市長、市議の連続無投票選挙は、確かに、不祥事と言っていい。しかし政治は走り出した。宮古市の市政や復興がどうなるのか? が一番の問題である。古い議員も同じ事だ。立候補決意時の初心にかえって、一斉に政治に再挑戦するものでなければならないはずである。
行政や、新生市会議員にやってもらわなければならない事は
■まず津波被災者の住宅問題でなかろうか?
ある程度余裕があったり条件が良く、土地の手当の出来た人など、早い時期から自前の住宅を立てる人も多かった。補助金や公的ローン利息肩代わりなど公的資金支援もあって、被災自宅跡地に、高台に、あるいは遠隔地にそれぞれ新築物件を建てる人があった。場所によってはラッシュでにぎわったところもある。
待機者は多彩
しかし、仮設住宅や見なし仮設にまだ生活する人、親戚に頼っている人、なにかの都合で貸し家、貸間に住んでいる人、田老のような高台住宅地の造成を待っている人、危険区域問題があっての土地のかさ上げの有無、かさ上げ費用の問題に悩む人。近内地区公営住宅につづく各地の災害公営住宅の完成を待つ人も多いだろう。今日(4/29日経)の報道では釜石市の仮設住宅の入居率は依然76%という。この点の宮古市はどうなのであろうか?
公営住宅がたのみ
災害公営住宅は宮古市の場合近内の「近内災害住宅」1号棟の40戸が初めての完成だという。4月12日には見学会が開かれた(岩手日報)。これから市内各地に順次完成していくはずであるが、被災者にとってはこの災害公営住宅が最後のよりどころである。
気になる公営の家賃
住宅側のそれなりのランク付けや入居者の経済条件などで家賃は一見合理的に決まっているようであるが、しかし根の家賃、家賃そのものの設定が高いという声を聞く。UR都市機構が全県、全国で貸し出しているいわゆる公団住宅家賃と変わらないとも…。デフレ時代の民間の賃貸住宅を引き合いに出す人もいる。前々からの私の主張であるが「初期費用と向こう10年の家賃はただ」くらいの英断がほしい…。そうでなければ自力建設者への手厚い補助などとバランスがとれないのでないのかと思う。
最後の一人までしっかりと寄り添って住宅の見通しを
要するに、被災者にとっては住宅が定まって初めて震災復興の出発となる。住宅は復興の iPS 細胞だ。新しい市会議員は、公営住宅の遅すぎる進捗、完成をただ見守り、新聞記事やテレビニュースをただ見守るのではなく。進んで被災者のもとを訪ね、その立場にたって、それこそ最後の一世帯まで、被災者の住宅の見通しを立てるべきである。公営入居希望者の家賃の戸惑い、希望物件のミスマッチ、一戸建て住宅との優遇格差など、この一つをとってみても問題は多い。それは行政と市会議員でなければ問題解決はむずかしいものだ。
住宅関連支援、国の復興交付金は膨大
岩手県と岩手県の12市町村にはすでに7回にわたって6,000億円の復興交付金が交付されている。今年度も第8回目の復興交付金として622億円の配分が決まっている(3/8 NHKニュース)。その大半は高台移転やかさ上げ、区画整理、公営住宅など、住宅関連への配分である。それなのに、その一方に、大半の被災者がまだ住宅問題を抱えているという現実がある。
住宅問題が残っている理由
政治が被災者の立場でなかったからだといいたい。国の復興予算が何兆円といってもそれが本当に被災者の立場にたった行政のもとに被災者のために使われているのかどうか?。立派な災害公営住宅が建っても(宮古市ではまだ40戸)その家賃が民間住宅並みで入居希望者を困惑させ、入居を躊躇、断念させることがあっては、何のための国の交付金かと国民の誰でもが思うであろう。住宅関連への配分といっても、それが住宅関連の建設費や造成費用などのコスト、コスト、コストで消えていくのであれば、それで高い家賃がかかる事になるのであれば、国家の復興支援とは何なのか?
■住宅の再建意向(宮古市鍬ヶ崎地区)
485世帯、2012.9~12 の集計。( )内は前回 2012.2 調査、324世帯
新生市会議員の役割
これまでの宮古市政は、県政は、そして国政は、予算をつくり、予算を配分し、予算を獲得する事であったのか? 宮古市の災害公営住宅の建設も遅遅としている。その被災者への供用も家賃など諸問題が多すぎる。ほとんどゼロベースでは始めなければ、被災者はもちろん納税者・一般市民、の理解は得られないところまできている。巨大予算で建設業者が住宅を建設することが目的ではない、気持ちよく入居できる予算のきめ細かい運用もまた政治である。巨大予算が県において、市においてどのように使われているのだろうか? 解明してほしい。
── 初心を忘れずに職務を果たしてもらいたい。
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