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秋の企画展として県立美術館でRobert Capa 写真展が開催されている。
なぜ?今、キャパなのかとまどった。
採算重視に傾いた地方ミュージアムの貧しい企画力の結果だとしたら哀しい。
戦争の世紀を駆け抜けた、時代のイコンのようなロバート・キャパという存在。
もう一度、その作品群を観賞するために足を運ぶには、自分自身の内なる動機が必要だった。
少し前に出版され話題になった沢木耕太郎の「キャパの十字架」は、どうだろう?
キャパの代表作、「崩れ落ちる兵士」にまつわる疑惑に迫る
沢木耕太郎の検証の過程は、とてもスリリングだった。
もう一本、以前NHKで放送されたドキュメンタリーも観た。
さぁ、これで動機も充分。
「崩れ落ちる兵士」の実物を間近で穴の開くほど検証するだけでも価値がある。
それは入館して間もなく巡りあう。
当の兵士を写したもう一枚のプリントと並べて展示されていた。
そして写真が掲載されたLife誌も。
もう一枚の代表作、ノルマンディ上陸の際、撮られた「ちょっとピンボケ」のあの作品も。
キャパ最後の一枚。
地雷を踏む前に撮られた行軍する兵士を見つめるファインダー越しの視線が刺さる。
展示作品は、ポートレートとしての同時代人の肖像を観賞するのも楽しい。
パパ・ヘミングウェイにパブロ・ピカソそしてマチス。
イングリット・バークマンにジョン・ヒューストンにボガード。
アンリ・カルティエ・ブレッソンやユージン・スミスの代表作も観られる。
予想以上に充実した時間だった。
日本映画最後の映画スター、高倉健(83歳)が亡くなりました。
ちょうど先週、この人の「夜叉」を観たところでした。
https://www.youtube.com/watch?v=agSGos6fkZc
この人が登場すると、場の空気が変わると云われていました。
数々の伝説的エピソードが語り伝えられています。
訃報のニュースの中から、健さん伝説をまとめたサイトを発見。
こんな人は今の日本からは、もう出てこないでしょうね。
http://matome.naver.jp/odai/2134216647419906401
キャパ生誕100周年ということで富士美術館収蔵の作品は全国を巡回したようですね。
私自身は以前にマグナムフォトの写真展でキャパの作品と直に触れた記憶があります。
ずいぶん昔の話ですが(笑)
報道写真の精鋭写真家集団の作品は、見応えのあるものでした。
生と死が綱渡りのような微妙なバランスで交差する紛争地を駆け巡る
写真家たちが切り取る一瞬の眼差しは、やはり写真という表現手段の到達点だと思います。
ユージン・スミスもマグナムフォトに所属する報道写真家でした。
彼の名前は、私たち日本人には「水俣」のリアルな真実を世界に知らしめた写真家として記憶に刻まれています。
「楽園への歩み」は、そういった世界の苛酷な現実を間近に見てきた彼だから
撮りえた写真だと思います。
巷に溢れるフワフワ砂糖菓子のような癒し系写真とは違います。
(まぁ、猫や子供たちの愛らしい仕草の和み感を否定はしませんが(笑))
現在はスマホやYou・tubeという手軽なメディアの発達で、事件は世界を駆け巡ります。
でも「世界を記述する」という作業は留保つきで、まだ私たちの手でも可能だと信じています。
何時か、それが成就できればと(笑)
風車に立ち向かうドン・キホーテのような気分で。
富士美術館は、仰る通り巨大宗教法人という資財の賜物です。
そして 勉強させて貰ってます。
難しい話題・言葉が多いですので。
今回のキャパ展,当地でも開催されていました。
でも,実際に自分の眼で観てみようとの思いを
“疑惑”が抑え込みました。
『楽園への歩み』が掛かっているのであれば
それだけでも行ってみる価値があったようですね。
「キャパ展」と同じく「印象派展」も全国各地で
開催されているようです。
元は「富士某」だったとおもいます。
それとの繋がりで“光~”は出てきたのだろうと
単純に考えていました。
またお邪魔します。
nobu*
財源の乏しい宇和島市の予算の中で、数々の独自企画展を成功させてきた
伊達博物館名物館長さんからの現場の生の声ですね(笑)
愛媛県立美術館の近頃開催された企画展の内容を振り返ると、
エヴァンゲリオンの庵野秀明、スタジオジブリに手塚治虫です。
安定した集客が見込まれるアニメに逃げる安易さが目立っています。
ロバート・キャパも生誕100周年企画という触れ込みですが?
ビッグネームに寄り掛かっているように思えます。
地域の知的共有財産であるミュージアムは、もっと知恵を絞ってほしい。と願っています。
社会的インフラ全てを市場原理に晒そうとする拝金主義の猛威は怖いですね。
先頃亡くなった経済学者、宇沢弘文氏の社会的共通資本が再び脚光を浴びています。
http://www.af-info.or.jp/en/blueplanet/doc/slide/2009slide-uzawa.pdf
光の風景とは、19世紀のタゲレオタイプに始まる写真黎明期の作品展示のようです。
この写真展で一番心に残ったのが、ユージン・スミスの名作、「楽園への歩み」でした。
http://imaonline.jp/ud/exhibition/4f7391331e2ffa6789000001
いつまでも、その場に佇んでいたい祝福の光だと思います。
さて、なぜ今なのか?美術館運営委員会がどうなっているか分かりませんが、時代の流れ、話題性がひとつ。あとは採算がとれるかどうか?
博物館(美術館、動物園、水族館などを含める)は独立採算のところが多くなっています。とくに公的機関は丸投げ(指定管理者制度)・・・だから営業的発想も加味されます。下世話な言葉ですが「入ってなんぼ!」なんですよ。
しかし、良い物は良い・・・