石巻市、議会が大川小 津波訴訟の高裁判決をめぐって最高裁への上告かどうかで迷っている。記事は、ここに至ってなお右往左往する見識なき市長、市議会議員…
第2審 高裁判決は津波への備え・対処の点で当該自治体等への判断の他、東日本被災地各自治体、また南海トラフ地震被災予測自治体への大きな警鐘となっていた。
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<大川小 津波訴訟>石巻市が上告方針なら臨時会招集 市議会で賛否拮抗か
市議会は定数30。ニュー石巻(13人)、石巻復興の会(6人)、創生会(5人)、公明会(3人)、共産党市議団(2人)の5会派からなる。上告関連の議案が提出されれば無会派の議長を除く29人で採決する。
採決となった場合、ニュー石巻と創生会は会派拘束をかけず、前回に続き個々の判断に委ねる見通し。公明会は県議団と足並みをそろえて反対する方針。石巻復興の会と共産党は「決まっていない」としている。
控訴を決めた2016年10月の臨時会の賛否は、起立採決の結果、ニュー石巻と創生会は会派内で賛否が割れた。石巻復興の会と共産党は賛成、公明会と無会派の元議員が反対に回った。結果は賛成16、反対10。当時は欠員1で、2人が欠席した。
今回の控訴審判決を受け、亀山市長は4月28~30日、会派ごとに説明会を実施。判決の解釈を巡る質疑応答があったものの、判決に対する議員たちの態度は読み切れていない。
議員の間には「これ以上長引かせても遺族を悲しませるだけだ」との意見がある一方、「全国の教育現場への影響が大きい」と上告を支持する声もある。
現状では、控訴に賛成した議員が反対する可能性がある。選挙戦を前に地元有権者の反応を見て判断が揺れている議員もいて、全体的な動向は流動的な情勢だ。市幹部は「反対に回る議員が増えるかもしれない」と警戒する。
中堅議員の一人は「まずは市長の判断次第。何も決めていない。市民からは『もうやめた方がいい』『上告した方がいい』と両方の意見がある」と思案する。
亀山市長は8日朝までに上告するか、判決を受け入れるかを判断する。2日の報道各社の取材に「調整中。まだ決めていない」と話した。
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防潮堤建設で振り逃げしようとする福島、宮城、岩手、沿岸自治体への告発。
大川小 津波訴訟
遺族、2審も勝訴「事前防災に不備」
毎日新聞2018年4月26日
同種の津波訴訟で、事前防災の不備による賠償責任が認められたのは初めて。戦後最悪とされる学校災害を巡る司法判断は1審より踏み込んだ内容となり、全国の教育現場に大きな影響を与えそうだ。
1審判決は、津波襲来の約7分前に高台避難を呼びかける広報車が通り、教員らは大津波襲来を予見できたのに、標高の高い裏山への避難を怠ったとして、地震後の教職員らの「判断ミス」を過失と認定。遺族、市・県の双方が控訴した。
控訴審では、学校や市教委の震災前の対応に不備がなかったかが主に審理された。判決は、校長らは児童の安全を確保する上で「地域住民よりはるかに高いレベルの知識と経験が必要だった」と指摘。校舎は津波浸水予測区域外だったが、立地を考えれば津波被害は予見できたと認定した。
その上で学校は、10年4月に改定し市へ提出した危機管理マニュアルに、具体的な津波避難場所として標高20メートルの高台「バットの森」を明記し、避難経路や避難方法を具体的に定めておく義務があったのに怠り、児童らの被災を招いたと結論付けた。市教委も「地域の実情に応じてマニュアルの是正を指導すべき義務を怠った」と組織的過失があったとした。
遺族側の吉岡和弘弁護士は「地震前でも、校長らに児童の安全確保義務があったことを認めており、非常に画期的だ」と評価した。一方、石巻市側の松坂英明弁護士は「教職員に多大な法的義務を課すもので、上告を検討する」としている。【百武信幸、遠藤大志】
<解説> 学校に課題突きつけ
大川小津波訴訟の控訴審判決は、認めた賠償金額自体は1審判決とほぼ同額だった。しかし理由については、地震発生後の教職員らの判断ミスのみを過失と認めた1審から大幅に変更し、津波襲来に対する事前の対策を怠った学校と石巻市教委の過失を指摘した。学校の安全確保に向け、教育現場に厳しい課題を突きつけたといえる。
控訴審では、昨年10月の証人尋問で象徴的なやり取りがあった。出廷した市教委の元学校教育課長に対し、潮見直之裁判官が「仮に」と前置きした上で、震災前に保護者から「津波の危険があり子どもを通わせたくない」と求められた際の対応を尋ねた。
潮見裁判官は「教育専門家として『児童の安全は教職員が守るから安心してください』と述べませんか」と聞き、明言を避けた元課長に強い口調で「『心配には及びません』という話はしませんか」と畳みかけた。この問いかけは、すべての教育組織に向けられたものといえる。
事前防災の不備を認定した判決について、潮見佳男・京都大法学研究科教授(民法)は「児童の安全確保のため、事前の情報収集や分析の義務を認めており、責任者の指針となる」と評価する。教育行政は判決を受け止め、学校防災に生かすことが求められる。【百武信幸】
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