皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
着物のしみ抜きを長年行っていると、他店でしみ抜きをした物や
他店にてしみが抜けなっかった物を目にします。
実際に他店の職人さんの作業風景や使用薬剤を感じる事があります。
今回は呉服屋さんからの依頼です。
長時間掛け、
地方へ行ってしみ抜き集めてきていただきました。
なかなか地方には、いい職人が居ないのでお客さんは困っている事を何時もお聞きします。
作家物の生地がしっかりした白地縮緬の訪問着でした。
掛衿と袖に大きな黄変のしみがあり、またあちこちに古い黄変のしみがありました。
最初に袖口のしみ抜きから初めました。
白地訪問着袖に大きな黄変しみ Before
袖にも大きな黄変のしみがあります。
このしみ抜きの水処理を行っている段階でプーンと溶剤臭がしました。
この溶剤(シンナーに近い臭いがしました)は、かなり年配の職人さんが良く使用しています。
年配の職人は、今だにしみ抜き機を使用していない為に薬品の残留による経時変化の
事故を起こしやすいです。
この袖のしみも、前回行った職人さんが使用した薬剤の残留の為に発生した黄変しみ抜きです。
この職人さんはしみを落としている作業をしていますが実は新たなしみをつけている事実に
早く気づいて欲しいです。
ご家庭で行うしみ抜きでこの様な経時変化を防ぐ為にしみ抜きで使用した薬品の残留を防ぎ
薬品の濯ぎ出しの為に洗濯機で洗う事を進めるのは、この為です。
しかし正絹の着物を洗濯機に入れガラガラじゃぶじゃぶ洗うと
業務用洗濯機にて洗った為の全体的にスレが発生 修復不能
このように見るも無残な事になりますので、
当店では着物のしみ抜きは専用のしみ抜き機を使用して良質の薬剤を使用して中和と濯ぎ出しを確実に行っています。
黄変しみ抜きを行うと袖が全体的に縮んでいました。
白地訪問着袖口近くに大きな黄変しみ抜き後色掛け前
全体的に袖が縮んでいるので蒸気アイロンで修正しました。
白地訪問着袖口近くと袖底に黄変しみ抜き後色掛け修正後 after
しみ抜きで溶剤を濯ぎ出した為に蒸気アイロンを掛けるときも
溶剤臭がしませんでした、色掛けも綺麗に修正出来ました。
次に衿のしみ抜きです。
白地訪問着掛衿黄変しみ Before
前回しみ抜きを行った職人さんが使用した薬品の残留により大きな楕円型な黄変になっています。
しみ抜きに使用する薬剤を中和させ十分に濯ぐ事によりこの様な経時変化の黄変のしみは発生しません。
このしみ抜き屋さん濯ぎ出しに必要なしみ抜き機を使用していないとおもいます。
また、縮みやすい縮緬に対し十分に伸ばす為の蒸気アイロンを持っていない為に
一番目立ちやすい衿元の縮の修正を行っていません。
白地訪問着掛衿黄変しみ抜き色掛け後 after
しみが古い黄変の為に黄変しみ抜き(漂白)を行い、蒸気アイロンで縮直しを行い色掛け修正を行いました。
9月2日の記事(夏着物衿洗い しみ抜き お手入れ)→http://blog.goo.ne.jp/toyo32892/d/20150902
でお知らせいたしましたが、当店はきちんとしたしみ抜き機及び仕上げ用の蒸気アイロンを使用していますので
どうぞご安心下さい。
最後に袖底の部分に黄変のしみが有ります。
袖底に黄変しみ有ります Before
袖に黄変しみがありますが何か白いものを塗っている様に見えます。
しみ抜き剤を塗って見ると胡粉(白顔料)が乗っかていました。
胡粉(白顔料)
読者の皆様の解らない専門用語で申し訳ございません。
胡粉(白顔料)とは和服のしみ抜きと紋屋の業界では広く使用している顔料絵の具の事です。
しみの上に胡粉(白顔料)を塗り隠蔽していました Before
胡粉(白顔料)は私自身も沢山使用していますが、この職人さんと使用目的が大きく異なります。
私自身は、しみ抜きをする為に油性の溶剤処理、水処理、漂白処理にてしみ抜きを行います。
このような処理の中、地色が薄くなる事や脱色が起きる事があります。
そんな時は、色掛け(染色補正)を行い地色を復元します。まれにどうしても抜けない場合にのみ
やもう得ずに、胡粉(白顔料)を使用します。
紋屋さんも、紋の入れ替えの為に上絵に使用する墨や染料によりどうしても抜けない物を隠蔽する為にも
胡粉(白顔料)を使用します。これもあくまでもやもう得ない場合にかぎられます。
しかしこの職人はしみ抜き工程で抜けるしみをしみ抜きもせずに自分が楽をする為に胡粉(白顔料)を使用しています。
確かにしみ抜き工程の時間と手間に比べれば、胡粉(白顔料)を使用して隠蔽すれば数十倍速く処理が出来ますし
工賃も低額(ワンコイン等)。で出来ます。
しかし胡粉(白顔料)を使用する事には限度があります、生地のつやは違いますし、厚塗りをするとすぐにバレてしまいます。
現在NHKの朝ドラの「まれ」は輪島市が舞台です。
輪島塗りの塗師屋が舞台です。塗師職人が「漆は上から綺麗に塗ってしまえば中はわからん騙そうと思えば騙せる。
それだから騙してはいけない、これが輪島塗りだ」と語っていました。
塗師屋のプライドですね。見えない所にこそ誠を尽くす事が輪島塗りが500年近く続く理由だと感じます。
それに引き換えこの職人の浅はかさは、本当に情けなく感じます。
着物が衰退していく理由の一旦があります。
胡粉(白顔料)除去後元あった黄変が現れました Before
本来の黄変しみ出現しました。
しみ抜き漂白作業後
黄変しみが薄くなりました、しみの回りに地色も一緒に抜けました。
しみ抜き色掛け修正後 after
脱色した部分に色掛けをして修正して完成です。
しみ抜きと色掛けにて修正を行えば、生地のつやが変わることもありません。
手間と工賃は掛かりますが、きちんと処理すれば、長期間着れます。
これが、私が行っているしみ抜きです。
着物の古い黄変しみ抜きとお手入れは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
〒062-0902
札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号
電話011-811-6926 FAX011-811-7126
メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp
ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp
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