Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

峠を越えると秋

2017-08-24 | 自転車

 

今日も35℃。

夏に置き去りにされたしまった、なんて感傷的なことを言っていると、

もりもり眩い空の高みにまで夏将軍の高気圧が盛り返してきた。

夏の忘れ物が…まだあった。

湧き上がる雲の頂きを目指す、峠越えの夏だ。

頭が沸騰するような吹き出る汗と容赦ない陽射しに晒される夏の峠越え。

引き攣る筋肉の痙攣に肺腑が焼け付くような有酸素運動の限界へ。

720mの三坂峠と久万高原を周回して面河川沿いから岩屋寺を経由して畑野川へ、

さらに皿ヶ嶺の山越え(上林峠は800mくらいか)を経て帰路へ。

自転車乗りの夏は、これをやらないと終わらない(笑)

 

ペットボトルを2本冷凍庫で凍らせ10:30出発。

(相変わらず出発が遅い)

背負うザックの荷物は15kgくらい…

これくらいだと楽だ。山泊の20kgを超えると、夏の峠越えは負荷がキツくなる。

三坂峠は傾斜が緩やかなので、奥久谷からのショートカットルートを取る。

近郊の登坂路では屈指の急傾斜の道。

砥部からの、だらだら長い坂道を上るよりも時間を短縮できる。

大平のトンネル道路分岐の上に出るので、車がほとんど通らないという利点がある。

720mの峠を越えて、風を切って久万盆地へ急降下。

標高400mの久万盆地は、秋の気配を纏い始めている。

コンビニで炭水化物を補給して消費した分、カロリー供給。

まだ岩屋寺からの坂道と皿ヶ嶺の山越えも控えている。

久万川沿いから御三戸で面河川へ分岐して正午過ぎの炎天下を走り続ける。

赤い吊り橋の水浴場へ降りて、

しばし水浴びをして火照った身体を冷ます。

しばらく雨が降らないので川苔がつき水の透明度は落ちている。

それでも中流域のこの辺りで、このくらい透き通っている。

ハヤやウグイやアユ、アメウオが銀鱗を翻して泳ぐ様子が見える。

気になるのは河原の草叢にゴミを放置する阿呆が相変わらずいることだ。

この人たちは車で来ているはずなのに、自分たちが持ち込んだゴミを持ち帰ろうとしない。

私には、この感覚が、どうしても理解できない?

消費するだけ電気を消費して、そのゴミを放置する原発を許容している

日本の現状を、そのまんま反映していると云われれば、

その通りではあるが…これが日本人の民度なのだろうか?

トランプ米大統領やメディア上に溢れる差別主義的言動に反応が鈍い排他的で不寛容な国民性も、

欧米の根強い人権意識との落差が際立ってきた。

やっぱり自力で民主主義を獲得した国と、そうでない国との違いなのだろうか?

「日本人に生まれて良かった」なんて内向きな言動も目立ち始める。

とても危険な兆候だ。

私は美しい日本の風土は好きだが、今の日本人の内向きのメンタリティは気持ち悪い。

普通に暮らす人々が国家や民族にアイデンティティを求めると云うことは、

何も希望を見い出せない、何も周囲に頼るものがないという共同体やセーフティネットが、なし崩しにされてゆく危機的状態なのだろう。

また話が脱線した。

 

川で水浴びを終えて、岩屋寺方面へ進路を取ったのは15時半を過ぎていた。

皿ヶ嶺の山越えは暗くなるかもしれないと危惧した。

やっぱり畑野川の美しい失われゆく日本の里山風景に足が止まってしまった。

ここで黄昏の光の陰影に映える田園風景を撮り続けた。

その分、山越えは涼しい時間帯となった。

上林トンネル手前で茜色に空が染まり始めた。

トンネルを抜けると、赤々と空が燃え上がっていた。

山道の九十九折は、予想通り暗闇の中の急降下。

帰宅したのは20時半過ぎ。

下肢の筋肉が、マリオネットのように足が地につかない状態…

お尻の内股も炎症を起こしている。

でも限界まで身体を使った、心地よい疲労感が気持ちいい。

これで私の夏は終わった。

 


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2 コメント

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まだまだ続きそうな残暑 (ランスケ)
2017-08-25 09:39:23
今日も35℃まで気温が上がるそうです。
8月下旬になっても連日の猛暑日というのは、比較的気候が穏やかな瀬戸内海沿岸では、
ちょっと記憶にない暑さです。

昨夜のニュースは香港を襲う記録的大型台風の様子を放送していました。
これも東シナ海の海水温の上昇が原因とか。
サンマやスルメイカの水揚げも海水温の上昇で激減していると。

これらは、すべて繋がっていると考えた方が良さそうです。

水野和夫の「閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済」の読後感の印象が、ずっと尾を引いています。
前作の「資本主義の終焉と歴史の危機」も衝撃的でしたが、今、最も信頼できるエコノミストの一人です。
それに関連して定常化経済の実践例を何冊か読んでいます。
あるものでやってゆくという地産地消の試みは、日本各地で確実に広がっていますね。
今治市の加計学園誘致や東京オリンピックなどの筋肉増強剤を疲弊した身体に打つような
ドーピング経済は、もう完全に時代遅れの試みなのでしょうね。

終わらない夏に、ここのところ色んな試みを続けています(笑)
暑いからと、家に閉じこもっていると、余計に身体がダルくなって夏バテを助長するだけです。
サプリメントなどのドーピングではなく(笑)筋肉を酷使することで汗をかいて代謝効果を高めることにしました。
人間の身体は、いくつになっても使わないと、それに慣れて衰えるだけです。
偶にはエアコンを消して野生に還りましょう(笑)

鬼城さんの御指摘通り、特別の場所でなく日常の見慣れた風景の中に美の瞬間を見い出しています。
もう散々、山岳地帯や湖沼の神秘的な風景を追いかけて来ましたからね。
年齢を重ねるごとに、見過ごしてきたありふれた風景の美しさを再認識するようになりました。
これを発見する悦びは、結構してやったりの気分です(笑)

まとまった雨が降ると初秋の山へ入ろうと思っています。
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凄さ! (鬼城)
2017-08-25 07:24:00
普通の景色の切り取りが、こんな風にインパクトを与える作品になるとは・・・
いつものことながら、一言で「感性」です。
いつも言われる光線、そして影が素晴らしい。
田園、特にお地蔵さんの姿が神々しい。
幽玄なトンネル、どれを取っても「ランスケワールド」です。
さて、現在の日本の異常、捨てられたゴミから脱線されていますが、全くその通りです。
宇和島は選挙戦ですが、そのことに触れる人は居ない。
訴え続けるしかないか?
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