勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「Wherever I Lay My Hat」 ポール・ヤング

2012-05-04 02:52:46 | 音楽
80年代に、あのジョージ・マイケルのワム!やカルチャー・クラブなんかとともに、ソウルベースのアーチストの代表選手として活躍したポール・ヤングのベスト盤。
当時はアイドル的な人気で、何曲かヒット曲も放ったりしていた。ちなみに、あの歴史的なチャリティのバンド・エイドにおいて、トップでボーカルをとっていたのは彼である。
つまりは、当時は、イギリスのアーチストの中では、その歌の上手さという点では、それなりに評価されていたわけである。
ただ、人気が出た段階ですでに30オーバーの年齢と、趣味はいいがセンスの悪いその音楽性で、けっこう、その人気は短期間で終わったようだ。

この人の魅力は、やはりそのボーカルの上手さにあると思うのだが、ただ、上手いといっても所詮は白人のそれで、黒人のそれにかなうわけが無い。
その上、この人の場合、その音楽性が、非常に趣味はいいと思うのだが、なんせセンスが無い。たとえば、彼のファースト・アルバムには、「Love Will Tear Us Apart」という、ジョイ・ディビジョンという、一部にはカリスマ的な支持を受けているが、一般的にはあまり知名度の無いバンドの曲のカバーが収録されていたりする。
こういう曲を選曲するというその趣味のよさは認めざる得ないのだが、それをカバーするにあたっての解釈があんまりであるために、せっかくの名曲がダメになってしまっている。そういう音楽的なセンスの無さが、この人にはある。
そういえば、彼の最大のヒット曲である「Every Time You Go Away」も、もともとはホール&オーツの曲のカバーで、彼のカバーによる大ヒットがあったから本家本元のホール&オーツのほうも世に知られるようになったが、もともとは、それほど知名度のあった曲ではない。
しかし、もともとのホール&オーツが、非常に黒人音楽っぽいアレンジで演奏していたこの曲を、ああいう甘ったるい感じのアレンジに変えてしまうのは、やはり、原曲に対する敬意の欠如というか、センスの無さを感じてしまう。
(しかしながら、そういう甘ったるさが彼のボーカルスタイルと合致していたし、それゆえに、ヒットもしたではあると思うが、、)