
「え、もひとつ買えばよくね?」
「ガチャガチャは全国どこにでもあるし」
……って。
まあ そりゃそーかもね。
偏差値の低い高校の、出来の悪い高校生
どうしの会話でバカにされちゃう
とうちゃんであった。