巨大防潮堤に疑問の声 釜石でシンポジウム
(web 朝日新聞 岩手)
東日本大震災の被災地で進む巨大防潮堤計画について考えるシンポジウムが15日、釜石市であった。岩手県は昨年中に住民合意がほぼ得られたとしているが、参加した住民からは「行政の説明は十分ではない」との声が相次ぎ、住民投票を求める提案も出た。
日本景観学会(会員130人)が開き、地元住民や大学教授ら約80人が参加した。会長の五十嵐敬喜・元法政大教授は「安倍晋三首相は、防潮堤は問題が多いとして、地元の人たちとの協議を通じて見直しをしようと言っている」として、住民に現状を聞いた。
大槌町から参加した阿部敬一さん(46)は「計画は議会で承認されたが、町は説明不足。巨大防潮堤がなぜ必要なのか、住民には伝わっていない」と訴えた。
シンポでは会場からの発言が相次いだ
=釜石市平田の釜石・大槌地域産業センター
大槌町の中心部では防潮堤を14・5メートルにかさ上げし、広範囲に盛り土をする計画だ。
これに対し、山本康友・首都大学東京特任教授は、釜石市や大槌町では2040年には生産年齢人口が半分になる推計があることを指摘。人口減少や港湾など公共施設の老朽化の進行を踏まえて、防潮堤の規模を考えるべきだと話した。
会場には、地元を初め、宮古市や陸前高田市、宮城県気仙沼市からも参加者があり、「地元負担となる維持費を考えなくては」「一部ではもう工事が始まっている。ラストチャンスだ」などの意見が相次いだ。
同学会は「改めて防潮堤のあり方が議論されている。住民投票の実施を含めて、真の民意を再確認するよう各首長に求めたい」とする「釜石・大槌宣言」を採択した。(菅沼栄一郎)
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[ 勉 強 ]
釜石シンポジウムの内容=ユーチューブで紹介
日本景観学会 2014年春季大会 1「防潮堤の費用対効果について」 YouTube
(28分41秒)
YouTube
(31分12秒)
YouTube
(1時間30分53秒)