皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
今から10年以上も前の話ですが、
朝一番に取引先の呉服店から電話が有りました。
前日呉服店の社長は晩酌中に取引先の顧客から電話があり、仕立て上がった喪服の紋が
はげたとクレームの電話が入ったそうです。顧客の方は、普段からこの呉服店の社長を
人前で罵倒する事も多いとお聞きしていました。社長は、自分は現在晩酌中なので酔っている事と
電話なので要領を得ない事を罵倒されながら顧客に伝え電話を切り、翌朝一番で顧客の所に出向き、
喪服を当店に持って来てくれました。この喪服の紋入れと湯のしの加工は当店で行いました。
その後に顧客の方の取引先の仕立て屋さんに依頼されたそうです。
この仕立て屋さんは一流百貨店のお仕立てをされているそうです。
顧客さんの言い分は自分の仕立て屋は百貨店の仕事をしている方なので間違いはないと
主張していたそうです。
当店は紋入れは、信頼のおける紋屋に外注していますしもし何か問題がある時は必ず電話がきます。
頭の中は?????こんな感じでした。
喪服の背紋 (古い話なので画像はありませんイメージ画です。)
実物を見ると背中の紋が確かに剥げかかっていました。
喪服石持紋入れ(表地)
喪服の石持 紋入れ(裏地)
喪服の紋は石持(こくもち)と言って白く抜けて部分に上絵(うわえ)を書いていきます。
手書い、印刷、スタンプの3通りの技法がありますが、どれも裏は白いままです。
上絵は染料や墨やインクを使用しますが、入れ替えの場合元に入っている染料やインクが抜けない場合にのみ
胡粉と言う顔料を使用します。この場合は経時劣化で剥がれる可能性が有りますが、
今回は新反に紋入れをしている為にそれは考えられませんでした。
喪服の背紋と胸紋
喪服仕立て上がり背紋と胸紋 掛け衿にある白い丸いは衿肩空きの中の隠れた背紋の位置
禿げた背紋の背縫いを解き裏を見ると真っ黒でした。
これを見て全てが分かりました。
長襦袢の衿肩空き 衿肩空きと紋の関係のわかりやすい画像
柄で分かりづらいですが筆のお尻の先が背紋の位置
この百貨店の仕事をしている仕立て屋が衿肩空きを断ち損なった為に
衿肩空きの中に紋を入れ隠蔽し背紋を紋屋に頼み胡粉にて書いた為に
その紋が摩擦で禿げた事で自らが断ち損なった事の悪事が暴露 しました。
呉服屋の社長に仕立て屋の断ち損なった事を説明しました。
呉服屋の社長は顧客に説明して、顧客が仕立て屋に連絡した所
「すいませんでした」の一言だったそうです。
呉服屋の社長と当店は濡れ衣を着せられ嫌な思いをしました。
この仕立て屋も断ち損なった時点で顧客に素直に謝罪した後に
この措置を顧客に許可をもらい行えば何ら問題は無かったと思います。
昔から紋屋の抜き損ないと仕立て屋の断ち損ないは弁償すると相場は決まっています。
家内も仕立て屋なので、仕立て屋の苦労は分かっているつもりです。
仕立て屋さんが納期が迫り当店に駆け込ん来る事もこの三十数年に何十回もありました。
同じ着物で食べている職業として味方をしてあげたいですが、これはいけません。
人は誰でも失敗はします、それが過失であれば許してあげれても、故意は許せません。
昔から「悪い事をしたらお天道様が見ているよ」と言われ育ったのでまさにそうだと思いました。
まさに「天網恢恢疎にして漏らさず」だな~と思います。
その後この仕立て屋さんの話は聞くことはありません。
まったく人騒がせな話でした。
着物のお手入れは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
〒062-0902
札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号
電話011-811-6926 FAX011-811-7126
メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp
ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp
営業時間 平日(月曜~土曜) 午前8時~午後6時
休日 日曜 祝日
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