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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

災害危険区域に関する条例についてパブリックコメント(宮古市)鍬ヶ崎の場合

2012年08月20日 | どうなる鍬ヶ崎

2012.8.20 都市計画課 御中
書面


鍬ヶ崎の場合

鍬ヶ崎地区は条例の災害危険区域からはじかれている。条例施行によって高台移転の可能性が完全に無くなる事が懸念されます。つまり鍬ヶ崎は防潮堤によって浸水深はなく建物は自由に建てることが出来る地域になって高台移転の必要性がないという懸念です。ちょっと待っていただきたい。浸水深0(ゼロ)という事と高台移転の必要性という事は全く意味が違うのです。──前者は岩手県土整備部の未だ検証されていないシミュレーション、後者は鍬ヶ崎がこれから長く生きていくための生活基盤になるものです。二者は一緒に出来ないばかりか、以下の理由によって、鍬ヶ崎の場合いささかも関連させてはならないと思います。


公が鍬ヶ崎住民に高台移転の断念を迫る背景


県土整備部のシミュレーション : 浸水深によって建築のいろいろな規制がかかること自体は当然の事ですから反対もしないし自分でもいろいろ考えていますが、上記鍬ヶ崎浸水深ゼロは防潮堤設置の是非、防潮堤の崩壊問題、防潮堤・閉伊川水門・津軽石川水門設置後の津波の流れ、蛸の浜からの津波越流の検証や議論がなにひとつ行われておらず、地区の合意、科学的結論が出ていないのに…早計である。この事が高所移転の断念を迫る原因になりかねない事を心配する。県土整備部のシミュレーションはきっぱり別に議論するべきである。

市役所など指導者の消極性 : 実際はどういうつもりだったのだろうか? 昨年来の鍬ヶ崎地区まちづくり検討会の期間を通じて,コンサルタント、市長、副市長、市会議員、市職員など市政の指導者が鍬ヶ崎の高台移転に消極的であった。まともに議題に取り上げられた事はなく、真剣に討議された記憶もなく、鍬ヶ崎人自身が真綿で首を絞められたようにその問題からいつも遠ざけられて今日に至っている。今回の条例施行によってその傾向が固まるようなことがあってはならない。

移転実務の面倒さ : 移転先の土地の選定、交渉、造成実務、コミュニティづくり、移転元の合意形成、個別相談、防災集団移転促進事業等の運用など、時間不足、専門職員不足の中で面倒な実務が多い事は分かる。しかしその事と初めからこの問題を投げ出す事は違うはずである。移転先の土地一つとって見ても、広大な後背候補地から得られる情報は少なかった。唯一浄土ヶ浜県道沿いの土地も塩漬け状態であったように思う。これでは移転意欲はわいてこない。問題が上の方で投げ出され(放棄され)ているのでないかの不安がある。

アンケートの設問 : 被災者への度重なるアンケートがあった。しかしその設問はどれも高台移転を前提にしたものではなかった、少なくとも高台移転への希望の余地のあるものでもなかった。単に住みたい地区を求めたり何人家族かなどの設問では高台移転の住民の考え方は出てこない。もっとしっかりした高台移転政策があり、高台の団地、住居構想が宮古市にあればアンケートの設問も回答も劇的に変わったものになると思われる。被災住民は本当はそれを望んでいるのではないかと思われる。

真剣に移転を考えている : 住居の現地再建が可能とか言われても事実上非常に困難である。鍬ヶ崎の住民は高台移転にかぎらずに今必死で非危険区域への移転を考え、候補地をさがしていると思います。近くの高台、宮古市内、盛岡など、とにかく津波から遠い場所を安心な住まいとして望んでいるはずです。

土地の値下がり : 区画整理事業によって土地の値段が上がるとか言われてもいるが津波地帯には変わりがなく市場原理からすれば人為的にそのようなことは望めない。鍬ヶ崎に吹く風はそのように依然として逆風でそれに防潮堤によって海への視界が遮られ昔の情緒が消えてしまえばますます住む人も居なくなり外からの移住者もなくなって街が消えてしまうのではないかと心配される。ある意味でそれは仕方がない事でもある。


──高台移転には将来の防災の意味もあり、過去のコミュニティ維持の意味もある。同時に当面する被災者の経済的理由もあるわけです。鍬ヶ崎の再建復興はいろいろな理由で公の防災集団移転促進事業等を活用した高台移転にすがるしかないように思われる。津波によって崩壊した街が最後に消えてしまう前に早急に高台に生活基盤(住居)を移し、被災跡地は基本的に経済(職場)に特化した産業立地地帯として再建、復興するべきである。

以上


(次ページ=解説、につづく)







コメント (1)
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