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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

宮古審議。岩手県議会

2014年10月17日 | 鍬ヶ崎の防潮堤を考える会

2014.10.9 岩手日報
10/8 県議会5常任委員会の主な質疑応答」記事

 【横書き】

鍬ケ崎防潮堤の説明会(宮古)市と調整
県土整備(常任)委員会(郷右近浩委員長)

3日の宮古市議会本会議で可決された鍬ケ崎防潮堤整備計画の十分な説明を求める決議についての対応を高橋但馬氏(民主党)が質問。八重樫弘明河川課総括課長は「決議を重く受け止めている。住民の不安を取り除くため防潮堤の構造や強度などについて丁寧な説明が必要という考えは宮古市も岩手県も一緒だ。今後は宮古市と調整して住民説明会を開催したい」と述べた。

岩手県議会でこのような議論があったという事はとりあえずありがたい事である。これは下記の宮古市議会の決議を受けての議論であった。

 鍬ケ崎防潮堤整備計画の詳細な説明を求める決議


(趣旨)鍬ケ崎防潮整備計画について、岩手県と宮古市は宮古市民に対しての説明が十分であるとは言い切れないことから、詳細な説明を求めるものである。
(理由) 岩手県は、平成25年11月22日に「鍬ケ崎~日立浜町の防潮堤事業説明会」を開催しているところではあるが、防潮堤の構造や強度、事業の進捗状況など、宮古市民に対する詳細な説明が十分とは言い切れない。
 よって、岩手県及び宮古市においては、鍬ケ崎防潮堤整備計画に対する宮古市民の理解を更に深めるとともに市民が抱く不安を取り除くため、詳細な説明を行うよう求めるものである。以上、決議する。(平成26年10月3日 宮古市議会議長 前川昌登

「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の宮古市議会への陳情がこのように波紋を広げた反面、宮古市議会での決議、また、県議会常任委員会での議論にはそれぞれ「考える会」の陳情の内容とは似て非なるものが多いという。「考える会」陳情書→「宮古市議会」決議→「県議会」議論のそれぞれの段階には「あちゃー違うだろう」と思われるボタンの掛け違いがあるようだ。

確かに説明会の目的等で方向性がまるで違っている。「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の当事者達にはよく見えているようだがその詮索はこの段階ではしないという。前を向いて次のステップに移るといっている。



[関連記事] 陳情可決。宮古市議会(10/3)

 

[参考記事] 宮古市議会6月定例会への「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の陳情書

(一号)鍬ヶ崎防潮堤についての陳情書

宮古市議会議長 前川昌登 様

 平成26年6月2日

陳 情

  宮古市議会に「宮古市、岩手県は鍬ヶ崎防潮堤について地区住民に十分な説明を行う事」の決議を陳情いたします。

 (趣 旨)

 

  表題の件について岩手県と宮古市は平成25年11月25日に説明会を行い直立式の図面を示し、船揚場の前出し図面を示して説明したが、地元住民・地元漁師の理解を得られたとはいえなかった。「鍬ヶ崎防潮堤について市と県は十分な説明会を地区住民に対して行うよう」市議会での議論と決議を行っていただきたい。

 (理 由)

 

  海の恵み 鍬ヶ崎地区は先の津波によって壊滅的被害を受けたが、住民は自然の脅威に対して今は恨みや恐れの感情を持ってはいない。それは、全国民からの支援、住民の助け合いに励まされた事にもよるが、鍬ヶ崎住民が何よりも悠久の海の恵(めぐみ)を知っているからである。いつも住民を癒し育んできた沿岸の海の景観、眺望。海からの磯もの資源、沖合漁業資源、海の関連産業、地場産業について熟知しているからである。将来も海と共に生き、海と共になりわいを営もうと思っているからである。──コンクリートの高い塀で地区全体が囲まれる事によって景観や産業など鍬ヶ崎らしさが分断(破壊)されると考える人が多い。

 

避難 海と暮らす鍬ヶ崎の人は津波避難にたけている。異常な地震を感じると同時に人は高台に避難し船は沖合いに出す。鍬ヶ崎地区は特に後ろの山が市街地に迫っている地形で子供でも誰でも自分の避難経路を知っている。地震測定機器や情報技術の進歩で警報のタイミングは確実にスピード化し、ますます時間に余裕ができるようになる。口伝や避難訓練は将来も維持されて、津波で命を落とす事はもはやなくなるだろうと言われている。転入居住者、観光客、地元外からの勤労者に対する経験則の伝達、避難誘導は地区のむずかしい課題であるが地元の人は地元と同じレベルまで高めようと努力している。──この避難防災の大原則から見て防潮堤の役割を疑問視する人もいる、存在価値が低くなったのでは?と。そこのところの説明が全く行われていない。

 

 神話と検証 防潮堤は「津波を防ぐ」「命を守る」というように宣伝されているが、二重の防潮堤に囲まれていた田老地区の惨状に見るように、そのような神話はゆらいでいる。田老や他の被災地において防潮堤は津波を防ぎ、命を守れなかったばかりではなく、多くの犠牲者を生む原因にもなった。防潮堤によって救われたという人はいないといわれる反面、防潮堤の有効性もいわれているが、このことは3.11の震災の検証がなければならず、行政からの検証の開示も不可欠である。──鍬ヶ崎地区の震災のくわしい検証や地区住民の合意がないままに防潮堤計画が進行している状態は正常とはいえない。

 

 ハード面の説明不足 以上の3~4項目の理由の他にハード面の説明も十分とはいえない。開口部が北を向いている宮古湾の特性から北方の釧路・根室沖、十勝沖、三陸北部沖を三連震源とする巨大津波やカムチャツカ半島周辺を震源とする巨大津波の発生は他の湾岸地区住民と同様に地元住民の視野に入って心配されており10.4mの防潮堤の崩壊や直立式防潮堤の無効性が再び「想定外だった」と繰り返される不安を抱えている。地盤や工事工法などのハード面の疑問は多い。

 

 おわりに 説明責任より工事計画だけが先行して鍬ヶ崎地区住民、宮古市民には岩手県によって踏みにじられているような空気が蔓延している。宮古市議会の決議を通じて説明会の十分な開催を要望する次第であるが、説明会は同時にヒアリングの場、住民の意見を聞く場所でなければならないと考える。地区住民、宮古市民の中には防潮堤に代わるアイデアや防潮堤の修正、改良の意見を持つ人もいる。向こう百年、二百年、千年の防災計画である。十分な合意形成に時間と労力を惜しむものであってはならない。

 

 以上


 

 

 

 

 

 

 

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