皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
今日は着物の収縮についてお話したいと思います。
「タンスに収納していた着物を出して見ると着物の八掛がたるんで裾から少し見えています。
表地が縮んでいるように思いますが、原因は何でしょうか?」
八掛のたるみ 表地の収縮
「タンスに収納していた着物を出して見ると着物の表地がたるんで八掛が
縮み袋になっていますが、原因は何でしょうか?」
八掛の収縮 袋状態
こちらは八掛が収縮して袋の状態です。
このように保管時の着物の収縮に付いてのお問い合わせ。
又あるとき、白生地を色無地に染めと仕立ての依頼を受けました。
京染をした後、家内が仕立て中に焼コテを当てると表地が収縮した為に
伸ばして欲しいと、アイロンを掛けるともっと収縮した事が有りました。
縫っていない部分に蒸気アイロンで蒸気を当てたところスルメを焼いた時の様に
表地は縮んでしまいました。ちなみに表地は縮緬の収縮し易い生地でした。
この縞の紬の八掛もパレス縮緬です。
この保管中にこの様な状況が表地や八掛の収縮の原因は
染上がり後の整理工程(湯のし)でのテンションのかけ過ぎ(引っ張りすぎ)です。
生地の収縮に絡んだ故障の多くは、他の素材生地との収縮率の差が原因で、
形態などが変形しトラブルになります。仕立てられた着物では仕立て後の保管後に
発生する事が多く、表地と裏地(八掛)の収縮差から、結果として裏地にたるみが生じる
現象が見られます。これは、実験の結果から表地のたて方向の収縮にからむものが
多いと考えられます。この様な現象は和装に限ったものでは無く、洋服などでも発生するもので、
素材収縮に関するトータルバランスの問題です。染色後の整理(湯のしなど)による伸縮率は、
生地の種類や工場により異なります(工場のデーター最高伸帳率14%最高収縮率12%、
最低伸帳率2%最低収縮率3%で平均伸帳率9%収縮率8%)が、実験では、
変わり無地で約9%(たて方向)の収縮率(沸騰水30分処理布について
19社で整理(湯のし)した物の平均)を示し、収縮率試験
(非イオン活性剤0.05%溶液、25℃、30分浸漬)では約8%(たて方向)の収縮を起こします。
この数値は大きいように思われるかもしれませんが、実験では浸染(注1)とほぼ同程度の収縮を起こす条件で
前処理したもの試料としており、伸縮率として大きいとは言えないものです。参考までに、精錬後の
整理では8%前後の伸長率で生地が伸ばされています。
データでは伸長時と収縮時の凹凸がほぼ一致する事から、引っ張りによる応力が織物にな依存しており、
それが何らかの原因(例えば水分、湿気など)が加えられた時、その応力を緩和する方向に作用
(緩和収縮と呼ばれている)します。絹織物では綿におけるパーマネントプレス加工や合成繊維の
ヒートセット性などが期待出来ず、織物表面に発生する小じわを除去するために、ある程度生地に
テンション(張力)を掛けるのは避けられません。したがって、それによって収縮が起こるのも
当然といわざるを得ません。しかしそれも程度問題で、特に保管中に数%も縮むようなら
テンションを掛けすぎを問われてもしかた有りません。
その他ガード加工(撥水加工)をしているのに縮んだという事がよく聞きますが、お茶をこぼしたなどの
多量の水に対してはガード加工の撥水性は効果ありますが、蒸気や湿気などの水分に対しては、
縮みを十分防ぐ事が出来ない事も理解しておく必要が有ります。
注1浸染(しんせん・ひたしぞめ)染料の溶液の中に、織物・織り糸などを浸して染め上げる染色法。
「そこが知りたいQ&A和装染織品の故障防止のために」 京都市染織試験場 技術相談室を参照しました
私自身も整理(湯のし)をしている者としてテンションのかけ過ぎには注意しています。
仕立てに携わる方達も縮緬の着物等伸縮性のある着物は一部目立たない所で
焼コテを当てたり、蒸気を当て著しい収縮がある場合は一度蒸気アイロン等で
蒸気を当て緩和収縮してからのお仕立てをお勧めします。
着物のお手入れは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
〒062-0902
札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号
電話011-811-6926 FAX011-811-7126
メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp
ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp
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